12月10日に行った県議会一般質問について。今回は3項目の質問をしました。まず災害対策について(実際はこれが3項目目)。NHK勤務時に災害報道や災害報道の体制づくりに関わっており、以来、いろいろな場で防災に関わってきました。今回の質問はそうした経験から7月に発生した豪雨災害を振り返り、そこから読み解ける教訓や今後の備えについて指摘しました。
質問:
今年7月の豪雨災害を受けた災害対策についてお尋ねします。前回の定例会でも何人もの方からご質問もあり、有意義なご指摘やご提案がなされてきました。また、今回の災害とその対応、反省点などを多角的に検証した「7.15豪雨災害検証委員会報告書」がまとめられていますので、今後はこの報告書にまとめられている行動計画が市町村、地域に至るまで確実に進められていることが期待されます。その一方で、再度になりますが、私なりの視点で課題を指摘したいと思います。
ひとつは、避難勧告の判断についてです。近年、技術の進歩で詳細な地域単位での気象予報や降雨の状況把握が出来るようになりました。以前に一般質問でも触れましたが、今年から市町村単位での気象警報・注意報が出されるようになっています。そして気象庁の「レーダー・降水ナウキャスト」のシステムでは60分先までの10分ごとの雨量を1キロメートル四方の範囲で予測できるものが提供されています。そこで、こうした高度な技術がもたらす情報を防災担当者がどのように読み解いて、どのタイミングで避難勧告などの行動につなげるかが重要になります。
今回(7月15日)の八百津町の土砂災害では、土砂災害警戒情報は午後6時に出されました。その後、午後8時40分に災害が発生地域に町が避難勧告を出して間もなく土砂災害が起きています。このことを伝えた中日新聞の7月17日の報道によりますと、町は県が最近導入した5キロ四方というきめ細かい地域単位で災害発生を予測する土砂災害警戒判定図を参考にしたということですが、土砂災害の発生を想定すれば、もっと早く出されているより広域の土砂災害警戒情報をもとに避難勧告を出すのが望ましいのではなかったかと考えるところです。
国土交通省では現在、250メートル四方とさらに細かい範囲で降雨の観測が出来る「Xバンド・マルチパラメーター・レーダー雨量情報」のシステムを試験運用しています。避難勧告を発令する市町村にとっては防災にあてる人員が少ないことが多く、実際に災害が起きたときには非常に厳しい状況になるだけに、平時からこうした様々な高度な情報を読み解く訓練を重ねる必要があると思われます。
次に、防災関連機関だけでなく地域住民が災害が起きた場合を想定した備えを、一層進めることも非常に重要だと考えます。そのために有効な手段として力を入れていただきたいのがDIG=災害図上訓練を地域住民の参加で実施することです。DIGについては岐阜県でも平成16年から実績があり、これまで延べ1万7000人が参加をしているということです。「7.15豪雨災害検証委員会報告書」においても、「直ちに取り組む対策」の「ハザードマップの活用促進の支援」の中でも、「地域単位で住民と具体的な情報の共有を進める災害図上訓練(DIG)」と挙げられ、「県は災害図上訓練(DIG)指導者養成や、DIGの手引き書等の提供、DIGへの職員の派遣などの支援を行う」などとしています。
DIGについては大規模地震を想定したものだけでなく、風水害を想定した訓練も組み合わせることができます。また学校において、児童生徒にもDIGを体験してもらうことで、災害時に地域の危険個所や避難経路、避難所、防災倉庫の位置などを把握することが出来、災害弱者といわれる子どもも含めた災害への備えとして非常に有効なものと考えます。是非とも通常の実体験型の防災訓練とともに、地域でもっとDIGを普及し、災害により強い地域づくりを目指すよう、県は市町村・地域を引っ張っていただきたいものです。
そこで危機管理統括官にお尋ねします。
1.避難勧告の発令に関して参考にするための気象情報が、高度化していますが、県として市町村に対し、こうした情報を避難勧告の判断基準として的確に活かせる体制づくりをどのように指導してゆくお積りですか?
2.そしてDIG=災害図上訓練について、これからどのような方針で、どのようなスケジュールで普及を進めてゆくお積りでしょうか?
答弁:若宮危機管理統括官
(1)防災情報を活かせる市町村の体制づくりについて
防災情報を活かせる市町村の体制づくりについてお答えします。高度な防災情報を避難勧告等の判断基準に適切に活用していくためには、判断情報である降雨状況のほか、河川水位や土砂災害危険度のリアルタイム情報を的確に読み解き、市町村長に提供する職員を育成することが不可欠であります。
そのため、県では今年度、市町村職員を対象に、気象庁と中部地方整備局の協力を得て、250メートル四方の雨量情報を1分間隔で表示する、「Xバンド・マルチパラメーター・レーダー雨量情報」などの見方や活用方法に関する研修会を開催したところですが、来年度以降も、定期的に研修会を開催し、市町村職員の防災力の向上を図ってまいります。
また、市町村に防災情報をモニタリングする専任の要員の配置や、短期的な豪雨に対応できる避難勧告等の判断体制の整備を指導してまいります。
これらの対策を進めることにより、市町村の防災情報を活用する
(2)災害図上訓練の普及について
災害図上訓練の普及についてお答えします。災害図上訓練は、住民が避難経路や地域のリスクを学ぶ上で、大変有効な手段であります。県では、訓練の普及を進めるために、平成16年度から、訓練指導者の研修を毎年間催し、消紡織団員や市町村職員、自生防災組織リーダーの方々などに受講していただき、948名の指導者を養成してまいりました。
来年度以降も、新たな災害図上訓練指導者養成の研修を引き続き実施し、年間100人の養成を進めてまいります。
また、7.15豪雨災害検証結果を受け、水害や土砂災害を想定したハザードマップを活用した災害図上訓練の強化を図るために、既に研修を受けられた指導者の方々を対象に、スキルアップ研修を来年度から3年間で実施してまいります。
これらの指導者養成により、各地域の自主防災組織や小中学校、あるいは企業において災害図上訓練が実施されるよう、市町村とも連携し普及を推進してまいります。
ための体制づくりを一層進めてまいります。