岐阜県議会議員 太田維久(おおた・まさひさ)のblog

再生、飛躍、「政策維新」
生活を支え、生命を守る政治を実現する。

森林・環境税の導入について

2010年12月17日 02時12分15秒 | 県政全般

県の独自の税になる森林・環境税について、県議会の委員会(厚生環境常任委員会など)で審議がありました。

森林税12年度にも課税 県骨子案、年度内に是非判断
                                  岐阜新聞2010年12月14日

県は13日、導入を検討している森林・環境税について、導入の是非を含めて県民に議論してもらうための骨子案を明らかにした。課税期間を5年間とし、期間終了後に同税を使った事業の達成状況や効果を検証し、継続を判断することなどを盛り込んだ。
導入する場合、課税は最も早くて2012(平成24)年度からとの見通しも提示。県は骨子案に対する意見を聞いた上で、年度内をめどに導入の是非を判断する。同日の県議会厚生環境、農林の各委員会で示した。
骨子案では、名称を「清流の国ぎふづくり県民税(仮称)」と提示。豊かな森づくり、清らかな川づくりに必要な事業費を今後5年間で約60億円とし、県民税均等割に加算する方式をとった場合、税率は個人で年額1000円、法人は年額で均等割額の10%(2000円から8万円)になるという試算を示した。さらに、税収とその使途を明確にするため基金を設けて、税財源を管理することを明記。県民の意見を反映させ、事業過程の透明性を確保するため、県木の国・山の国県民会議、環境審議会で事業計画の審査、事業評価を行うことも盛った。

森林・環境税については、間伐など森林整備の財源の一部に充てるものとしての導入を考える質問を去年の一般質問でも行ってきました。確かに更なる負担を県民や県内企業に求めるものですが、森林の持つ公共的な役割・全県的全国的な価値を考え、広く浅くの負担をお願いして財源をつくってゆきたいと考えています。
ただし、更なる負担を求めるのですから、その使い道が明確であり、無駄ではないということがはっきりしなければなりません。きょうの連合岐阜との政策懇談のなかで、当局から「他県で森林整備の重要性を周知させるための広告宣伝に同様の税があてられている」という例を示していましたが、それは代理店に行ってしまうので、やはり直接森林整備に充てられる方が望ましいと考えます。
ほかに大事なこととして、「豊かな森づくり、清らかな川づくり」、をお題目にしているのならば、森川海の連携と矛盾した県政施策が行われていたらまずかろうと思います。具体的にはダムに頼りすぎる治水、長良川河口堰、木曽川水系連絡導水路に代表されるが森川海の生態系への影響がこの趣旨とそぐわないことです。常任委員会ではこの点(具体的に河口堰~とかは言いませんでしたが)を指摘しました。
そして岐阜の「うみゃー水」を享受している下流自治体にも、本当はもっと負担をして欲しいということです。愛知県知事・名古屋市長選挙で、広域行政について挙げられるならば、愛知・名古屋の目線だけでなく、こちらの目線で、例えば森林整備への負担なども言及されないものでしょうか。

 

 


県議会一般質問3「重症心身障がい児・者を支える施設について」

2010年12月14日 21時40分36秒 | 県政全般

 続きまして、重症心身障がいのある方を支える施設についてお尋ねします。この質問でも、支援する人の高齢化という課題が現れます。
 質問のなかで触れる重症心身障がいについてご説明しますと、重度の肢体不自由と重度の知的障害とを合わせ持った状態のことです。具体的な病名で言うと様々でして、脳性麻痺、病気や事故による脳の損傷、あるいは先天的な障がい、などによるものです。統計によりますと、該当する方は、全国で3万8000人いらっしゃるということです。そのなかでも、特に重い症状の中には身体の自由だけでなく意思を伝えることも難しく、座ることはできる、あるいは寝たきりで常に介護、あるいは看護が必要な方もいます。
 重症心身障がいの方々への対策は、歴史的に見ると障がいの種類ごとの施策のなかで大きく欠けていた部分でありました。そこへ大きな進歩をもたらしたのが一昨年、伊藤秀光議員が一般質問でご紹介された重症重複障害児の集団療養施設「近江学園」の取り組みでした。そして重症心身障がいの場合、社会参加・社会復帰の可能性は現実には極めて低いことから、成人後も対応できる施設の必要性が叫ばれ、障害児・障害者が一貫して過ごせる施設が整備されてきました。ところが、現状でも入所・入院できる施設が足りず、施設での看護・介護を希望されても在宅で過ごさざるを得ない事例、あるいは家族をはじめとする保護者が希望する施設に入れない事例が多くあります。
 
 今回、このテーマで質問をすることになったのは、ある相談がきっかけでした。岐阜市内の年配の方から「子供が重症心身障がいで他県の病院に入院しているが、岐阜市あるいは近辺の施設に転院できないだろうか」ということでした。同様のご相談は皆様も受けられたことがあると存じます。お子さんは乳児期の病気が原因で、現在に至るまで寝たきりで過ごされています。親御さんはご高齢ですが、いまも月に一度はお子さんに面会に行っています。しかし、往復の費用もかかることと、ご自分の体力を考えるといつまでこの遠距離の面会を続けられるか、と悩まれていました。そこで何とか自分の暮らす岐阜市か近辺の施設に転院させたい、ということでした。岐阜市には、独立行政法人国立病院機構長良医療センターがあります。特に症状の重い方を受け入れており、重症心身障がい対応の140床程度の病床は空きがないのが実情です。県の子供相談センターで入転院の受け付けを行っていますが、待機者の中から順次受け入れをしている状況で、現実にはすぐに転院は厳しいようです。
 相談を受けて、県障害福祉課に問い合わせたところ、今年9月現在、岐阜県の方で重度心身障がいとして施設の入所・入院をしている方は189人、そのうち長良医療センターに入院している人は106人、それ以外の83人は県外の施設を利用されています。福井県内の病院が26人、滋賀県が17人、石川県が12人、愛知県が10人などということでした。

 今年の厚生環境常任委員会の県外視察では、佐賀県の社会福祉法人「整肢学園」を訪問しました。元は肢体不自由のお子さんを支援する施設でしたが、重度心身障がいの方の支援や看護を行う取り組みも行うようになり、現在140床程度の重症心身障がい病床のうち、17人の超重症と言われる方が入院されています。視察では病床にも伺いました。四肢、つまり手足全て自由が利かず、寝たきりの方々のうち、気管切開などで人口呼吸器による呼吸管理を行っている方、年齢は幼児から、高い方で六十歳代の方もおられるということでした。施設の方からは、付き添うご家族のご負担のこと、また預けたまま面会に訪れることもないケースもあるということでした。それを聞くと、やりきれない思いに駆られる一方で、長い年月にわたって献身的な看護・介護をしなければならない家族のご負担にも思いをはせました。しかし、その眼の輝きに命の輝きを見、私たちが聞き取ることが出来ない声にその方々の尊厳を聞き取れるとき、この方々に対してこそ、政治とか行政は力添えをしなければならないとの思いを強くするはずです。
 岐阜での事例と同様に、佐賀県の整肢学園でも、入所を希望するも空きがなく、県外の施設に入所する事例、また他県に住みながらも、そこで空きがなくたまたま整肢学園に空きがあって入所した事例があるということでした。そう考えると、重度心身障がいの方の施設入所・入院が都道府県を越えて行われているのは全国的な現象ではないでしょうか。そして家族の負担、取り分け高齢になる親の負担を考えると、今後は出来る限り居住地に近い施設に入所・入院が出来るよう一層の施設整備が求められるのではないかと思います。

 そこで健康福祉部長にお尋ねします。
1)まず、岐阜県内において、重度心身障がいの方の入所・入院施設が長良医療センターに限られている現状において、県外の施設の利用は止むを得ないことですが、子供相談センターは他県との調整をどのように進めているのでしょうか?

2)そして、重度の心身障がいを持つ方について、施設での入所・入院を保護者が希望されている方がどれだけいるのか、実態把握はどのようになっているのでしょうか?

3)また県財政が非常に厳しいなかではありますが、今後、県内において重度心身障がいの方のための施設整備をどのように進められるお積りですか。まだまだ支援の手が望まれている分野です。佐賀県の整肢学園と同様の施設として岐阜県でも県立希望が丘学園がございますが、希望が丘学園の整備計画も含めてご検討はあるのでしょうか。

 ちょうど昨日までが、障害者基本法で定められた障害者週間です。障がいのある方の個人の尊厳が重んじられ、特に最も弱い立場にある方に一層の支援の力が寄せられることを願って、真摯な御答弁をお願いいたします。

答弁:近田健康福祉部長
 次に、重症心身障がいの方々を支える施設について3点お尋ねをいただきました。まず、県外施設利用に関する調整についてお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、県内をはじめ、全国的な重症心身障害児施設の定員の不足により、県内の唯一の施設である長良医療センターに県外から30名の方が入所されているのに対し、岐阜県からは83名の方が近隣8県の施設に入所されています。
 こうした複数県にまたがる施設間での入所調整については、近隣県の施設の空き情報が子ども相談センターに入った都度、県内の入所希望者の状況を総合的に判断し、緊急度の高い方から入所をしていただく仕組みとなっております。
 なお、施設への入所を希望しながら在宅で生活している方々に対しましては、医療費の助成や生活用具の給付、訪問サービスや短期入所の利用、余暇活動や介護のリフレッシュの機会の提供、個別の相談への対応など、各種制度や事業による支援策を講じているところでございます。
 次に、施設への入所希望等の実態把握についてお答えをいたします。重症心身障がいを持つ方々への支援を充実させていくため、現在、県では、在宅で生活中の方々とその保護者の現況や、各種サービスの利用希望に関する調査を進めております。具体的には、本年10月から、県下各地域に配置した「重症心身障がい者支援連携推進員」が、重度の身体障がいと知的障がいを併せ持つ方、約5,000名を主たる対象に、聴き取りの方法により調査を実施しております。
 その中で、ご本人の障がいの程度や家庭での医療的ケアの内容、将来の施設への入所
希望や、ご家族が介護できない時の短期入所への希望などについて伺っております。そのデータを元に、地元の市町村や施設、医療機関にも協力を求めながら、今後の支援体制の充実を図ってまいります。
 次に、県内での施設整備の推進について、お答えをいたします。先に申し上げましたとおり、現在、多くの方が県外の施設へ入所されており、今後とも、施設や在宅での医療的ケアを一層充実させていく必要があると考えております。その中で、四肢と体幹の機能に障がいを有する肢体不自由児の施設である県立希望が丘学園は、県長期構想におきまして平成30年度までに、老朽化した現在の施設を再整備する計両となっております。また、現在、国において肢体不自由児施設や重症心身障害児施設も含めた施設体系の見直しが進められており、県といたしましても、障がい児のための新たな中核施設の役割について、具体的な検討に着手すべき時期にあると認識をいたしております。
 そこで、先に述べた実態調査の結果や、引き続き重要な役割を果たしていただく必要のある長良医療センクーとの連携なども踏まえながら、重症心身障がいを持つ方々のための施設整備の在り方について、今後、検討を進めてまいります。


県議会一般質問2「老老介護・認認介護について」

2010年12月13日 22時03分22秒 | 県政全般

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問をさせていただきます。今回は大きく三つの項目についてお尋ねします。
 急速な高齢化で介護を巡る政策も新たな課題に直面するようになっています。今年、65歳以上の高齢者人口は2874万人、総人口に占める比率は22.5%。高齢者人口は数年以内に3000万人を超え、15年後の平成37年には3473万人、総人口に占める比率は28.7%と見込まれています。15歳から64歳までの人口に対する65歳以上の人口の比率、すなわち老年人口指数を見ますと今年は35.2.これが15年後の平成37年には48.0とほぼ二人に一人の割合で高齢者を支えることになります。
 介護や医療などにかかる経費を誰がどの程度負担するのかという大きな課題、急増する高齢者人口に対応できるサービス基盤を整備する課題、そして介護人材の確保や在宅での介護の在り方など、介護の担い手の在り方といった様々な難題が待ち構えています。現在、そうした難題が姿を見せ始めていることから、国も自治体も実情・将来展望の把握と対策を考える段階に立たされています。今議会の質問では、こうした観点を踏まえ、まず二つの項目、介護と障害者福祉の課題についてお尋ねします。

質問1)老老介護について

 最初に、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」について、とりわけ「認知症の症状がある人が認知症の人を介護する」という「認認介護」についてお尋ねします。
 高齢社会の進展で、高齢者が、やはり高齢者の配偶者を介護することだけでなく、高齢者がその親・兄弟姉妹を介護することも一般的になってきました。そのなかで、家族の誰かが介護が必要な状態になり、介護者が心や体の疲労、将来への絶望に駆られて殺人や無理心中へと至る悲惨な事例が相次いでいます。
 愛知県西尾市では今年2月、介護に疲れたとして83歳の夫が79歳になる寝たきりの妻の首を絞める事件が起きました。また岡山県倉敷市では84歳の寝たきりの妻と77歳の夫がともに死亡しているのをホームヘルパーが見つけるという介護疲れによる心中と見られる事件が起きてきます。介護をめぐる悲惨な事件があとを絶たないなかで、いま述べたような「老老介護」に関わる事件も度々伝えられるようになっていることは、たいへん痛ましいことです。
 こうした「老老介護」について実態調査をしたところ、たいへん憂慮する事態が明らかになりました。全国水準よりも高齢化が進む山口県での調査です。山口県地方自治研究センターでは、今年、連合山口の組合員、および県内の居宅介護支援事業所と訪問看護事業所のケアマネージャーにアンケートを行い、「老老介護」の実態を調査しました。その結果、冒頭述べた「認知症の症状がある人が認知症の人を介護する」という、「認認介護」という状況の広がりが見えてきました。回答のあった在宅介護の5700人余りの介護状況をまとめたところ「老老介護」が1403人で24.5%、そのなかで二人とも認知症であるという回答は146人で、「老老介護」と答えたなかの10.4%が「認認介護」だということでした。山口県地方自治研究センターでは、この数値をもとに県内全体の「認認介護」の数を推計したところ、実に1000家族以上に上る可能性があるとのことでした。認知症の高齢者も増えている現状からすれば、全国的に相当数が「認認介護」の状況にあると考えられます。
 実際、「認認介護」を巡る事件も報じられています。十分な介護が出来なくなるだけでなく、介護を受ける方を意識せずに虐待してしまった。認知症が進み近所づきあいが少なくなって、外から介護を受けている状況が分からない。栄養が摂れているのか、火事などを起こしはしないかなど、「認認介護」を巡る心配や課題は多くあります。しかしプライバシーの壁であったり、そうした家族を支える介護ヘルパーの人手不足などから状況は不明瞭なままです。
 「認認介護」の場合、ものを言わずに事態は深刻化してゆきます。そして急速な高齢化のなかで、この状況はますます増えてゆくと思われます。岐阜県としても一刻も早い実態の把握と、少しでも事態を改善できる施策が求められます。

 そこで健康福祉部長にお尋ねします。
 岐阜県内における、高齢者の親を高齢者となる子が介護する「老老介護」、さらには「認知症の症状がある人が認知症の人を介護する」という「認認介護」の状況把握はどうなっているのでしょうか?
 そして、どのように支援策を講ずればいいのでしょうか、お考えをお聞かせください。

 答弁:近田健康福祉部長

 まず、いわゆる老老介護や諺語介護の状況把握についてお答えをいたします。
介護などの支援を必要とする高齢者の状況については、介護保険の保険者である市町村において、3年に1回、介護保険事業計画を策定する際に把握・分析をしております。
しかしながら、これまでの把握方法は、高齢者本人が希望するサービスを把握することが重視され、高齢者の身体-生活状況について客観的に把握する視点が不十分との指摘もあり、県といたしましても、老老介護や認認介護を含め、高齢者の実態をよりきめ細かく把握することが必要と考えております。
 このため、県では、先月、高齢者の実態把握に活用できる調査項目の提供や、効果的な実態把握のあり方について意見交換を行う会議を県内5圏域で開催するなど、市町村における高齢者のより正確な実態把握への支援を姑めたところです。
 県といたしましては、来年度行う、次の県高齢者安心計画の策定に向け、引き続き、市町村における実態把握調査の支援や圏域会議の開催により、県内高齢者の実態の的確な把握に努めてまいります。
 次に、老老介護や語語介護の支援策についてお答えをいたします。
 老老介護や語語介護の方々を支援するためには、こうした高齢者の方々の生活・身体状況に適したサービスや支援を提供するとともに、高齢者の方々がそれらのサービスなどを利用できるよう、地域の相談体制を充実させることが必要と考えます。
 このため、県では、在宅の要介護高齢者の生活を支えるために有効な、20分未満の短時間の訪問介護サービスの新設や、認知症高齢者が入居できるグループホームなどの整備に積極的に取り組んでおります。
 また、高齢者やその家族の相談に応じる地域包括支援センターの人材養成・確保の支援や、民生委員の活動の支援を行うとともに、認知症を理解し、認知症のある高齢者や家族の見守りを支援する認知症サポーターの養成にも努めております。
 来年度行う、次の県高齢者安心計画の策定においては、市町村を通じて把握される高齢者の実態のきめ細かい分析を踏まえ、これらの支援の一層の充実を検討し、老老介護や認認介護の方々が安心して募らせる体制づくりを盛り込んでまいります。


県議会一般質問「災害への備えについて」

2010年12月12日 23時39分43秒 | 県政全般

12月10日に行った県議会一般質問について。今回は3項目の質問をしました。まず災害対策について(実際はこれが3項目目)。NHK勤務時に災害報道や災害報道の体制づくりに関わっており、以来、いろいろな場で防災に関わってきました。今回の質問はそうした経験から7月に発生した豪雨災害を振り返り、そこから読み解ける教訓や今後の備えについて指摘しました。

 

質問:

 今年7月の豪雨災害を受けた災害対策についてお尋ねします。前回の定例会でも何人もの方からご質問もあり、有意義なご指摘やご提案がなされてきました。また、今回の災害とその対応、反省点などを多角的に検証した「7.15豪雨災害検証委員会報告書」がまとめられていますので、今後はこの報告書にまとめられている行動計画が市町村、地域に至るまで確実に進められていることが期待されます。その一方で、再度になりますが、私なりの視点で課題を指摘したいと思います。

 

 ひとつは、避難勧告の判断についてです。近年、技術の進歩で詳細な地域単位での気象予報や降雨の状況把握が出来るようになりました。以前に一般質問でも触れましたが、今年から市町村単位での気象警報・注意報が出されるようになっています。そして気象庁の「レーダー・降水ナウキャスト」のシステムでは60分先までの10分ごとの雨量を1キロメートル四方の範囲で予測できるものが提供されています。そこで、こうした高度な技術がもたらす情報を防災担当者がどのように読み解いて、どのタイミングで避難勧告などの行動につなげるかが重要になります。

 

 今回(7月15日)の八百津町の土砂災害では、土砂災害警戒情報は午後6時に出されました。その後、午後8時40分に災害が発生地域に町が避難勧告を出して間もなく土砂災害が起きています。このことを伝えた中日新聞の7月17日の報道によりますと、町は県が最近導入した5キロ四方というきめ細かい地域単位で災害発生を予測する土砂災害警戒判定図を参考にしたということですが、土砂災害の発生を想定すれば、もっと早く出されているより広域の土砂災害警戒情報をもとに避難勧告を出すのが望ましいのではなかったかと考えるところです。

 

 国土交通省では現在、250メートル四方とさらに細かい範囲で降雨の観測が出来る「Xバンド・マルチパラメーター・レーダー雨量情報」のシステムを試験運用しています。避難勧告を発令する市町村にとっては防災にあてる人員が少ないことが多く、実際に災害が起きたときには非常に厳しい状況になるだけに、平時からこうした様々な高度な情報を読み解く訓練を重ねる必要があると思われます。

 

 次に、防災関連機関だけでなく地域住民が災害が起きた場合を想定した備えを、一層進めることも非常に重要だと考えます。そのために有効な手段として力を入れていただきたいのがDIG=災害図上訓練を地域住民の参加で実施することです。DIGについては岐阜県でも平成16年から実績があり、これまで延べ1万7000人が参加をしているということです。「7.15豪雨災害検証委員会報告書」においても、「直ちに取り組む対策」の「ハザードマップの活用促進の支援」の中でも、「地域単位で住民と具体的な情報の共有を進める災害図上訓練(DIG)」と挙げられ、「県は災害図上訓練(DIG)指導者養成や、DIGの手引き書等の提供、DIGへの職員の派遣などの支援を行う」などとしています。

 

 DIGについては大規模地震を想定したものだけでなく、風水害を想定した訓練も組み合わせることができます。また学校において、児童生徒にもDIGを体験してもらうことで、災害時に地域の危険個所や避難経路、避難所、防災倉庫の位置などを把握することが出来、災害弱者といわれる子どもも含めた災害への備えとして非常に有効なものと考えます。是非とも通常の実体験型の防災訓練とともに、地域でもっとDIGを普及し、災害により強い地域づくりを目指すよう、県は市町村・地域を引っ張っていただきたいものです。

 

そこで危機管理統括官にお尋ねします。

 

1.避難勧告の発令に関して参考にするための気象情報が、高度化していますが、県として市町村に対し、こうした情報を避難勧告の判断基準として的確に活かせる体制づくりをどのように指導してゆくお積りですか?

 

2.そしてDIG=災害図上訓練について、これからどのような方針で、どのようなスケジュールで普及を進めてゆくお積りでしょうか?

 

 

答弁:若宮危機管理統括官

 

(1)防災情報を活かせる市町村の体制づくりについて

 防災情報を活かせる市町村の体制づくりについてお答えします。高度な防災情報を避難勧告等の判断基準に適切に活用していくためには、判断情報である降雨状況のほか、河川水位や土砂災害危険度のリアルタイム情報を的確に読み解き、市町村長に提供する職員を育成することが不可欠であります。
 そのため、県では今年度、市町村職員を対象に、気象庁と中部地方整備局の協力を得て、250メートル四方の雨量情報を1分間隔で表示する、「Xバンド・マルチパラメーター・レーダー雨量情報」などの見方や活用方法に関する研修会を開催したところですが、来年度以降も、定期的に研修会を開催し、市町村職員の防災力の向上を図ってまいります。
 また、市町村に防災情報をモニタリングする専任の要員の配置や、短期的な豪雨に対応できる避難勧告等の判断体制の整備を指導してまいります。


 これらの対策を進めることにより、市町村の防災情報を活用する

(2)災害図上訓練の普及について

 災害図上訓練の普及についてお答えします。災害図上訓練は、住民が避難経路や地域のリスクを学ぶ上で、大変有効な手段であります。県では、訓練の普及を進めるために、平成16年度から、訓練指導者の研修を毎年間催し、消紡織団員や市町村職員、自生防災組織リーダーの方々などに受講していただき、948名の指導者を養成してまいりました。

 来年度以降も、新たな災害図上訓練指導者養成の研修を引き続き実施し、年間100人の養成を進めてまいります。


 また、7.15豪雨災害検証結果を受け、水害や土砂災害を想定したハザードマップを活用した災害図上訓練の強化を図るために、既に研修を受けられた指導者の方々を対象に、スキルアップ研修を来年度から3年間で実施してまいります。


 これらの指導者養成により、各地域の自主防災組織や小中学校、あるいは企業において災害図上訓練が実施されるよう、市町村とも連携し普及を推進してまいります。

ための体制づくりを一層進めてまいります。

ぎふエコサミット

2010年12月11日 23時34分53秒 | 県政全般

「地球温暖化防止月間」のメインイベントとして「ぎふエコサミット」が開かれました。地球温暖化防止に対する意識を高めていただくイベントです。
小中学生が環境への取り組みを紹介する「こどもエコサミット」では岐阜市からは長森南中と陽南中が発表をしました。
会場には企業や団体が環境への取り組みや環境に関わるビジネスを紹介するブースも設けられました。環境行政に関わることが多いため、私も縁のある企業・団体がいくつか出ていました。


県議会一般質問

2010年12月06日 22時22分56秒 | 県政全般

県議会一般質問の日程が決まりました。

12月10日の二番目(午前10時15分頃から)です。

当日は岐阜放送でも中継があります。
質問は、
1)老老介護・認認介護について
2)重症心身障がい児・者を支える施設について
3)災害への備えについて
の三項目です。

===さらに宣伝===

岐阜県地方自治研究センターが発行している季刊誌「自治研ぎふ」最新号(第97号)に、私のレポートが掲載されています。
「山間地の自治体病院の転機」と題し、岐阜県立下呂温泉病院を中心に現状と課題をレポートしています。病院長や事務局、地域住民、そして仲間である職員から取材して、医師・看護師不足、施設の老朽化と新設移転、運営の今後など、直面する多くの課題についてまとめました。
「自治研ぎふ」は県庁(図書館、議会棟など)でも読むことは出来ますが、ご購読を希望される方は岐阜県地方自治研究センター(電話:058-265-3135)までご連絡をお願いします。