年末とは言え、ブログを見ていただける方々がいることに本当に感謝!
忙しくて忙しくてアップ出来ないのに。
ちょっと時間が出来たので、12月の県議会本会議の質問と答弁をアップ。
Ⅰ.県立三病院の運営について
議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく三つのテーマについてご質問します。
最初に、来年春に独立法人化する県立三病院の経営についてお尋ねします。これまで何回か、この議場でお聞きしてきたテーマですが、全国的に課題となっている自治体立病院の経営見直しという観点だけでなく、見直しの議論を通じて地域医療の質をいかにより高く、継続可能なものにするかというスタンスでご質問し、前向きのご答弁をいただいてきたものと考えています。今回は最終段階に差し掛かりつつあるということで重ねてご質問させていただきます。
県立三病院については今年春に県議会で定款を議決し、来年度から五年間の業務運営の目的や方向性を示す「中期目標」が現在作成されています。「中期目標」の案は先月末に開かれた評価委員会で示され、来年3月に議会の議決を経て独立行政法人に移行するということです。これまでのご答弁で述べてこられたように、経営形態は変わっても三病院それぞれが公的病院としての務めである救急医療や高度医療、周産期医療など、政策として取り組むべき医療を地域の中心的な病院として提供するという使命を果たし、そのために、医師不足の解消、手厚い看護体制の導入や愛知県内の病院への流出などに起因する看護師不足の解消などに迅速に対応する体制をつくることが求められます。
独立行政法人化は最終段階に入った訳ですが、いくつかの点で課題があるように思います。
ひとつは経営の現状とその先行きです。先日まとまりました平成20年度の岐阜県病院事業決算を見ますと、経営の先行きを懸念する内容となっています。決算では、三病院あわせて赤字額は、27億1869万円と三年連続の赤字決算です。三病院それぞれが赤字決算なのですが、岐阜市の総合医療センターの赤字額は前の年度をおよそ9億円上回る17億2700万円、下呂温泉病院は前の年度を2億円近く上回る8億5800万円と、いずれも赤字額を増やしています。総合医療センターについては医療機器の更新に伴うということで、収入自体は前の年度と比べると1億円ほど増えており、今年度以降の経営見通しは見えつつあるようですが、下呂温泉病院を見てみますと、収入も5000万円近く減っている厳しい事態です。建物は新築移転する計画があるものの、現状では老朽化し、耐震基準も不十分です。いままでも経営努力はされていますが、医師の確保をしてゆかなければ経営が危ないと指摘もあります。
下呂温泉病院につきましては、中期目標の評価委員会でも医師会の代表者から「他と同じような病院ではなく、温泉療法やリハビリテーションを主とした特徴ある病院にしてもらいたい」とか「学会や研修会を呼べるような病院施設にするとよいのでは」という意見もあがっていました。経営安定のために、地域医療を支える責任を果たしながらも、特徴ある病院、大胆な経営戦略を持った病院をつくるべきであると私からも意見とさせていただきたいと思います。
一方、今後の運営面にも課題があると思います。その一つが事務運営と言われています。独立行政法人化に伴い、それぞれの病院事務局の事務量は現在よりも増えるものと想像されます。特に岐阜市の県総合医療センターでは、現在でも相当忙しい状況であると聞きます。来年度から5年間の独立行政法人移行期をスムーズに乗り切るためには経営の負担を増やさずに、現場の事務作業を効率的かつ安定的にこなせる環境づくりを行う必要があります。そして移行後は長期的に病院経営に取り組む、いわゆるプロパーの事務職員が必要になってくるものと思います。また医師が辞めてしまう原因として診療以外に費やす事務的な負担が大きいことも指摘されています。医師の負担を減らすためには医療秘書の体制を充実させる必要もあるでしょう。こうした事務運営は、直接患者とは関わりませんが、病院を動かすにあたって十分な対策が必要不可欠と言えます。
また、これまでほとんど触れてきませんでしたが県立三病院に隣接した県立看護専門学校の今後もどうなるのか気がかりです。月間の授業料10000円に満たず、家計への負担を少なくして、即戦力の看護師を養成する医療教育機関として役割は大きいのですが、県立三病院の独立行政法人化にあわせて在り方等の変化が求められるのでしょうか。
<質問>
そこで健康福祉部長にお尋ねします。
1)平成20年度決算で総合医療センターと下呂温泉病院の赤字幅が拡大していますが、三病院の独立行政法人化後の運営見通しはいかがでしょうか。また、以前に質問してご答弁いただいた独立行政法人化後の経営安定化基金については、何を原資にして運営をしてゆくのでしょうか。
2)二つめに、病院の事務的な体制をどのように改善して、効率的な事務運営を進めることが出来るようにしてゆくのでしょうか。
3)そしてもう一点、三病院それぞれに隣接されている県立の看護学校、つまり県衛生専門学校、多治見看護専門学校、下呂看護専門学校について、病院が独立行政法人化されてから、運営形態や人事的な交流はどのようになるのでしょうか。また、近くの他の看護専門学校などとの連携はいかがでしょうか。
平成21年12月10日(木)
太田議員(県民・岐阜市)
「県立3病院等の今後について」
答弁者:健康福祉部長(当日の答弁内容)
最初に県立病院の経営状況と経営安定化基金について、お答えいたします。
近年の診療報酬の大幅な引き下げ等によりまして、全国の公立病院の経営は非常に厳しくなっております。県立3病院においても、同様な傾向にございます。
今後は、地方独立行政法人化によりまして、柔軟な医療従事者等の確保や多様な契約手法の導入などが可能となり、収入の増加や経費の節減により、一層の経営の安定化を図ってまいりたいと考えております。
特に、下呂温泉病院では、施設の老朽化や医師不足なども影響し、外来、入院患者数が減少しておりますが、今後も、地域にとって必要不可欠な病院であると考えております。
このため、独法化のメリットを活かしつつ、地域ニーズに対応した新病院を建設し、経営の改善を図ってまいりたいと考えております。
また、3病院において一時的に資金不足が発生するといった不測の事態に備えるため法人化前に病院事業会計から一般会計に一定の資金を繰り出して県に経営安定化基金を設置し、県から法人へ貸し付ける仕組みについて検討を行っているところでございます。
次に、病院の事務運営の強化について、お答えいたします。
病院の事務運営の強化は、適正な医療を継続的に提供していくために必要不可欠でございます。そのため、職員の採用、育成について、法人自ら柔軟に行えるという独法化のメリットを最大限に活かすことが重要になると考えております。
病院特有の事務に精通した法人職員を計画的に確保・育成することにより、事務部門の専門性の向上を図ること、また、多様な専門職の活用による効果的な医療を提供することを、県が策定する中期目標に盛り込む予定といたしております。
具体的には、プロパー職員の計画的な採用と専門研修の実施、医療事務作業補助者等の配置による医師の負担軽減などにより、事務運営の一層の強化を図ることとしております。
最後に、県立看護学校について、お答えいたします。
県立看護学校では、看護師や助産師を育成しており、毎年100名以上が県立3病院をはじめ県内医療機関等に就業するなど、県内の看護人材の確保に大きな役割を果たしてきております。
学校は、現在、県立3病院とは別の組織として運営しており、病院の独法化後も、引き続き県立学校として、看護人材の育成に努めてまいります。
また、優秀な看護教員の育成・確保には、看護の現場との人事交流が必須であることから、独法化後も、看護学校と県立病院との人事交流を行ってまいります。
さらに、県内の看護専門学校12校で組織する「岐阜県看護教育機関連絡協議会」における研修事業や情報交換等を通じて、他の看護学校との連携を図り、看護教育の充実に努めてまいります。