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世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

クリントン、パキスタンで舌戦  Barbs and Jabs

2009-10-31 | グローバル政治
2009年10月31日(土)

クリントン国務長官は、28日から、アルカイダとの戦いの前線にある同盟国パキスタンを訪問している。「アルカイダとの戦いの主戦場はパキスタンである」とするオバマ大統領の政策に従って、同国政府を励まし、高まる反米感情を緩和することが目的であったが、彼女自身が、阿修羅の形相で感情を激発する場面が少なからずあった。

この様子を、The New York Timesは、’Clinton Suffers Barbs and Returns Jabs in Pakistan’(パキスタンでクリントン長官は、丁々発止の舌戦を繰り広げた)との見出しで伝えている。

「アルカイダとの戦いに米国は全力を挙げているのに、友邦パキスタンは、やるべきことをやっていない。 アルカイダ指導者がパキスタン国内に潜伏していないとするパキスタン政府の発言は信じていない」と手厳しく批判した。

そして反米論調が支配するメディアの記者会見では、お互いに歯に衣を着せない激越なやり取りとなることが度重なった。しかし、論戦は、The New York Timesの判定によれば、五分五分(a draw)に終わったようである。

現地大使館の制止があったにもかかわらず、クリントン長官が現地であえてここまでメディアに露出したのも、パキスタンの新聞・テレビが反米報道を行い、民衆に米国への憤激を植え付けるような報道が過熱しているため、これに対峙して沈静化を図ろうとしたのである。

特に、最近の「米国の対パキスタン援助は、主権侵害(infringe on Pakistan’s sovereignty)である」との見方には、強く反論を試みた。そして今までパキスタンのメディアと直接の接触をしてこなかったことを反省して、直ちにこれを正したいと発言した。

この正面切った対応はおおむね成功したと捉えられている。「クリントンは、新しい友人を増やすことはできなかったが、少なくとも新しい敵は作らなかった」との反応が支配的であると現地の意見が紹介されている。

バクダッド連続爆破テロ U.S. security contractors

2009-10-26 | グローバル政治
2009年10月26日(月)

厳重に警備されているはずの首都バグダッドの官庁街で2台の車に搭載された爆弾が爆発し、すでに報告されている死者だけで136人、負傷者は600人近いという大惨事が起こった。

場所は、法務省とバグダッド市庁舎の近くの駐車場であり、去る8月に約100名の犠牲者を出した、財務省・外務省爆破現場から数百メーターしか離れていない。最高度に警備されていた政府中枢地区への侵入を許しただけに衝撃は大きい。

1月の総選挙を前に、マリキ(Maliki)大統領の率いるイスラム教シーア派政権の統治能力を根底から揺さぶろうとするイスラム教スンニ派からの攻撃であるとの見方が専らである。

ちなみに、先週イランでは、シーア派の現政権の将軍6名が自爆テロにより暗殺されたが、パキスタン国内に本拠を置くスンニ派過激派「Jundallah」が犯行声明を出している。

2006から2007年にかけてのバグダッドの治安悪化が、イラク全土の治安安定化と合わせて大きく改善し、これがオバマ大統領の2010年までの米軍撤退の決定の根拠となっていた。

オバマ政権にとって、イラクの治安悪化は、アフガニスタン・パキスタンにおけるタリバン勢力との戦闘の膠着とともに、非常に大きな軍事上・外交上の問題となって浮上している。このままでは、米軍を中心とした同盟軍は、イラク・アフガニスタン・パキスタンという3国にまたがった戦争を同時遂行しなければなくなることは必定である。

ところで、The New York Timesの現地特派員が、負傷者の中にアメリカ人警備員がいること、また現場で彼らが救助活動をしていることに対して米国大使館員にその所属を問いただしたところ、「誰に雇われているか詳細はいえない」と答えたことを報道している。

米軍の装備や食料・弾薬を輸送し、ガードマンとして(実態は傭兵に近い)警備に当たっているのは、米国の警備保障企業(U.S. security contractors)であるという事実を読者に注意喚起していることが注目される。



オバマに難問、アフガン大統領再選挙へ A Recipe for Disaster

2009-10-20 | グローバル政治
2009年10月20日(火)

国連の承認の下で、調査活動を行ってきた大統領選挙苦情委員会が、「210ヶ所の投票所における票が無効である」との分析結果を公表した。

この結果、現職のHamid Karzai大統領の得票は48%と過半数を割り込み、対抗馬のAbdullah Abdullah前外務大臣の得票率が32%と確定したことから、両者による決選投票(a run-off)が必要な事態となった。

この報告を受けたKarzai大統領は、決選投票への参加意思を確認するとともに、「代案(alternatives)も考慮の余地あり」との見解を表明した。一方Abdullah Abdullah氏も、「決選投票への参加意思はあるが、現実も直視する必要がある」と、治安問題と冬の到来が再選挙の障害になることをあげた。そして、「代案への門戸は開かれている(the door is open)」と語った。

代案(alternatives)の内容を両者とも明確にしないが、連立ないし、Abdullah Abdullah氏の入閣のことを指している。しかし、Abdullah Abdullah氏は、「閣僚ポストをひとつや二つもらうために立候補したわけではない。支持者の意見を聞いてみるまでは、明確なことはいえない("I think, before getting too specific, I need to get a mandate from my supporters.")と確答を避けた。

一方、駐米アフガニスタン大使は、「再選挙は11月1日しかない。これ以上遅れると、冬に入り選挙投票は事実上不可能になるので、その場合選挙は来年春まで延期となる」と語った。「しかし、そのような事態は、アフガニスタンの政局と対米関係にとって、まさに大混乱のレシピ(a "recipe for disaster")となる」と語った。

この事態を受けて、Hillary Clinton米国務長官は、「数日中に憲法に則った解決策のニュースが聞けると期待している」とコメントしたが、John Kerry上院外交関係委員長は、「選挙結果が確定するまでは、米軍の増派の決定は下せない。合法政府が統治する国でなければ、軍事支援することはできない」と言明した。

オバマ大統領のアフガニスタン政策に障害がまたひとつ増えた。




イラン、司令官級6名自爆テロで殺害さる Radical Sunnis

2009-10-19 | グローバル政治
2009年10月19日(月)

Financial Timesは日曜日、革命防衛隊(Revolutionary Guard)の副司令官を含む6名の幹部と、その他29名が、自爆テロの犠牲となったことを報じている。

このイラン革命政府に対する公然たる攻撃は、ここ20年来で最大規模となり、将官級の犠牲者数から見た規模においては、イラン・イラク戦争以来のものとなる。現在、6月の大統領選挙後の国内騒乱と、核問題での欧米との対立で難しい立場にあるイランであるが、その国内の複雑な対立関係を図らずも世界に露呈した。

今回の自爆テロは、パキスタンとアフガニスタンと国境を接する南東部シスタンーバルチスタン県で発生したが、パキスタン国内に本拠を置くスンニ派過激派「Jundallah」が犯行声明を出した。

イラン政府中枢は、イスラム教シーア派が占めているが、一方対立するスンニ派は、パキスタンやアフガニスタンを本拠とするアルカイダから支援を受けて、「バルチスタン分離運動」と結びついて反政府運動を展開してきた。

このバルチスタンと一般に呼ばれるこの地域の、1400kmに及ぶアフガニスタンとパキスタンとの国境では、スンニ派の過激派とアルカイダが結びついた反政府グループが自由に行き来し、麻薬取引のルートとなっているのが現実である。

そして、イランの7000万人の人口のうち、ペルシャ人は半数であり、のこりはバルチ人、クルド人、アゼル人、トルコ人などから構成されており、人種間対立はいつも火種となる可能性がある。

とりわけバルチスタン分離派は、クルディスタンと呼ばれるクルド人地区の分離運動を支援して、イランの内部崩壊を策動している。このため革命防衛隊のエリート司令官が派遣されて治安維持に当たってきたのであるが、今回の事件は、シーア派政府にとって大きな打撃である。

アフマディーネジャード大統領は、早速声明を出し、この事件は、米英と名指しこそしないが、その諜報機関の関与を強く非難し(accused unspecified foreigners of complicity)、パキスタンに対しては、犯人の捜査と引渡しを要求した。米国国務省は、これに対して「無関係」と直ちに応酬した。

オバマ大統領に、ノーベル賞の重圧  “Surprised and Humbled”

2009-10-11 | グローバル政治
2009年10月10日(土)

オバマ大統領に、ノーベル平和賞を授与するとの、ノルウェーのノーベル平和賞委員会の決定は世界中に驚きをもって受け止められている。しかし、米国大統領が受賞することは初めてではなく米国の現職大統領としてはTheodore Roosevelt(1906)とWoodrow Wilson(1919)に続いて3人目である。

ちなみに民主党幹部としては、大統領を辞してから20年後に受賞したJimmy Carter(2002)、また副大統領職を離れた後に地球温暖化対策への貢献で受賞したAl Gore(2007)に続いて3人目となる。

この受賞のニュースは、Osloでの発表の際も会場から驚きの反応があったが、ホワイトハウスにとっても驚きだったようである。オバマ大統領に伝えたのは、Robert Gibbs報道官であるが、同氏はメディアからメールでの質問に対して、たった一語“Wow.”と返事を帰したのみであった。また、Rahm Emanuel大統領主席補佐官は、電話インタビューに対して、「本件でまったく話し合いは行われていない」と回答している。

そして、大統領自身は、「驚き、恐縮している」( “surprised and humbled” )と寝起きの早朝会見で語り、「世界の歴史を変えることができた歴代受賞者にわが身を引き比べることはできないという思いだ」(feel unworthy to be counted among the “transformative figures” of history who had previously won the prize) と謙虚さを前面に押し出している。

再選を果たしたばかりのドイツのAngela Merkel首相は、「オバマ大統領は、世界の外交を対話の方向に急速に変えてくれた」と賞賛し、「仕事は緒に就いたばかりであるが、事態打開の可能性の窓(a window of possibility)をあけてくれた」とコメントしているが、この反応が大方の世界の首脳の反応を代表するものといえる。

一方、いくらなんでも就任後9ヶ月しかたっておらず、成果がまだ見えないうちの授賞に戸惑う反応の例としては、ポーランドをソ連からの圧制からの解放に功労のあった英雄にして元大統領のワレサ氏の言葉が上げられる。「誰が受賞したの、オバマだって?それは早過ぎる。まだそんなに時間が経っていないじゃないか」“Who, Obama? So fast? Too fast—he hasn’t had the time to do anything yet.”

紛争解決が遠のいた感のあるイスラエルやパレスチナの現地のみならず、米国内の共和党幹部や、共和党系のメディアは、いっせいに批判の声を上げている。しかしその中でも、大統領選挙を戦ったライバルJohn McCain氏のコメントは、穏当であり、正鵠を得ている。

「今回の授賞決定は、今後のオバマ大統領への期待をこめたものだろう。今回の授賞で大統領は、その期待にこたえなければならず、その意味で重圧が増えたことはお分かりのことだと思う」 (“I think part of their decision-making was expectations. And I’m sure the president understands that he now has even more to live up to.” )


ミャンマー軍事政権との対話の時 Sit down with the generals

2009-10-08 | グローバル政治
2009年10月8日(金)

Financial Timesのアジア総局長のDavid Piling氏が、ミャンマー軍事政権との対話を開始すべき時期が来たと論評している。

アメリカのクリントン長官は先月23日に国連総会で、「ミャンマーに対する制裁は解除しないまま軍事政権指導部との直接対話を目指す」と表明、「制裁だけではビルマの人々が望んだような結果は生まれなかった。」と方針変更の理由を説明した。Pillingの主張もこのアメリカの対ミャンマー外交政策の変更を受けたものである。

「人権抑圧の独裁政権を続ける軍部と対話を始めるのは不愉快なこと(distasteful)であろうが、このまま放置しておけば、ミャンマーはますます中国取り込まれるだけだ」という懸念が、同氏の論点の中心にある。

そして、来年総選挙が、アウンサンスーチー率いる野党NLDを押さえ込んだまま行われる「いんちき選挙」(sham)となるのは確実ではあるが、軍部の新陳代謝のきっかけとなるであろうと観測している。

また、16にも達する少数民族との休戦協定を、最近軍事政権が一方的に破棄して、圧迫を加え始めたという事実がある。少数民族の一部が、大量に中国に逃げ込む事態に発展していることが、事態の切迫を物語っている。

アウンサンスーチー女史も、クリントン国務長官の「制裁解除」の可能性を含む発言を歓迎し、その問題を話し合いたいとの趣旨の書簡を軍事政権に送ったところ、同女史は政府に招かれと伝えられている。

アウンサンチー女史の解放と制裁解除が、「鶏と卵的循環論争」に陥って、かくも長い時間が過ぎた。ASEAN諸国も、明確な対ミャンマー政策を打ち出さず実質的に放置してきた。

国連の機能不全に業を煮やしたアメリカが、直接対話に乗り出すことで問題が解決できるか。イラク戦争とアフガン戦争に加えて、北朝鮮・ミャンマー・イランの3カ国との関係改善を同時に解決しなければならないのは大変な重荷である。

イラン、ミサイル発射実験敢行 Thunder and Conqueror

2009-09-27 | グローバル政治
2009年9月27日(日)

第二ウラン濃縮工場の建設を、米英仏の諜報機関に探知され、国連総会の直前に
世界原子力エネルギー機関(IAEA)に「自白」を余儀なくされたイランは、「何も国際協定に違反していない」と開き直っている。

一方、 ロシアや中国が今回はイラン擁護に回らないため、国連による対イラン「制裁」の可能性が高まっているが、イランはこの最中に二種類の短距離ミサイルの発射実験をあえて行い、国際社会への「反抗姿勢」をあらわにした。

2機のミサイルは、英語ではThunder69「雷鳴69型」と、Conqueror110「征服者110型」で、射程距離は150kmである。そして同時に、イスラエルを射程内におけるMeteor3「流星3型」の発射実験を月曜日に行う予定であることともに、イスラム革命防衛隊の戦争能力を向上させるためThe Great Prophet IV(偉大な預言者4世)というコードネームで呼ぶWar Game(戦時想定演習)を開始すると、今日発表した。

10月1日の、英米仏中ロ5カ国にドイツを加えた6カ国との協議を前に、イランは戦時体制準備に入っている。このイランの強硬姿勢は、イラク・アフガニスタン・パキスタンの不安定情勢をさらに不安定化させるばかりで、オバマ大統領の、「タリバン掃蕩作戦」に重大な影響を与えることになる。


オバマ、イランの「核隠し」を暴露 ‘Shock and Anger’

2009-09-26 | グローバル政治
2009年9月26日(土)

金曜日のピッツバーグで開催のG20金融首脳会議の直前、会議開始を遅らせて、オバマ大統領が英国ブラウン首相とフランスのサルコジ大統領を従えて緊急記者会見を行い、イランの秘密第二ウラン濃縮施設の存在を暴露し、イランを強く非難した。

この第二ウラン濃縮施設は、イランの南方160kmの地点にここ数年建設が進められていたこと、そして米・英・仏の3カ国の諜報機関が追跡していたものであると、オバマ大統領が発表したが、まさにこの施設は昨日の本欄で、「イランについてはウラン濃縮技術を含め状況未確認」としたものが明るみに出たということである。

10月1日に、イランと安保理常任理事国プラス独の6カ国が協議に入ることになっていること、そしてアハマディネジャド大統領の総会出席をにらんで、この濃縮施設の存在を、今週月曜日に米国は世界原子力エネルギー機関(AEIA)に通告したのである。

この3カ国の行動を察知して驚いたイランは、今週IAEAに公式書簡を送り濃縮工場の存在を認め、総会出席中の同大統領は「平和利用目的で、ここ1年程度で稼動させる。IAEAの査察を受け入れる」とこれまでの態度を一変させた。

これまでイランに同情的であったロシアも中国も、この事実の露見とイラン政府の「自白」の事態を前にして、もはやイランを表立って支持できない立場に追い込まれている。

これからイランは、このままでは上述の10月の会議では守勢に回ってしまうことは確実であるので、それを回避しようとする手を打つと思われる。そしてこの「自白」と「暴露」は、イスラエルの主張を裏付けたものになったので、同国が濃縮施設爆撃を含む極端な行動をとる可能性を、完全には排除できない。

オバマの「核なき世界」 A world without nuclear weapons

2009-09-25 | グローバル政治
2009年9月25日(金)

水曜日、国連安全保障理事会(the U.N. Security Council)は、核軍縮促進を決議した。オバマ大統領は、米国大統領として初めて安保理議長として、イランと北朝鮮の核兵器開発を非難した上で、核保有国には保有核弾頭数の削減を、開発途上国には、核兵器開発を行わぬようにと説得の演説を行った。

"We must stop the spread of nuclear weapons and seek the goal of a world without them.” 「核兵器拡散を阻止し、核なき世界という目標に向けて進まねばならない」というのが、同大統領の主張の真髄を形成している。

しかし、包括的核実験防止条約CTBT)に、米国はまだ批准していない。この条約には、クリントン政権が1996年9月に署名済みだが、当時共和党が多数派だった上院が批准に反対したままになっている。オバマ大統領は上院での批准を行うと宣言しているが、これを実行しない限り、世界に正義を求める資格は無い。

批准を拒んでいるそのほかの10カ国の顔ぶれを見れば、世界の不安定化要因がどこにあるか、一目瞭然である:イスラエル、イラン、インド、インドネシア、エジプト、コロンビア、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、パキスタンである。

年末に期限が切れる、米ロ間の戦略核兵器削減交渉(START-I)は、米国が、イランを仮想敵国とした中欧での中距離核ミサイルとレーダー探査網の配備を見送ったことで、交渉再開の可能性が高まってきた。

オバマ大統領の「核なき世界」を作ろうとの呼びかけが、「核クラブにこれ以上の会員を入れないよ」という呼びかけに終わらぬよう、核クラブの存在そのものを消滅させてこそ、本来の意味になることを、日本人はしっかり意識しておかねばならない。

2008年1月現在の、核クラブ会員の核弾頭保有数が、一時より削減されたとは言え今なお地球を何回破壊しても余りあるほどに存在していることを再認識しておこう。

米国4075 ロシア5189
フランス348 イギリス185 
中国176 イスラエル80 
インド60-70 パキスタン60 
北朝鮮6-8? 
(イランについてはウラン濃縮技術を含め状況未確認)



オバマ、「問題は反米だけでは解決できない」 anti-Americanism

2009-09-24 | グローバル政治
2009年9月24日(木)

オバマ大統領は、世界の指導者を前に、国連総会で37分にわたる代表演説を行い「過去において、多くの国々がほとんど反射神経的に反米(almost reflexive anti-Americanism)の姿勢をとってきたが、それだけで世界の問題を解決できるわけはない、世界を、現状固定化(status quo)のくびきから解放させねばならない」と強い調子で訴えた。

「米国は、一人勝手に振舞っていると非難してきた国々は、(米国が協調によって問題解決しようと手を差し伸べている)今、傍観者に回って米国が一人で問題を解決するのを待っていることは許されない」というのが演説冒頭の一節である。

火曜日の、気候変動問題に関する首脳会議では、12月のコペンハーゲンのCOP15会議に向けての合意は形成されなかった。また、水曜日のイスラエル・パレスチナ・米国の首脳による初めての3者会談も、双方のかたくなな態度(immovable positions)でまったく進展を見なかった。

イラク撤兵から、アフガニスタン増派への転換シナリオは、不透明感が増しつつある。北朝鮮もイランも核問題でまったく譲歩の姿勢を見せない。ロシアのメジデェーエフ大統領から、国連の対イラン制裁発動で支持を取り付けたのが唯一の救いという外交上手詰まり状態に置かれている。

オバマ大統領の、米国の一国主義からの脱却を宣言する代表演説となったが、途中時折拍手が沸いたものの、standing ovationはとうとう出ず仕舞いであった。

オバマ大統領の演説直後に演壇に上がったリビヤのカダフィ大佐は、「総会は190カ国のためのただの飾り物。非民主的な運営の国連など戦後の遺物。安保理5カ国だけで物事が決まる国連など要らない」という趣旨の激越な長広舌をふるい、最後は国連憲章の冊子を後ろに投げ捨てた。

カダフィ大佐の態度の是非は別として、それを、「制度疲労と機能不全に陥って、肥大化した職員の官僚主義に蝕まれている国連を改革せねばならぬときが来ている」という意味にとるなら、その部分の主張は正しい。

安保理の常任理事国5カ国に限定した拒否権は、第二次世界大戦戦勝国の特権という遺制であることは、みんながわかっていて手を付けない、いわばオバマ大統領のいうstatus quo(現状固定)そのものである。



オバマ、中国主席に対イラン政策協力強硬要請 ‘Forceful’

2009-09-23 | グローバル政治
2009年9月23日(水)

オバマ米大統領は昨日、ニューヨークで中国の胡錦濤国家主席と会談し、冒頭、「真に協力的で包括的な米中関係を模索していく」との意向を表明したが、同時にイランの核開発阻止に向けた協力を強く求めた(President Barack Obama was “forceful” in calling for more co-operation from Beijing over Iran.)とFinancial Times が伝えている。

ここで、オバマ大統領の語気を伝える言葉として選ばれた“forceful”「強硬に」という言葉は、現今の対イラン情勢を考えると意味深長である。今次国連総会とともに開催される安全保障理事会では、オバマ大統領は、輪番の議長席に座ることになっているので、核開発疑惑の行動をとる同国に対して、制裁ないしは何らかの強い決議をめざしたいところである。

ところで内容が明らかにされなかった、「“forceful”に要求した”co-operation”」とは何であろうか?

中国は今月に入ってから、日量3万ないし4万バーレルのガソリンを、第三国経由で供給していることが、業界筋の情報として把握されている。イランは、ガソリン使用に対する補助金を出しており、しかも老朽製油所が稼動停止しているため、1日に12万バーレルのガソリン不足に見舞われている。石油輸出国が、ガソリン輸入を行うという状況に陥っている。

こうした状況下で、SINOPECなどの中国政府に近い企業が、第三国のトレーダー経由、「敵に塩ならぬ油を送っている」ことは、両首脳間で重要な話題になったことは想像に難くない。

今週これからの国連総会や安保理理事会で、、対イラン経済制裁がどのように扱われるか注視に値する。


オバマ、アフガン増派を迫られる No easy choices left

2009-09-22 | グローバル政治
2009年9月22日(火)

アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官が8月末にゲーツ国防長官に提出した66ページに渡る現状評価報告書を、The Washington Post紙が入手し、その内容が公開された。

これによって米軍をはじめとする連合軍の置かれた苦しい戦況が明らかになると
ともに、派遣軍の増派なくして、勝利はおぼつかないとする現地司令官からの強い圧力にオバマ大統領はさらされていることが公になった。

同司令官の報告書のなかの表現はきわめて直接的である: 

「来年増派が無ければ、この戦いは敗戦に終わる公算が高い」(The conflict will likely result in failure)
「先手を取って、反乱軍の勢いを12ヶ月以内に押し戻すことができないと、彼らに勝てる可能性が無くなるであろう」(Defeating the insurgency is no longer possible)

マクリスタル司令官の要求する兵力は、現状の9.2万人に対して、24万人である。一方、オバマ政権のコミットは、2011年までに13.4万人である。

空爆や砲撃は、民間人への誤爆が重大な問題化したため、パキスタンでもアフガニスタンでももはや広範には使えない。そして、反乱軍と民間人の区別がつかないゲリラ戦となったいま、自爆テロの恐怖とあわせて、事前の計算以上に地上軍が必要になってしまったというのが現状であろう。

オバマ大統領の、政策アジェンダのトップは、いまや四面楚歌の状態に陥ってきた健康保険改革(healthcare reform)である。オバマ大統領は、今週主要TV局すべてとの個別のインタビューに応じるなど、ほとんどの時間をその対応につぎ込んでいる。

このように、アフガンやイラン問題を第2順位以下にせざるを得ない中での、マクリスタル司令官報告書のリークである。それが、政権中枢部からか、軍部筋からか、共和党筋からかを考えてみれば、現在の米国政治の力学が見えてくるはずだ。

The Financial Times の論説の見出しは、"No easy choices left in Afghanistan"(アフガンに容易な選択肢は無い)である。同盟軍の劣勢は事実であり長期戦を覚悟の上戦い抜くほかが無いと主張している。英国はアフガンで惨敗を喫した歴史をロシアと共有している。どんなに腐敗していようが、選挙が不正に満ちていようがアフガンを捨てるわけには行かないと、呼びかけている。

オバマ、国連安保理議長に To chair the Security Council

2009-09-09 | グローバル政治
2009年9月9日(水)

オバマ大統領は、9月22日からの第64回国連年次総会、ならびに安全保障理事会に出席するが、「国連を米国一国支配政策の都合のよいときだけ利用する」と批判を受けてきたブッシュ前大統領の、「国連軽視」の姿勢を転換し、国連を外交の基軸のひとつとする政策に転換したようである。

Financial Timesは、オバマ大統領が、米国大統領として初めて、安全保障理事会の輪番制の議長を務めることになっていることをその表れとして報じている。

9月24日からの、15カ国が参加する理事会では、核拡散防止と核兵器廃止(nuclear non-proliferation and nuclear disarmament)というテーマとなるが、オバマ大統領にとっては、四月のプラハで行った「核廃絶宣言」をもとにした具体的な交渉を、サミットレベルで進める初めての機会ともなる。

鳩山新首相が、意欲的な温暖化ガス削減を持って乗り込む22日の討議にも、もちろんオバマ大統領は出席する。

イスラエルのナタニエフ首相と、パレスチナ自治区のアッバス大統領間の、話し合いに参加し、中東和平にならかの進展をもたらす可能性もある。

イランの核問題に関しては、米国など主要六カ国がイランに要求した国連総会までの対話開始にイランが応じると回答したことで、にわかに今回の総会の重要性が高まっており、再選されたアーマディ・ネジャド大統領が、総会でどのような演説を行うかが注目される。

また、安全保障理事会の理事の輪番に当たっているリビアのカダフィ大統領もNew Yorkに乗り込んでくる。理事会議長のオバマ大統領とカダフィ「大佐」(Colonel Gaddafi)の会談が実現するかどうか、これも興味深い注目点である。

世界は大きく動き出した。国連外交を基軸とする、鳩山新首相にとってまたとない機会が、めぐってきた。



NATO軍空爆、アフガン人90人死亡 Collateral Damage

2009-09-05 | グローバル政治
2009年9月5日(土)

タリバンに強奪されたタンクローリーに、NATO軍が空爆を加えたところ、ガソリンを取ろうと群がっていた「村民」約90人を、焼殺するという結果に終わり、一般民間人への被害を回避しようとするオバマ政権の戦争方針に冷水を浴びせる重大な事件が、アフガニスタンで発生した。ゲイツ国防長官が、「市民の巻き添えを防止することが最重要課題」だと演説した数時間後のことであった。

Financial Timesは、地元古老の話として、「タリバンが、ドイツ軍のタンクローリーを奪ったが、立ち往生していたローリーに、闇の中でガソリンを取ろうとしていた村民が、爆撃によって起こった火炎の犠牲になった」と伝えている。

爆撃は、ドイツ軍によって行われたものであるが、被害者に市民が含まれていることは、アフガニスタン政府も、現地NATO軍も認める声明を出した。今回の爆撃が、ドイツ軍によるはじめての大規模戦闘行為であったために、ドイツ国内でも大きく報道されている。

一方最新の英国BBC放送は、黒焦げになった現場からの中継でこの事件を報道しているが、「死亡者のうち60人は、タリバン兵であったが、多数の市民も同時に死亡した」とする地元警察の発表を報じている。

ベトコンが、市民の中に紛れ込み、市民とベトコンの区別がつかない米軍が泥沼の戦いに陥ったベトナム戦争の例を引くまでもなく、明らかにアフガニスタンでは、典型的なゲリラ戦争の様相を呈している。

タリバンは、「市民の巻き添え(collateral damage)を増やして、市民の憎悪を、政府とNATO軍に向ける作戦」をとる。欧米では、派遣軍の戦死が急増して厭戦気分が強まる。そして市民の巻き添えの増加は、国際世論を敵に回すことになる。

米軍のマックリスタル総司令官の、「情勢は複雑(complicated)だ」という言葉に、米国の抱え込んだ問題が象徴されている。そしてアフガニスタン戦争は、「オバマの戦争」となった。


米国とアフガン、選挙不正で対立 the explosive meeting

2009-08-29 | グローバル政治
2009年8月29日(土)

アフガニスタン大統領選挙の投票率は、タリバンの攻撃と脅迫のため、よくても40%程度と予想されているが、開票率はいまだに17%程度にしか過ぎないのに対し、投票にまつわる不正(wide-spread fraud in the balloting)の報告が、選挙の正当性(legitimacy)を疑わせるほど多数に上っている。

いずれにせよ、今回の選挙をアフガンの民主主義の定着と受け止めたのは早計に過ぎたのかも知れない。オバマ大統領にとっては、民主政体の確立の確証を得なければ、米将兵の死傷者がうなぎのぼりに増える中、年内の3万人近い増派使用とするその政策に対する米国世論の支持は得られない。

特に投票締め切り後直ちに、「アフガン選挙は成功だった(a success)」と記者会見で語った、オバマ大統領の立場は、苦しいものにしつつあり、米国政府は対応に苦慮している。

こうしたなか、オバマ大統領からの特命を受けたRichard C. Holbrooke特使は、当初は友好的にカルザイ現大統領と接していたが、今週に入って行われた会談は、“the explosive meeting”(喧嘩別れとなった会談)と評されるものとなったという。

特使が「選挙不正がここまで明らかになれば、(政敵の)Abdulla Abudullaとの決戦投票をやらざるを得ないだろう」と詰め寄ったのに対し、大統領は激怒したと伝えられているのである。

カルザイ氏も「切れたが」、米国政府も、「選挙の不正、カルザイ政権の地方軍閥との癒着、政治腐敗」に切れたとThe New York Timesが報じている。(U.S. patience running thin with Karzai)