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世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

ブレア元首相、イラク開戦で証人席に No Lie, No Conspiracy

2010-01-30 | グローバル政治
2010年1月30日(土)

英国が2003年3月にイラク戦争に参戦した経緯などを調べる議会の独立調査委員会による証人喚問が、昨年11月から行われており、年明け後次々と重要人物が呼ばれている。

そんな中ついにブレア元首相にとっての、『最後の審判』の日(his Judgment Day)がやってきた。

昨日会場周辺には、イラク戦争を国際法違反としイラクからの撤退を求める人々のデモが行われ、Tony Blairをもじって、Bliar(うそつきブレア)と書いたプラカードが多数掲げられていた。席に座ったブレア氏は、落ち着かない様子で、明らかに手が震えるのが見えたのだが、さすが最後まで喚問の緊張に耐え切った。

出兵の重要な理由となった『大量破壊兵器』は実際には存在しなかったのであるが、同首相は、「サダム・フセインのイラクに対する開戦は正しかったし、今もう一度やれといわれれば、同じ決定を下すことになる」と言い切った。

そして米国に協力してイラク侵攻を決定した際には、911事件が大きな役割を果たしたと証言した。「911までは、フセインのみがリスクの根源であり、フセイン政権を抑え込めることができればよいと考えていたが、911以降はリスクが何であるかについて劇的な変化が起こった」、そして「米国と行動をともにし、フセインの除去を支援することがまさに911で決まった」と語った。

さらに、開戦の大義として「大量破壊兵器が存在する」と大衆を惑わせたことに関しては、「過去に大量破壊兵器を使用したことがある」ということで、その存在を信じたことは今でも正しかったと主張したが、この点で発言は極めて明確で、謝罪のトーンはまったくなかった。

さらに、質問は開戦1年前の2002年4月に、ブッシュ大統領のテキサスの牧場で二人きりで行われた会談の内容に集中した。「このときにブレア氏は、参戦の言質をすでに与えてしまったのではないか」との問いに対して、「参戦の言質は与えていない。米国がどのような行動を取ろうとも英国は支持する(supportive)といったのみである」、と答えた。

2002年11月の国連決議1441号では、イラクに国連の武器査察を受け入れることを要求していた。一方フセインが拒んだ時点で武力行使に訴えるためには、新たな国連決議を必要としていた。

当時のJack Straw外務大臣などは、「国連決議無しに武力行使をすれば国際世論の反対を受け、国際法違反の危険性がある」と警告していたのであったが、「国連決議に基づく侵攻」の道を探ってもロシアとフランスが反対するのははっきりしていたし、フセインは自ら譲歩をするはずもなかったとの判断から、米英両国は、国連決議を取り付けず侵攻したのだ」と、この点についても明確に語った。

強烈な一言がブレア氏の主張を象徴している。「問題は、ウソをついたとか、陰謀をめぐらしたということではない。虚偽でも、欺瞞でもないない。国家の意思決定の問題なのだ」。非論理的な感情的レトリックに訴えたわけである。



アフガン情勢流動化:主要閣僚不信任、CIA7名基地内で爆殺

2010-01-03 | グローバル政治
2010年1月3日(日)

年末年始に掛けて、アフガニスタンの情勢が流動化してきた。ひとつはカルザイ大統領が議会に信任を求めた24人の閣僚名簿のうち16名が却下されたこと。いまひとつは、パキスタン国境に近いCIAの基地内で自爆テロがありCIAエージェント7名が殺害されたことである。

大統領選挙の不正投票問題が一応の落着をみて、カルザイ大統領が組閣作業に入っていた。長時間を要してようやく作成されたリストのうちから不信任を突きつけられた閣僚候補には、財務・農務・内務・防衛大臣が含まれている。

この4つの大臣ポストは巨額の外国援助金・物資を扱うことから、腐敗の温床とされてきており、不信任の理由の第一は、大統領選挙の論功行賞として選ばれた候補者の腐敗度の高さが上げられている。そしてカルザイ大統領の属する部族への厚遇に比べ、他部族が冷遇されたことへの反発も挙げられている。

いずれにせよ、同大統領にとっては大きな打撃(a humiliating setback)である。これから新たな閣僚候補リストを作成するにしても、カルザイ大統領一派の有力者(strongmen)をはずすことは容易ではない。

そんな中、次の政治課題である議会総選挙の日程を5月22日とすることが選挙管理委員会から発表された。西欧諸国は、大統領選挙の際にあからさまに行われた不正投票に懲りており、公正な選挙が保証されない限り、選挙の実施のための援助を拒むことは確実である。政界浄化などは今のアフガニスタンでは、『不可能』の代名詞でもあるから、この問題は大統領にとって大きな火種となる。

一方、7名のCIA要員は、かつてソ連と戦っていたタリバンの首領の一人であったJalaluddin Haq-qaniの配下のひとりの自爆テロによって、よりにもよって米軍基地内で殺害された。CIA側へJalaluddin Haq-qaniの居場所情報を提供させようとしていたこの犯人に、自爆攻撃という返り討ちにあったと伝えられている。

この基地は、タリバン指導者を各個撃破で殺害する任務を与えられていて、小型無人爆撃機の発射基地でもあった。犯人には、米軍によるタリバンとアルカイダ掃討作戦での被害拡大に対する報復を行うという指示がでていたことは間違いがない。

タリバンは、アフガニスタンとパキスタンの国境山岳地帯を自由に往来しており、連合軍の制圧作戦も効果が上がらず、パキスタン軍も戦意が低く本格的な軍事力行使に至っていない。

もともとパキスタン人にアフガニスタン人を敵視する理由がないことに加えて、パキスタン政府は将来タリバン勢力を使ってアフガニスタンへの利権確保を図り、究極的にはインドに対する牽制前線を形成することを狙っているらしい。パキスタンのこの煮え切らない対タリバン対策に米政権の苛立ちは極に達しつつある。



イラン大統領、核疑惑を独占会見で全面否定 A Smoking Gun

2009-12-22 | グローバル政治
2009年12月22日(火)

米ABC放送のアンカーウーマンDiane Sawyerが、コペンハーゲンのCOP15に出席したイランのアフマディネジャド大統領と単独会見することに成功した。その結果は月曜日夜TVで流されたが、彼女の攻撃的インタビューに、中近東人特有のはぐらかし語法を持って応じる様は、まさにドラマというべきものとなった。

同大統領は、米国はじめ西側諸国が、「イランは核兵器開発の意図を捨て、核関連施設の国際査察に応じよ」と要求し、応じなければ制裁措置を取ると脅迫していると強く非難した:「いいですか、わが敬愛するご婦人よ、彼らは交渉しようというすそばから、制裁するぞと脅す。鞭を振り上げながら、交渉しようといっているのですぞ。こんなやり方はもう止めるべきだ」

この会見に先立って、イランが核爆弾用にしか使えない核分裂の引き金になる装置を開発しているという米国政府の内部書類が、英国の”The Time”紙にすっぱ抜かれている。

Diane Sawyerがこの問題に言及しながら、手にした書類を差し出すように見せ、「この中性子起爆装置は、動かぬ証拠"smoking gun"だといわれているが、ご覧になりますか」と迫った。

大統領は、書類を振り払うようにして、「そんなものは見たくもありませんな。米国政府が次から次へと捏造して、撒き散らしてくる山とある文書のひとつに過ぎんのだから。イランが核爆弾を開発しているなどというのは、真っ赤なうそだ"fundamentally not true"。この手の非難は、もう毎度のことで、面白くもないジョークにすぎんよ" a repetitive and tasteless joke"」

Diane Sawyerはなおも執拗に、「イランは核開発(weaponize)しているのかどうか、yesかnoか」と聞き、そして「大統領、ここで米国民に向かって核爆弾製造の意図はイランにはない、イランが核爆弾を持つことはないといってください」と迫った。

しかし大統領は、この質問に正面から答えなかった。頭を振りつつ、「イラン流に言えば、おんなじことを何度も言わせるなということじゃ。一度しか言わんのだよ。核爆弾を持つことは欲していないと一度言った。それですべてだ」

大統領は、時にはDiane Sawyerをからかうようにあしらい、逆に彼女に米国政府の行動の妥当性をyesかnoかと問う質問で応酬したが、極めつけは、キリストの教えに及んだくだりである。

「神の言葉を預けられしイエスキリスト("a prophet of God")の生誕の日、クリスマスをお祝いしよう。だがここで聞きたいのだが、アメリカの行動はキリストの教えにかなったものなのかね。キリストがここにいたら、果たしてアフガニスタンやイラクの戦争のことで罰をお下しになるのではないかね。この戦争に反対されるのではないかね。そうに違いあるまい」


南京30万人大虐殺72周年記念 Nanjing Massacre remembered

2009-12-14 | グローバル政治
2009年12月14日(月)

本日の、中国の「人民日報」のサイトを見てみると、英語版と日本語版では内容が違うことに気がつく。

日本語版では、11日付けで「習近平副主席が日本、韓国、カンボジア、ミャンマー歴訪へ」という記事と、「胡錦濤主席、日本の民主党代表団と会談」との記事が出ているが、英語版にはない。

記事によると、習近平副主席の訪日は、「日本政府、韓国政府、カンボジア政府、およびミャンマーのマウン・エイ国家平和開発評議会副議長の招待を受け、12月14日から22日にかけてこれら4カ国を公式訪問する」中のひとつであることがわかる。

そして、140人の国会議員を含む600人の大訪中団を引率した小沢民主党幹事長が、胡錦濤主席に語った言葉を、そのまま引用すると:

「中国の経済・社会発展の新たな成果や、国際・地域問題において中国の果たしている重要な建設的役割を高く評価。国際・地域情勢の深いレベルでの変化は、各分野での両国の友好協力の深化に、広大な展望を切り開いた。民主党は一貫して日中関係の全面的な発展を自らの務めとしており、今後も引き続き両党の交流制度を土台に、中国側との協力を強化し、日中戦略的互恵関係をたゆまず新たな段階へと押し上げるべく努力していく」となっている。

一方、英語版にあって日本語版にないのが、"Nanjing Massacre remembered after 72 years"(南京虐殺、72周年を偲ぶ)という記事である。

「人々は、第二次世界大戦中に日本の侵略軍が犯した南京大虐殺を生き残った人たちの写真展を訪れた。12月13日は、30万人が死んだ南京虐殺の72周年の記念日である(Dec. 13, 2009 is the 72nd anniversary of the Nanjing massacre, which left 300,000 Chinese people dead.)」との記事とともに、6枚の当日の模様を伝える写真を掲載している。


イラク、外国資本を入れて石油大国へ The two-day auction

2009-12-13 | グローバル政治
2009年12月13日(日)

イラクが、石油確認埋蔵量(proven oil reserves)で、サウジアラビアに注ぐ世界第2位となる公算が高まり、OPEC内にも生産割り当て(quota)に関して大きな地殻変動が起きるだろうと、Financial Timesがトップ記事で報じている。

イラク政府は、油田開発を外国企業に開放する方針の下、金曜日と土曜日に国際公開入札を実施した。その結果、イラク政府は、先にExxonMobil、Eni、BPとの油田開発契約を調印したことに続いて、金曜日にはRoyal Dutch Shellと中国のCNPCの両社と、そして土曜日にはロシアのLukoilと立て続けに契約調印を行った。

現在イラクの石油埋蔵量は、1,150億バーレルとされており、サウジの2,640億バーレル、イランの1,370億バーレルの後塵を拝して世界第3位である。しかしこのイラクの数字は、1970年代に行われた調査に基づくものであり、その後の探査技術の長足の進歩の結果を考慮すると、サウジアラビアと比肩するものになると推定されている。

今回、各社と合意に達した内容を総合すると、今後10年以内に原油生産は、現在の日量730万バーレルから、サウジを越える日量1000万バーレルに達する計画となる。しかし、目標の生産に達するにはパイプライン、輸出港の施設整備、道路建設などのインフラ整備が大前提となっている。

そして、最も大きな問題は治安回復が進むかである。日本からは今回の入札で、石油資源開発がマレーシアのPetronasと組んで、日量23万バーレルの油田開発権を獲得したが、「治安安定化までは自社社員は現地入りさせない」と発表している。イラク国内では、宗派間対立から首都バグダッドのみならず全土で爆弾テロは沈静化するどころか、激しさを増している状況下治安問題は予断を許さない。

しかも今回の入札は、「戦後」の石油利権の獲得を目指す各社の激しい競争となり、それを反映して開発報酬はダンピングとも言うべきレベルまで下がった。果たしてそれが、石油の販売から得る利益と大きな開発リスクと見合うかどうかはわからない。

さらに大きな不確定要素として残るのは、来年3月に予定される総選挙によって安定的な政府が樹立されるかどうか、またその政府が今回の外国企業との契約をそのまま継続するかどうかである。




オバマ、受賞演説での「良い戦争論」 American Exceptionalism

2009-12-11 | グローバル政治
2009年12月11日(金)

アフガニスタンに3万人を増派することを決定した直後のオバマ大統領は、ノーベル平和賞授賞式に臨み、その記念演説の中で、一貫して「戦争の中には(some war)には、『良い戦争』(just war)がある」との信念に基づき、大統領として決定した戦争拡大方針を正当化した。もちろん米国の戦っているのは「良い戦争」である。

この良い戦争と良い平和(the idea of a "just war" and a "just peace")という言葉の底にあるのは、「米国の考える正義が人類の正義であることは歴史が証明している」との信念である。

アメリカは常に正しいという主張(American Exceptionalism)が演説の随所に通奏低音として聞こえてくる。

「どんな誤りを犯していたとしても、この60年間にわたり米国はその国民の血と武力によって世界平和の維持に寄与してきたというのも事実なのだ」(“The United States of America has helped underwrite global security for more than six decades with the blood of our citizens and the strength of our arms.”)

「戦争行為は、平和維持のために一定の役割を果たす手段である。」(The instruments of war do have a role to play in preserving the peace.)

「アルカイダのように交渉では武器を捨てない集団がいるからこそ、時には武力が正当化されるという言葉を、冷笑の対象にしてはならない。その言葉こそが、歴史を(正しく)認識し、人類が不完全な存在であること、理性には限界があることを認識することにほかならないからだ。」

「戦争自体は、決して光り輝くものではないし、賞賛すべきものでもない。しかしそのことと、正義のために戦争は必要であり、またある種の人間の感情の表現であることは相反することである。それゆえ、この二つの真実にどう折り合いをつけさせることができるかが大きな課題なのだ」("War itself is never glorious, and we must never trumpet it as such, So part of our challenge is reconciling these two seemingly irreconcilable truths -- that war is sometimes necessary, and war is at some level an expression of human feelings.")

大統領が、このノーベル平和授賞に値する働きをしたかについての、米国世論調査が出ている。大統領はしたと答えたのは17%、まだだが将来するだろうという人が、35%、していないし将来もしないだろうと答えた人は、43%に達している。

こんな中で、いわば「褒め殺し」状況の授賞であるのだが、スエーデン側は、「オバマ大統領の平和への努力への応援」だと説明している。そして大統領は、「平和のために良い戦争を戦う」という、自己撞着に満ちた道を歩むことを宣言したのである。


オバマ、アフガン戦略発表へ "very aggressive"

2009-12-02 | グローバル政治
2009年12月2日(水)

本日,後数時間後の日本時間午前10:00よりオバマ大統領は、ウェストポイント陸軍士官学校で、米国のアフガン軍事作戦方針を発表する。

現時点までに、メディアに明らかになったところをまとめると、増派規模は、オバマ大統領が「当初想定した2万人」より多く、現地司令官の要請の「4万人以上」よりは少ない3万人を6ヶ月以内に展開し、米軍兵力を10万人とするものである。

このペースは「現地司令官の要請の1年」より加速されたものとなる。意思決定を遅らせて、実行を加速させるのは現実的ではないとの批判が出ているが、軍関係者は、「"very aggressive"だがやりぬく」とのコメントをしている。

そして撤兵の目途(timeline)は3年。これについては、反政府活動を鎮圧した上でアフガン軍・警察に治安維持能力をつけてから撤兵するには期間が短すぎるとの批判がすでに出始めている。

また、戦費は毎年300億ドル(約3兆円)が必要であり、このため戦費への充当目的の特別税(surtax)創設も俎上に上っている。大統領は発表の中で戦費調達の方針も明らかにする。

一方、CNNが緊急に行った世論調査では、アフガン増派に対して賛否は拮抗している。与党民主党支持者の間では、約7割が反対し、野党共和党支持者は7割が賛成している。男性は、支持が大勢を、女性は反対が大勢を占めている。

現在までの米兵のアフガニスタンにおける死者は900人、英国をはじめとするNATO軍の死者は、600名に達している。こうした拮抗する世論を背景にオバマ大統が、議会でこの戦争方針に対する賛成を得ることは、容易ではない。

また、「オバマのアフガン」が「ブッシュのイラク」の二の舞になることを懸念する声も出ている。大統領は、今月オスロで、ノーベル平和賞を授賞式に望むが、その際の受賞の答礼演説も注目される。


オバマ、アフガン派兵方針明日発表 To ‘finish the job’

2009-12-01 | グローバル政治
2001年12月1日(火)

オバマ大統領は、就任時にイラク撤兵とアフガン増派方針を打ち出しながらその後、最終決定を先送りしてきた。いよいよ先送りの限度である年末を控えて、火曜日夕刻(日本時間水曜日10:00)に、公式発表することを明らかにした。大統領発表では、増派規模の決定に加えて、増派の理由付けと、撤兵時期の明示が求められている。

最終段階でここまで増派についての意思決定が遅れた理由は、まず、アフガンの大統領選挙による不正投票が白日の下にさらした同国政府内にはびこる汚職の実態である。そしてタリバン掃蕩作戦がおよそ成功することがおよびもつかないほど膠着し、同盟軍の死者が急増していることである。そして現地軍司令官の4万人以上の増派要請に対し、現地大使が反対するという異例の事態に立ち至ったことがあげられる。

火曜日の大統領演説に先立ち、日曜日夜にヒラリー国務長官、ゲイツ国防長官に加え、McChrystal現地司令官とKarl Eikenberry大使を交えた緊急ビデオ会議が招集され、大統領から方針の説明があった模様である。それを受けて米国のメディアは、増派規模を3万人と推定報道している。これが事実とすると現在アフガニスタンには、68,000人の米軍が駐留しているので、ほぼ10万人の規模となる。

これに先立ち、オバマ大統領は先週、「自分の任期中にアフガン問題を片付ける(finish the job)」 と宣言している。またオバマ大統領を側面援助するために、盟邦英国のBrown首相は、5,000人の増派を決定し、派遣軍の規模を1万人にすることを議会に説明した。

イタリアのFranco Frattini外務大臣も増派をすでに発表している。オバマ大統領は、すでに英・仏・伊・露の各国首脳に直接電話で説明、ワシントン訪問中のオーストラリアのKevin Rudd首相には直接説明を行ったことが明らかになっている。

Brown首相は議会で、英国内からテロの危険を排除するためには、アフガン・パキスタン地域のアルカイダやタリバン勢力を駆逐することが必要と力説し、「この問題が生じたところで、同盟軍とともに戦わねば、われわれの義務を果たしたことにはならない」"We should be failing in our duty if we didn't work with our allies to deal with the problem where it starts."と発言している。

歴史を紐解けば、英国は、1838-42年と1878-80年の2回にわたり、ロシアとイランの勢力拡大を阻止するためにアフガンに侵攻し、現地のゲリラ軍に完膚なきまでに敗北を喫したという因縁の場所である。1979年に侵攻したソ連軍も、米国の支援を受けたタリバンに対して悲劇的な敗北を喫し、ソ連軍の権威失墜から、ベルリンの壁崩壊に至ったことは記憶に新しい。今タリバンに、米国をはじめとする西側同盟軍が挑んで、苦汁をなめている。





オバマ、アフガン増派で苦しい選択に  ‘I have a clean slate’

2009-11-19 | グローバル政治
2009年11月19日(木)

アフガニスタンのカルザイ大統領の二期目の就任式が、今日カブールで行われるが、米国からは従来言われていたアフガニスタン・パキスタン担当のホルブルック特別代表ではなく、急遽クリントン国務長官が代表として出席することになった。

同長官にとってアフガニスタン訪問は、初めてであり、カルザイ大統領との会談では、選挙時の不正投票問題を踏まえたうえで、政権全体にわたる腐敗体質からの脱皮について具体的なアクションを強く迫るものと見られる。

オバマ大統領は、マッククリスタル現地軍司令官の44,000名の増派要請を、9月に受けながら結論を先延ばしにしてきていて、ここに来ても、「数週間のうちには決めることになる」(only “over the next several weeks”)とのみ発言している。

米国は、カルザイ大統領が本気で腐敗追放に取り組まない限り(his commitment to stamp out corruption)、増派を決定しない構えで、カルザイ大統領に圧力を加える作戦だと、Financial Timesが論評している。(to use the uncertainty over his decision to exert more pressure on the government of Hamid Karzai)

共和党が、マッククリスタル現地軍司令官の早期増派決定要求を後押ししている。一方、増派に懐疑的な民主党議員は、駐アフガニスタン大使(元アフガン派遣軍司令官)が送った「政権腐敗に改善の確約がない限り、増派反対」との公電に勢いを得ている。一方、世論のアフガン政策に関するオバマ大統領支持率は50%を切ってしまった。

こうした状況に、オバマ大統領は、アフガン問題は、自分の任期中に片付け次期大統領には、「すべてケリをつけました」(clean the slate)と言えるようにしてから政権を渡したいと決意の程を披瀝した。

しかし米兵の死者が急増しタリバンの勢力がますます強まる中、ほとんど不可能な要求である「アフガンから汚職と麻薬を短期間に追放する」ことが米国と同盟国の増派の条件となったことは、大統領の政策選択の幅がさらに狭まったということである。



オバマ、ASEAN首脳会議に初めて出席 ‘Pacific President’

2009-11-16 | グローバル政治
2009年11月16日(月)

シンガポールでAPEC総会と同日に開催されたASEAN首脳会議に、オバマ大統領は、米国大統領として初めて出席した。

欧米諸国は、ASEANがミャンマーの1962年の軍事クーデーター以来とってきた非民主的な人権抑圧政策に、断固たる態度で臨んでこなかったことをこれまで厳しく非難してきた。

それもあり、米国はこれまでASEAN無視政策を貫き、高官の出席すら行ってこなかったことからするとおおきな政策の変換である。この大転換の裏には、この地域でますます影響力を増大させている中国への警戒感がある。東京演説で、オバマ大統領が自らを‘Pacific President’と呼んで、アジアへのコミットメントを深める意思表示をしたのも同じ背景からである。

オバマ大統領は、ASEAN首脳会議の伝統に従って、会議前に全員で手を組む行事にも参加した後円卓協議に臨んだ。しかし、ミャンマーのThein Sein首相と同じ部屋には入ったが、握手や直接の対話は両者の間にはなかった。

同会議で、オバマ大統領は、東京演説と同じく、ミャンマーの政治犯として20年間に渡って自宅軟禁を繰り返し課されているアウン・サン・スー・チー氏(Aung San Suu Kyi)の解放を求めた。

ただし、ASEAN首脳会議共同宣言には、即時解放は盛り込まれず、「ミャンマーの政治・経済改革を推進する新政策に期待する。国内の諸民族間の和解を達成し、2010年の総選挙が、自由で、公正で、すべての人々の意見が反映し、透明性のあるものとするよう望む」と述べるにとどまった。

こうしたASEAN諸国のミャンマーへの遠慮が先立つASEAN諸国は、現在のところ解決を米国頼みにしているのが実情である。制裁を加えながら軍事政権との対話を再開させようとする二面作戦(a two-prong approach)を進める米国の介入に期待しているのだとReutersは論評している。




オバマ、アジア重視に転換 US’s re-engagement with Asia

2009-11-15 | グローバル政治
2009年11月15日(日)

オバマ大統領は、昨日APECに参加するためシンガポールに出発する直前、サントリーホールで1500人の聴衆を前に演説した。Financial Timesは、演説の中の対アジア外交部分に絞った報道を行っている。その見出しは「オバマ大統領、中国は脅威ではないと演説」(‘Obama says China not a threat’)である。

「米国は発展を始めた中国を封じ込める政策は取らない(not to try to contain a rising China)。中国の発展は国際社会にとって強さの源となりうる。米国は世界の諸問題、たとえば温暖化問題、核拡散問題、世界の経済不均衡問題など中国の協力を求めていく」と、ブッシュ政権の中国敵視政策からの転換を明確にした。

今回大統領は人権問題について形ばかりは触れた(an obligatory reference to human rights)が、チベットの名前は一言も出さず、これから行う中国訪問のために言葉を控えた(a strikingly lower-key way)。

また、ブッシュ政権が、APECやASEANなどの地域経済連合を軽視している間に、中国のアジアでの影響力が増大し、日本には「対等関係を求める」鳩山政権が成立した現状を反省し、今回の演説でアジアへの回帰を強く打ち出した。(America’s re-engagement with the region after the perceived neglect of the Bush years)

オバマ大統領は、日本人聴衆を前に、いわば今回のアジア歴訪の基調演説(a keynote speech)を行ったわけであるが、あまりに中国重視政策を説くことをはばかって配慮も忘れなかった。

自らを、“Pacific president”と呼び、日本はその地域の重要パートナー(an essential regional partner)であると位置付けたのである。そして、大統領就任後ホワイトハウスを最初に訪問した外国首脳は鳩山首相であったこと、クリントン国務長官も自分もアジア歴訪の最初の国を日本にしたことを日本重視の象徴として取り上げた。「聴衆の中の日本人」は、それに対して暖かい拍手(warm applause )を送ったと報じている。

日本は、(Clinton 政権の‘Japan Passing’に象徴されるように)米国民主党が対中交渉を、日本の頭越しに行ってきたことに対していらだってきたのだと、Financial Timesは論評している。


アフガン増派に現地大使反対の衝撃 Two Classified Cables

2009-11-13 | グローバル政治
2009年11月13日(金)

オバマ大統領は、アフガニスタンにおける対タリバン制圧の戦略方針の決定を先延ばしにしてきたが、いよいよ決断のときが迫っている。今日から始まるアジア歴訪直後に、増派問題に決着をつけるのではないかと、全米のメディアが取り上げている。

大統領が決定を遅らせているもっとも大きな理由として、まず戦線膠着とともに米兵の犠牲者が増加し、急速に厭戦気分が広まっていることがあげられる。それに輪をかけてオバマ大統領の決断を鈍らせているのが、大統領選挙が図らずも世界に暴露したカルザイ政権の腐敗体質と脆弱性である。

現在ホワイトハウス内では、この2ヶ月で8回目のアフガン戦争遂行会議(War Council)が開催されているが、それに向けてKarl Eikenberry駐アフガニスタン大使が、「現状の脆弱なカルザイ政権下では、米軍の増派に反対する」旨の2通の機密電報(Two Classified Cables)を送ったことが明らかになった。

同大使が過去2年間にわたりアフガン派遣軍の総司令官であったことからその発言には重みがあるゆえに、ワシントンに衝撃が走っている。同大使の警告は、カルザイ大統領が、「対タリバン掃蕩を目的とする米国のパートナーとして不適格」との烙印を押したのと同じだからである。

一方、Stanely McChrystal現地総司令官は、44,000人の増派を8月に進言しているが、オバマ大統領の意を受けたGates国防長官の、「3万人、1万人の可能性」はとの問いかけに対し、「そのような中途半端な規模では制圧不能」と全面的に否定している。
現地総司令官と現地大使の意見衝突という重大局面における難問が急浮上したが、オバマ政権内では、バイデン副大統領が増派懐疑派であり、ゲイツ国防長官とクリントン国務長官が強硬派と色分けがはっきりしている。

共和党は、マケイン元大統領候補を急先鋒に、オバマ大統領の優柔不断を激しく攻撃している。大統領支持率は、就任直後の70%から50%まで落ち込んでいる。こうした状況下で、オバマ大統領は今日日本に到着する。

ベルリンの壁崩壊20周年記念 The Wall came tumbling down

2009-11-10 | グローバル政治
2009年11月10日(火)

1989年の「ベルリンの壁崩壊」(the collapse of the Berlin Wall)は、当時衝撃的な事件であったが、戦後の冷戦構造の終焉をもたらしたという意味で、その後の世界歴史に計り知れない影響を今なお持ち続けている。きのう11月9日はその日からきっかり20年の記念日であった。

昨日のベルリンは、あいにくの天気であったが、数十万人の市民が参加する盛大な祝典が催された。式典をリードしたのは再選されたばかりのメルケル(Angela Merkel)首相である。同首相は、最初の東ドイツ出身の首相でもある。

メルケル首相は、あの日東ベルリン市民が、なだれを打って西ベルリンに入った記念すべきボルンホルマー街(Bornholmer Strasse)の検問所の橋を、歩いて渡った。
そばにいたのは、旧ソ連の当時の首相だったゴルバチョフ氏と、当時のポーランドの労働者による解放組織「連帯」(the Solidarity)の議長であり後に大統領となったワレサ氏である。

メルケル首相は、演説中にゴルバチョフ氏のほうに向き直って、「何かが起こるためには、まずソ連の中で何かが起こらなければならないと思っていた。あなたがすべての流れをこの方向に変えてくれたのです。それは当時誰もが願っていたもの以上のことでした」(it was a lot more than we could have hoped for at the time)

ベルリンを戦後分割統治していた、米・英・仏・ソ連の4カ国の首脳も、東西ベルリン分断の象徴であったブランデンブルグ門(the Brandenburg Gate)の前で行われた公式祝賀行事に参加した。

英国は Gordon Brown首相, フランスはNicolas Sarkozy大統領 、ロシアからはDmitry Medvedev大統領が参加した。米国からは、オバマ大統領がビデオメッセージを送り、現地ではClinton国務長官が参加して、「今なお圧制から人々を解放する努力を続けなければならない」という趣旨の演説を行った。

式典には、厳粛な旧ソ連や旧東ドイツの弾圧の犠牲者への追悼式に加えて、Bon Joviのロックコンサートも催された。そして目を引いたのは、ベルリンの壁崩壊が、東欧や旧ソ連諸国の解放につながっていったことを象徴する壮大なドミノ崩しが準備されていたことである。一枚一枚に絵が描かれた巨大な「駒」1000枚が1.5kmにわたって並べられ式典中に倒された。



オバマ政権に暗雲 Wave After Wave of Bad News

2009-11-08 | グローバル政治
2009年11月8日(日)

オバマ大統領は、就任以来最初のアジア歴訪の旅程を遅らせて、Texas州、Fort Hood陸軍基地で発生した銃乱射事件の犠牲者追悼式典に出席することを決めた。

注目されるのは、「追悼式の日程は、犠牲者の家族の都合にあわせて決められる」としたことであり、これによって日本への到着は遅れ、日本での滞在時間は短縮される。

この銃乱射事件に関して、金曜日の夜大統領は、ホワイトハウス内のthe Oval Officeに、Gates,国防長官、Mike Mullen統合参謀本部議長、FBI長官のRobert Mueller、John Brennan国土安全省長官を集め、この事件の分析を行った。その内容は極めて緊迫(intense)したものであったという。

この会議の直後に、オバマ大統領は10月の失業率が26年ぶりに10%台に乗せたという報告を受けた。この数字は、職探しをしている人を加えると、実質失業率は17.5%に達する。オバマ大統領が誇ってきた巨額の経済救済策の効果に、深刻な疑問が生じた。

こうした週末の事件のみならず、「今週はオバマ大統領にとってbad newsが連続した厳しい週だった」とABC Newsは、論評し、「まるで浜辺に立っている足元が、次から次へと悪いニュースの波で洗われているようだ(Wave After Wave of Bad News)」というホワイトハウスの関係者の言葉を紹介している。

まず、アフガニスタンの大統領選挙が不正投票問題で再選挙となったが、今週対立候補による忌避でカルザイ氏が再選された。しかしその政権の合法性や、民主制度に重大な疑問符がついたことは、アフガニスタン米軍増派や同盟国の支援体制に少なからず悪影響が出始めていること。

さらには、New JerseyとVirginia両州の知事選挙で、民主党候補が連敗し、民主党優位の政治局面に重大な転機が訪れる事態となったこと。

そしてアフガニスタンへの派兵拠点の、Fort Hood陸軍基地でのアラブ系米国人軍医による大量射殺事件に至ったのは、偶然とはいえ、増派決定で世論が二分している状況下で、あまりにタイミングが悪い。

翻ってこのオバマ大統領の日本到着を遅らせるとの決定と、岡田外相の訪米受け入れが実現しなかった経緯とあわせ考えると、米国政府の鳩山政権の位置付が浮かび上がってくる。



クリントン、パレスチナ調停不調 Freeze or Restraint

2009-11-02 | グローバル政治
2009年11月2日(月)

クリントン米国務長官が、パレスチナ和平交渉の再開を目指して、31日にアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、パレスチナ自治政府のアッバス(Mahmoud Abbas)大統領と会談後、週末にイスラエル入りして、ネタニヤフ・イスラエル首相(Benjamin Netanyahu)と会談した。

和平交渉の前提条件となっていたのは、ヨルダン川西岸(the West Bank)と、東イスラエル地区に対するイスラエルの入植活動の全面的な凍結(a comprehensive settlement freeze)であったが、クリントン国務長官はイスラエル側の強硬な反対姿勢をくずすことができなかった。

先月、オバマ大統領、アッバス大統領、ネタニヤフ首相がNew Yorkで会談した際も、調停は不調であり、オバマ大統領も、「全面的凍結」という言葉を使えず、イスラエルの「入植活動の抑制」("restraining" settlement activity)という表現まで後退させざるを得なかったという経緯がある。

アブダビ会談でもアッバス大統領が、「全面的凍結」を再度要求した直後のクリントン国務長官の現地入りであったので、調整余地は事実上なかった。

クリントン国務長官は、ネタニヤフ首相と会談後共同記者会見に臨み、「入植活動の自制を提案していることは前例がない(unprecedented)と賞賛したが、これがパレスチナ側の怒りに火をつけた。

自治政府のスポークスマンは、「前例がないという言葉は、入植前面凍結以外には使えない」と反論。「2003年の和平手順合意(the 2003 road map)時点から、イスラエルは73,000人の新規入植者を許し、その人口は17%増加している」と、歯止めのない入植活動の拡大の現状を非難した。

オバマ政権は、米国内のユダヤ人の影響力が強大なため、これ以上イスラエルを強硬に説得することは不可能である、そしてパレスチナもイスラエル双方とも穏健派が表舞台から去ってしまっている。そして、アッバス大統領も次期選挙には出馬しない意向である。

穏健中道派であった同大統領の心境に関して、自治政府スポークスマンは、"He feels betrayed by Arabs, Israelis, some Palestinians and to a certain extent by the Americans"(アラブ人にも、イスラエル人にも、パレスチナ人の一部にも裏切られたという思いでいる。そしてアメリカ人にもいくばくか裏切られたと思っている)とCNNに語った。

オバマ大統領の、解くべき外交問題に、もう一本難しい方程式が加わった。