岐阜県議会議員 太田維久(おおた・まさひさ)のblog

再生、飛躍、「政策維新」
生活を支え、生命を守る政治を実現する。

県議会一般質問2「老老介護・認認介護について」

2010年12月13日 22時03分22秒 | 県政全般

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問をさせていただきます。今回は大きく三つの項目についてお尋ねします。
 急速な高齢化で介護を巡る政策も新たな課題に直面するようになっています。今年、65歳以上の高齢者人口は2874万人、総人口に占める比率は22.5%。高齢者人口は数年以内に3000万人を超え、15年後の平成37年には3473万人、総人口に占める比率は28.7%と見込まれています。15歳から64歳までの人口に対する65歳以上の人口の比率、すなわち老年人口指数を見ますと今年は35.2.これが15年後の平成37年には48.0とほぼ二人に一人の割合で高齢者を支えることになります。
 介護や医療などにかかる経費を誰がどの程度負担するのかという大きな課題、急増する高齢者人口に対応できるサービス基盤を整備する課題、そして介護人材の確保や在宅での介護の在り方など、介護の担い手の在り方といった様々な難題が待ち構えています。現在、そうした難題が姿を見せ始めていることから、国も自治体も実情・将来展望の把握と対策を考える段階に立たされています。今議会の質問では、こうした観点を踏まえ、まず二つの項目、介護と障害者福祉の課題についてお尋ねします。

質問1)老老介護について

 最初に、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」について、とりわけ「認知症の症状がある人が認知症の人を介護する」という「認認介護」についてお尋ねします。
 高齢社会の進展で、高齢者が、やはり高齢者の配偶者を介護することだけでなく、高齢者がその親・兄弟姉妹を介護することも一般的になってきました。そのなかで、家族の誰かが介護が必要な状態になり、介護者が心や体の疲労、将来への絶望に駆られて殺人や無理心中へと至る悲惨な事例が相次いでいます。
 愛知県西尾市では今年2月、介護に疲れたとして83歳の夫が79歳になる寝たきりの妻の首を絞める事件が起きました。また岡山県倉敷市では84歳の寝たきりの妻と77歳の夫がともに死亡しているのをホームヘルパーが見つけるという介護疲れによる心中と見られる事件が起きてきます。介護をめぐる悲惨な事件があとを絶たないなかで、いま述べたような「老老介護」に関わる事件も度々伝えられるようになっていることは、たいへん痛ましいことです。
 こうした「老老介護」について実態調査をしたところ、たいへん憂慮する事態が明らかになりました。全国水準よりも高齢化が進む山口県での調査です。山口県地方自治研究センターでは、今年、連合山口の組合員、および県内の居宅介護支援事業所と訪問看護事業所のケアマネージャーにアンケートを行い、「老老介護」の実態を調査しました。その結果、冒頭述べた「認知症の症状がある人が認知症の人を介護する」という、「認認介護」という状況の広がりが見えてきました。回答のあった在宅介護の5700人余りの介護状況をまとめたところ「老老介護」が1403人で24.5%、そのなかで二人とも認知症であるという回答は146人で、「老老介護」と答えたなかの10.4%が「認認介護」だということでした。山口県地方自治研究センターでは、この数値をもとに県内全体の「認認介護」の数を推計したところ、実に1000家族以上に上る可能性があるとのことでした。認知症の高齢者も増えている現状からすれば、全国的に相当数が「認認介護」の状況にあると考えられます。
 実際、「認認介護」を巡る事件も報じられています。十分な介護が出来なくなるだけでなく、介護を受ける方を意識せずに虐待してしまった。認知症が進み近所づきあいが少なくなって、外から介護を受けている状況が分からない。栄養が摂れているのか、火事などを起こしはしないかなど、「認認介護」を巡る心配や課題は多くあります。しかしプライバシーの壁であったり、そうした家族を支える介護ヘルパーの人手不足などから状況は不明瞭なままです。
 「認認介護」の場合、ものを言わずに事態は深刻化してゆきます。そして急速な高齢化のなかで、この状況はますます増えてゆくと思われます。岐阜県としても一刻も早い実態の把握と、少しでも事態を改善できる施策が求められます。

 そこで健康福祉部長にお尋ねします。
 岐阜県内における、高齢者の親を高齢者となる子が介護する「老老介護」、さらには「認知症の症状がある人が認知症の人を介護する」という「認認介護」の状況把握はどうなっているのでしょうか?
 そして、どのように支援策を講ずればいいのでしょうか、お考えをお聞かせください。

 答弁:近田健康福祉部長

 まず、いわゆる老老介護や諺語介護の状況把握についてお答えをいたします。
介護などの支援を必要とする高齢者の状況については、介護保険の保険者である市町村において、3年に1回、介護保険事業計画を策定する際に把握・分析をしております。
しかしながら、これまでの把握方法は、高齢者本人が希望するサービスを把握することが重視され、高齢者の身体-生活状況について客観的に把握する視点が不十分との指摘もあり、県といたしましても、老老介護や認認介護を含め、高齢者の実態をよりきめ細かく把握することが必要と考えております。
 このため、県では、先月、高齢者の実態把握に活用できる調査項目の提供や、効果的な実態把握のあり方について意見交換を行う会議を県内5圏域で開催するなど、市町村における高齢者のより正確な実態把握への支援を姑めたところです。
 県といたしましては、来年度行う、次の県高齢者安心計画の策定に向け、引き続き、市町村における実態把握調査の支援や圏域会議の開催により、県内高齢者の実態の的確な把握に努めてまいります。
 次に、老老介護や語語介護の支援策についてお答えをいたします。
 老老介護や語語介護の方々を支援するためには、こうした高齢者の方々の生活・身体状況に適したサービスや支援を提供するとともに、高齢者の方々がそれらのサービスなどを利用できるよう、地域の相談体制を充実させることが必要と考えます。
 このため、県では、在宅の要介護高齢者の生活を支えるために有効な、20分未満の短時間の訪問介護サービスの新設や、認知症高齢者が入居できるグループホームなどの整備に積極的に取り組んでおります。
 また、高齢者やその家族の相談に応じる地域包括支援センターの人材養成・確保の支援や、民生委員の活動の支援を行うとともに、認知症を理解し、認知症のある高齢者や家族の見守りを支援する認知症サポーターの養成にも努めております。
 来年度行う、次の県高齢者安心計画の策定においては、市町村を通じて把握される高齢者の実態のきめ細かい分析を踏まえ、これらの支援の一層の充実を検討し、老老介護や認認介護の方々が安心して募らせる体制づくりを盛り込んでまいります。


最新の画像もっと見る