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オバマ、アフガン増派を迫られる No easy choices left

2009-09-22 | グローバル政治
2009年9月22日(火)

アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官が8月末にゲーツ国防長官に提出した66ページに渡る現状評価報告書を、The Washington Post紙が入手し、その内容が公開された。

これによって米軍をはじめとする連合軍の置かれた苦しい戦況が明らかになると
ともに、派遣軍の増派なくして、勝利はおぼつかないとする現地司令官からの強い圧力にオバマ大統領はさらされていることが公になった。

同司令官の報告書のなかの表現はきわめて直接的である: 

「来年増派が無ければ、この戦いは敗戦に終わる公算が高い」(The conflict will likely result in failure)
「先手を取って、反乱軍の勢いを12ヶ月以内に押し戻すことができないと、彼らに勝てる可能性が無くなるであろう」(Defeating the insurgency is no longer possible)

マクリスタル司令官の要求する兵力は、現状の9.2万人に対して、24万人である。一方、オバマ政権のコミットは、2011年までに13.4万人である。

空爆や砲撃は、民間人への誤爆が重大な問題化したため、パキスタンでもアフガニスタンでももはや広範には使えない。そして、反乱軍と民間人の区別がつかないゲリラ戦となったいま、自爆テロの恐怖とあわせて、事前の計算以上に地上軍が必要になってしまったというのが現状であろう。

オバマ大統領の、政策アジェンダのトップは、いまや四面楚歌の状態に陥ってきた健康保険改革(healthcare reform)である。オバマ大統領は、今週主要TV局すべてとの個別のインタビューに応じるなど、ほとんどの時間をその対応につぎ込んでいる。

このように、アフガンやイラン問題を第2順位以下にせざるを得ない中での、マクリスタル司令官報告書のリークである。それが、政権中枢部からか、軍部筋からか、共和党筋からかを考えてみれば、現在の米国政治の力学が見えてくるはずだ。

The Financial Times の論説の見出しは、"No easy choices left in Afghanistan"(アフガンに容易な選択肢は無い)である。同盟軍の劣勢は事実であり長期戦を覚悟の上戦い抜くほかが無いと主張している。英国はアフガンで惨敗を喫した歴史をロシアと共有している。どんなに腐敗していようが、選挙が不正に満ちていようがアフガンを捨てるわけには行かないと、呼びかけている。


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