ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

「あの日から世界が変わった (コスモブックス)」

2002年09月22日 | 読書
著者はその日、たまたまニューヨークに居合わせた日本人だった。
 だが、それは「たまたま」ではなかった。日本脱出以来18年、アメリカをこよなく愛し、それゆえにアメリカを愛しきれない男が、あの日、WTCのすぐ近くに居合わせたのは天の配剤だったのだろう。
 フリーランスのガイドをしていた著者は仕事がなくなったが、そのかわり、毎日デジカメを持って街へ出た。何枚もの写真を撮り、人々に問いかけ、9.11の意味を考える。偏狭な国家主義へと走るアメリカ合衆国政府とアメリカン達に警鐘をならしつつ、なおもその中で生きざるをえない人々の声を拾い上げ、ニューヨークへの限りない愛を告げる。
「NYよ、バカ野郎だけどありがとうよ」。

 誤植の多さがなければ満点をつけたのだが、惜しい。写真も数多く掲載されており、この一年で70冊も出たテロリズム関連図書の中でも必読の一冊といえる。
 テンポのよい文体、歯切れよい辛口批評の数々は拝聴に値する。アメリカ人も日本人も愛を込めてバカだと言われているのだ。心しよう。(bk1書評投稿)

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あの日から世界が変わった (コスモブックス)
ニューヨークGood Bye物語
たけちよ著
出版 : アートブック本の森: 2002.8




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