野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

湯ノ丸高原に遊ぶ

2018-07-15 21:48:55 | トレッキング

 石牟礼道子は言わずと知れた水俣病をテーマとした「苦海浄土わが水俣病」の作者だ。

今年の2月に亡くなられたのだが、最近著者のエッセー「花いちもんめ」に触れることができた。

その中の一節に「無常の使い」という文章がある。無常というのはほかならぬ縁者の死を意味する

言葉であって、それを近隣の人に伝えるのが「無常の使い」。

メールはおろか、電話すらない時代には身近な人の死を伝えるには、直にその家を訪ねて

対面し、口頭で伝えるしかなかった。

 仏様の出た無常の日に、一軒一軒縁者の死を知らせるーそれが無常の使い。そこで初めて

人の死はその人の生涯とともに認知され、死者の生きてきた社会の規模に応じて分かち合われる。

そこで交わされるのは他ならぬ体温のある死であり、何とも言語化しようのない

無常そのものなのだ。

 

  高原で多く見られるシュロソウ

 

 連日の暑さに悲鳴を上げて、休みの日に高原に出かけてきた。軽井沢の少し先にある

湯ノ丸高原までは車で2時間余りそんなに遠くはない。朝4時前(安いから)に高速に乗って

着いたのは6時を少し過ぎたばかり。

 烏帽子岳まで足を伸ばしたいところだが、今回は湯ノ丸山を周遊するコースを選んだ。

 

 駐車場には人気はほとんど見当たらない。広い駐車場に止まっている車は数台。

ここに来たのは涼を求めてなのは勿論だが、ここでしか見られない蝶に会いたいという

のが本来の目的。 ベニヒカゲだけは8月にならないとみられないが、残りの二つの

チョウには天候と運?さえあれば見られるはずだ。

 

 身支度を整えてキャンプ場方面のコースを歩き始めた。

咲きだしたばかりの艶やかなヤナギラン。

 

 ヤマブキショウマ

 

 ウツボグサもたくさん見られる

 

 

 山道に沿って灯明のように咲くヤマオダマキ

 

 シナノオトギリ

 

 キャンプ場までは15分、すぐだった。

 

 この付近にはアヤメが多い

 

 木道の周回コースが設けられていて、ニッコウキスゲやアヤメの群生を見ることができた。

 

 林道はここまで。この先は緩やかな登山道に変わった。

色づき始めたクガイソウ

 

 この辺りに多いシャジクソウ。分布は限られた本州の山地でしか見られない。

 

 時折大きな葉を付けたギボウシの花に会う。

 

 中分岐までは30分少々。この辺で標高は1825mになる。

 

 ウスユキソウが目立つようになってきた。

 

 イボタノキはモクセイ科の低木、たくさんの虫を集めていた。

 

 オミナエシの仲間、コキンレイカ

 

 まだゴゼンタチバナも咲き残っていた。

 

 

 中分岐から40分、見晴らしの良い鞍部までやってきた。

 

 左折すると烏帽子岳。右に曲がって湯ノ丸山に向かう。登りが少し

急になってきた。 シシウドの立派な花

 

 笹やぶの中の花はコオニユリかと思ったら、クルマユリだった。

 

クルマユリは数が少なく、山行中見かけたのは二株だけだった。

 

 

 ハクサンフウロ

 

 この花はたくさん群生していて、至る所で見られた。

 

 サラサドウダンツツジは終わりかけ。

 

 ランの仲間のテガタチドリ、深山に来ないとお目にかかることはできない。

 

 これも2000mを超える山の頂上付近でしか会えないイブキジャコウソウ。

 とても小さな花で山の斜面に這いつくばるように風を避けて咲いている。

 

 鞍部から登ること一時間足らず、木々の背が低くなり

一気に稜線に出た。風が強くなった。広がった視界はみるみるうちにガスに覆われた。

 

 2101m湯ノ丸山の頂上の標識が見えてきた。まだ8時16分、朝が早いせいか人影は

全くない。

 

 今日はここまで。

 

 

 


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