皆様ごきげんよう。明日、というか数時間後に映画観に行くのに(※『ロボット』ではない)こんな時間まで起きてる黒猫でございますよ。っべーわ起きられるかな。外明るくなってきたわ。
まあ、それはさておき、『ロボット』の感想です。長らくお待たせしてすいませんでした。
ロボット開発者のバシーガラン(ラジニカーント)は家にも帰らず、恋人のサナ(アイシュワリヤ・ラーイ)の電話やメールも無視してロボットの開発に励んだ結果、ついに自分をモデルにしたロボットの開発に成功する。
バシーの母によってチッティと名付けられたロボット(ラジニカーント、二役)は、失敗を経ながら学習を重ね、ついに正式に公の場で紹介される。バシーはチッティがインド人工知能開発局に公式に認められた暁には、軍での使用を目指していた。戦争で死ぬ人間を少しでも減らそうというのだ。
一方、バシーとチッティが大絶賛を浴びるのを、バシーの恩師でライバルでもあるボラ教授(ダニー・デンゾンバ)は苦々しい思いで見ていた。ボラ教授もまたロボットの開発をしていたが、チッティには遠く及ばぬ出来だった。
人工知能開発局の評議員の一人でもあるボラ教授は、審査の際にチッティに故意に複雑なコマンドを与えて失敗させ、チッティが正式に承認されるのを阻む。
バシーはチッティに人間の感情を学習させるべく様々な場所に連れ歩き、やがてチッティはバシーの恋人であるサナに恋愛感情を抱くようになる。感情を学んだチッティは軍へのお披露目の際に戦争行為を否定し、戦闘ロボットとして働くことを拒んだため、軍への採用を拒まれてしまう。それに激怒したバシーは自らの手でチッティを破壊し廃棄する。
チッティが捨てられたことを知ったボラ教授は、ゴミ収集所に赴きチッティを回収し、自作のチップをインストールして新しく生まれ変わらせるが・・・?
というような話。
わたしはAmazon.com(アメリカamazon)で通販した英語字幕版のDVDを持っていて、それを事前に観ています。
今回公開されている日本公開版はダンスシーンを始め内容がだいぶ削られています。(日本版は139分、わたしの持っているDVDは179分)
インド映画は長いので、どうにか日本の客層にも観てもらいやすいようにとの措置のようですが、悲しいことです。その結果、インド映画らしいダンスシーンや脇道に逸れる要素がたくさん削られました。削れるところは全部削った感。特に前半はカットが多かったです。
マチュピチュでのダンスシーンは削ってほしくなかった!あの脈絡のなさ、どう見てもマチュピチュなのに「キリマンジャロ~」で始まる歌い出し、そこかしこに見切れるリャマたち。突っ込みきれないあの感情を日本公開版では味わえないなんて。勿体なさすぎる。
ダンスシーンは残念ながらチッティとサナのもののみで、2回しかありません。(冒頭のチッティの動作確認ダンス除く)
でもこれも一部削られていてびっくりしました。そこまで短くしたいの・・・?
チッティがロボットなので、ビジュアルも歌詞も未来的な感じのものですが、わたしこれどうかと思うよ・・・CGよりも何よりも、このダンスがいろんな意味で一番中途半端だったと思う。初見の人にはどう受け取られるんでしょうか。あの偽スター○ォーズっぽいやつとか、微妙すぎるメカライオンとか、どう見てもロボのガワを着てるとしか思えない、中に人が入ってる感アリアリのその他ダンサーたちとか。
ダンスシーンの曲の歌詞も造られた存在であるロボットのことを歌っていて、日本だったら初音ミクあたりが歌いそうな歌詞なのに、「0と1とは花の香り」とか、力技でインド方面に持ってかれててちょっと笑いました。どこから花が。・・・うん、嫌いじゃないです(笑)。英語字幕版で観たときはそこまで理解できてなかったので、ためになりました。
日本で公開されたラジニの作品はおそらく全部観ている身から言わせて頂きますと、今までのノリからするとだいぶ異色です。なんたってラジニが強くない。
ラジニは二役を演じていて、チッティのほうは超強いロボなんですが、バシー博士は天才科学者ではありますが本人は強くない設定。今回の公開版ではカットされているシーンで、男に絡まれたサナを助けるシーンがあるんですが、戦わないで逃げてたもん(笑)。
ラジニ映画なのに何この設定珍しい。というか初めてじゃない・・・?(笑)しかし理系メガネ男子なラジニも素敵なことがわかって、これはこれでアリかなと思いますが(笑)。
しかしあのメガネとスーツ姿には惚れ直しました。いちいちスーツが素敵だっ
たわぁ。ちなみにわたしの携帯電話の待ち受け画像はここ半年ほどバシーです(笑)。
ストーリーとしても異色だと思います。
ロボットであるチッティに感情を教えた結果、チッティが自分の生みの親の恋人を好きになってしまい、拒まれたりするあたりはまだラブコメ的な感じで観ていられますが、チッティがver.2.0になってからはもうSFパニックムービーです。ここからとにかく急展開。どうしてそうなったの、いろんな意味で。アクションシーンなどを明らかにラジニが演じていないのはよくわかっちゃいましたが、ver2.0チッティ、もう完全に似せる気ないだろ。誰おま。
細かいところに突っ込んでもしょうがないとは思うんですが、後半のフォーメーションモードは悪ノリしすぎというか何というか。
観て頂くしかないとは思いますが、とにかく色々おかしすぎてもう。どうしてそんな形になるの。フォーメーション取らないほうが追跡しやすくね?とか、何より途中で人数増減してるよねと思わずにはいられない。あとインド警察と軍が頑張りすぎ。ちょっとした戦争レベルの犠牲者が出ていそうです。敬礼。
しかし今回、個人的に一番衝撃的だったのは、バシー博士の行動です。自分が作ったロボットを開発者があんな風には破壊しないだろ、というのもあるし、その廃棄の仕方ダメだろ、ちゃんとデータ初期化してから廃棄しろよとかも思うし(笑)、何よりラジニが演じる役どころとして、こんな心無い行動はそぐわない。本当にびっくりしました。このシーンは何度見ても本当に辛いです。
しかしバシーもボラ教授も精密機器の開発者とは思えない運用テストの適当さ。
トップダウンテストにもほどがあるぜよ・・・。テストもろくに終わってないマシンを持ち帰ったり彼女に貸したりしちゃダメですよ!
あと、人型ロボットだからって開発者があそこまで人に接するように接しちゃダメだろと思います。それでいてダメ出しするときは手厳しいので、折角感情を持ったチッティが本当に可哀想でした。
あと、今回のヒロイン・サナがなんか個人的にはあまり好きになれません。なんというか、全体的に行動が浅はか。美人ではありますが、なんだかなあ。チッティはサナに恋をしてしまいますが、たまたま一番接する機会が多い異性だったってだけな気がします。チッティに対する態度、全体的に割とひどいよ(笑)。
ただ、美しいヒロインとしてこれでもかというくらい衣装チェンジをして、観る側を楽しませてくれる点は素晴らしかったです。ここはインド映画らしさの表れですね。
まあそんなこんなで、とにかく色々あってラストを迎えるんですが、あのラストはホントにせつないです。
作中、バシーと仲間うちでの会話で、会話の最後に人差し指で空中を叩きながら「ドット」と言って会話終了の合図とするシーンが何度かあります。「以上、会話終わり」みたいな意味で使っているようです。
これをどうか憶えておいて下さい。憶えておいて、最後まで観て下さい。
泣くから。
歌って踊って主役登場→美女登場、恋に落ちる→踊る→美女悪役に捕まる→主役荒ぶる、対決してやっつける→歌って踊ってハッピーエンド、というような流れのインド映画に慣れ親しんできた身としては随分毛色の違う作品だなとは思いましたが、それでもやっぱり面白かったです。
ツッコミどころも含めて、たくさんの人に観てほしいな。そんでそのうち単館でもいいので完全版を上映してほしいです。切実に。大きなスクリーンで完全版を観たいです!