岐阜県議会議員 太田維久(おおた・まさひさ)のblog

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県議会一般質問3「重症心身障がい児・者を支える施設について」

2010年12月14日 21時40分36秒 | 県政全般

 続きまして、重症心身障がいのある方を支える施設についてお尋ねします。この質問でも、支援する人の高齢化という課題が現れます。
 質問のなかで触れる重症心身障がいについてご説明しますと、重度の肢体不自由と重度の知的障害とを合わせ持った状態のことです。具体的な病名で言うと様々でして、脳性麻痺、病気や事故による脳の損傷、あるいは先天的な障がい、などによるものです。統計によりますと、該当する方は、全国で3万8000人いらっしゃるということです。そのなかでも、特に重い症状の中には身体の自由だけでなく意思を伝えることも難しく、座ることはできる、あるいは寝たきりで常に介護、あるいは看護が必要な方もいます。
 重症心身障がいの方々への対策は、歴史的に見ると障がいの種類ごとの施策のなかで大きく欠けていた部分でありました。そこへ大きな進歩をもたらしたのが一昨年、伊藤秀光議員が一般質問でご紹介された重症重複障害児の集団療養施設「近江学園」の取り組みでした。そして重症心身障がいの場合、社会参加・社会復帰の可能性は現実には極めて低いことから、成人後も対応できる施設の必要性が叫ばれ、障害児・障害者が一貫して過ごせる施設が整備されてきました。ところが、現状でも入所・入院できる施設が足りず、施設での看護・介護を希望されても在宅で過ごさざるを得ない事例、あるいは家族をはじめとする保護者が希望する施設に入れない事例が多くあります。
 
 今回、このテーマで質問をすることになったのは、ある相談がきっかけでした。岐阜市内の年配の方から「子供が重症心身障がいで他県の病院に入院しているが、岐阜市あるいは近辺の施設に転院できないだろうか」ということでした。同様のご相談は皆様も受けられたことがあると存じます。お子さんは乳児期の病気が原因で、現在に至るまで寝たきりで過ごされています。親御さんはご高齢ですが、いまも月に一度はお子さんに面会に行っています。しかし、往復の費用もかかることと、ご自分の体力を考えるといつまでこの遠距離の面会を続けられるか、と悩まれていました。そこで何とか自分の暮らす岐阜市か近辺の施設に転院させたい、ということでした。岐阜市には、独立行政法人国立病院機構長良医療センターがあります。特に症状の重い方を受け入れており、重症心身障がい対応の140床程度の病床は空きがないのが実情です。県の子供相談センターで入転院の受け付けを行っていますが、待機者の中から順次受け入れをしている状況で、現実にはすぐに転院は厳しいようです。
 相談を受けて、県障害福祉課に問い合わせたところ、今年9月現在、岐阜県の方で重度心身障がいとして施設の入所・入院をしている方は189人、そのうち長良医療センターに入院している人は106人、それ以外の83人は県外の施設を利用されています。福井県内の病院が26人、滋賀県が17人、石川県が12人、愛知県が10人などということでした。

 今年の厚生環境常任委員会の県外視察では、佐賀県の社会福祉法人「整肢学園」を訪問しました。元は肢体不自由のお子さんを支援する施設でしたが、重度心身障がいの方の支援や看護を行う取り組みも行うようになり、現在140床程度の重症心身障がい病床のうち、17人の超重症と言われる方が入院されています。視察では病床にも伺いました。四肢、つまり手足全て自由が利かず、寝たきりの方々のうち、気管切開などで人口呼吸器による呼吸管理を行っている方、年齢は幼児から、高い方で六十歳代の方もおられるということでした。施設の方からは、付き添うご家族のご負担のこと、また預けたまま面会に訪れることもないケースもあるということでした。それを聞くと、やりきれない思いに駆られる一方で、長い年月にわたって献身的な看護・介護をしなければならない家族のご負担にも思いをはせました。しかし、その眼の輝きに命の輝きを見、私たちが聞き取ることが出来ない声にその方々の尊厳を聞き取れるとき、この方々に対してこそ、政治とか行政は力添えをしなければならないとの思いを強くするはずです。
 岐阜での事例と同様に、佐賀県の整肢学園でも、入所を希望するも空きがなく、県外の施設に入所する事例、また他県に住みながらも、そこで空きがなくたまたま整肢学園に空きがあって入所した事例があるということでした。そう考えると、重度心身障がいの方の施設入所・入院が都道府県を越えて行われているのは全国的な現象ではないでしょうか。そして家族の負担、取り分け高齢になる親の負担を考えると、今後は出来る限り居住地に近い施設に入所・入院が出来るよう一層の施設整備が求められるのではないかと思います。

 そこで健康福祉部長にお尋ねします。
1)まず、岐阜県内において、重度心身障がいの方の入所・入院施設が長良医療センターに限られている現状において、県外の施設の利用は止むを得ないことですが、子供相談センターは他県との調整をどのように進めているのでしょうか?

2)そして、重度の心身障がいを持つ方について、施設での入所・入院を保護者が希望されている方がどれだけいるのか、実態把握はどのようになっているのでしょうか?

3)また県財政が非常に厳しいなかではありますが、今後、県内において重度心身障がいの方のための施設整備をどのように進められるお積りですか。まだまだ支援の手が望まれている分野です。佐賀県の整肢学園と同様の施設として岐阜県でも県立希望が丘学園がございますが、希望が丘学園の整備計画も含めてご検討はあるのでしょうか。

 ちょうど昨日までが、障害者基本法で定められた障害者週間です。障がいのある方の個人の尊厳が重んじられ、特に最も弱い立場にある方に一層の支援の力が寄せられることを願って、真摯な御答弁をお願いいたします。

答弁:近田健康福祉部長
 次に、重症心身障がいの方々を支える施設について3点お尋ねをいただきました。まず、県外施設利用に関する調整についてお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、県内をはじめ、全国的な重症心身障害児施設の定員の不足により、県内の唯一の施設である長良医療センターに県外から30名の方が入所されているのに対し、岐阜県からは83名の方が近隣8県の施設に入所されています。
 こうした複数県にまたがる施設間での入所調整については、近隣県の施設の空き情報が子ども相談センターに入った都度、県内の入所希望者の状況を総合的に判断し、緊急度の高い方から入所をしていただく仕組みとなっております。
 なお、施設への入所を希望しながら在宅で生活している方々に対しましては、医療費の助成や生活用具の給付、訪問サービスや短期入所の利用、余暇活動や介護のリフレッシュの機会の提供、個別の相談への対応など、各種制度や事業による支援策を講じているところでございます。
 次に、施設への入所希望等の実態把握についてお答えをいたします。重症心身障がいを持つ方々への支援を充実させていくため、現在、県では、在宅で生活中の方々とその保護者の現況や、各種サービスの利用希望に関する調査を進めております。具体的には、本年10月から、県下各地域に配置した「重症心身障がい者支援連携推進員」が、重度の身体障がいと知的障がいを併せ持つ方、約5,000名を主たる対象に、聴き取りの方法により調査を実施しております。
 その中で、ご本人の障がいの程度や家庭での医療的ケアの内容、将来の施設への入所
希望や、ご家族が介護できない時の短期入所への希望などについて伺っております。そのデータを元に、地元の市町村や施設、医療機関にも協力を求めながら、今後の支援体制の充実を図ってまいります。
 次に、県内での施設整備の推進について、お答えをいたします。先に申し上げましたとおり、現在、多くの方が県外の施設へ入所されており、今後とも、施設や在宅での医療的ケアを一層充実させていく必要があると考えております。その中で、四肢と体幹の機能に障がいを有する肢体不自由児の施設である県立希望が丘学園は、県長期構想におきまして平成30年度までに、老朽化した現在の施設を再整備する計両となっております。また、現在、国において肢体不自由児施設や重症心身障害児施設も含めた施設体系の見直しが進められており、県といたしましても、障がい児のための新たな中核施設の役割について、具体的な検討に着手すべき時期にあると認識をいたしております。
 そこで、先に述べた実態調査の結果や、引き続き重要な役割を果たしていただく必要のある長良医療センクーとの連携なども踏まえながら、重症心身障がいを持つ方々のための施設整備の在り方について、今後、検討を進めてまいります。


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2 コメント

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いい質問です (@makochan1969)
2010-12-15 17:27:07
しかし長い。もっとポイントを絞って書いてください。僕もよく指摘されました・・・

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Unknown (太田維久)
2010-12-15 17:48:11
岐阜県議会は議事録が出来るまでなぜか2カ月かかるんです。とても忙しいので要約をつくる時間がなく、取り敢えずコピペで。ご容赦を!
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