日々の恐怖 3月3日 キジムナー(1)
俺の母方の出自は沖縄の○○島、母も幼少期をその島で過ごした。
成長して、父と結婚した母は沖縄本島に移住したが、俺が子供の頃は毎年夏休みを○○島で過ごすのがお決まりだった。
俺が小学校の4年生になった年からは、俺と妹が父母より先に島に渡った。
釣り、海水浴、親戚の家での宴会、もちろん島の生活は楽しい。
ただ、それが毎日続くとさすがに飽きる。
釣りとか自分で気晴らしの出来る俺はまだしも、釣りに連れて行くのを禁じられていた妹は、何かの拍子にぐずる事が多くなって、本当に困った。
そんなある日のことだった。
俺は年の近い親戚の子(島在住)から面白い情報を仕入れた。
祖母の家のある集落から少し山側に入った所にパイナップル畑が沢山ある。
畑の外れには傷付いて売り物にならないパイナップルが捨ててあって、その山の中に大きなカブトムシやクワガタがいるという。
「 でもな~、ホントに朝早いぞ。
明るくなるとすぐにいなくなるから。」
「 朝早くって、何時だよ?」
正確な時間が分からないとどうにもならない。
「 う~ん、オレたちはラジオ体操の前に行くな。」
島に来た後も、ラジオ体操は何度か行った事がある。
祖母はもっと早く起きて出かける。
「 ラジオ体操って6時半だろ。
じゃあ、6時頃行けば間に合うかな?」
「 明日の朝、一緒に行こう。
初めてだと、危ないし・・・・・。」
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ