日々の恐怖 11月16日 声(2)
仕方なくまた寝ようとしたが、音は普通に聞こえるくらいの音量になってきていた。
堪らずもう一度親父を起こしたが、親父はまったく取り合ってくれなかった。
弟を見ると、弟もまったく聞こえてないらしく、ぐっすりと眠っていた。
“ 何でみんな気にならないんだろう・・・?”
と、少し違和感を覚えた頃、ようやく音がやんだ。
安心して目をつぶると、今度は洋楽っぽい音楽が流れてくる。
「 明日・・・、明日・・・・。」
男の声で何かを歌っていたが、音が小さくてよく聞こえない。
“ もう気にするのをやめよう・・・・。”
と横になっていると、段々と音が大きくなり、何と歌っているのかが分かってしまった。
「 明日死ぬ・・・、明日死ぬ・・・、明日死ぬ・・・・。」
ここで初めて俺に歌っているのだと理解した俺は、怖くなって耳を塞いだが、歌はどんどんハッキリと聞こえてきて、耳を塞ぎながら震えていた。
いつの間にか泣いていたらしく、父が俺の異変に気付いた。
その頃には、もう夜明けだった記憶がある。
親父は、訳の分からないことを言う俺を連れて母の部屋に行った。
どうやら俺は熱があったらしい。
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