閑話 「編入初日」
「ミルファ・H・姫百合です。短い間ですけど、よろしくお願いします」
一息で自己紹介をして頭を下げる。よかった。途中でつかえずに言えるかどうか不安だったが、どうやら始めの一歩は無事に踏み出せたらしい。
ゆっくり顔を上げると、視線の雨が浴びせられていた。
教室に入ってきたときには少し気圧されたそれを、わたしは平然と受け流すことができる。どうしてかといえば、わたしに向けられた視線の中に、一つだけ馴染みのあるものが混ざっていたからだ。
――そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
まったく、貴明は本当に心配性だ。あんなにハラハラした顔を向けられたら、こっちが申し訳なくなってしまう。心配されるのが嬉しくないと言えば嘘になるが、度が過ぎると頼りないと思われているような気がして複雑だった。
貴明の顔を見るのは一日ぶり。
たったの一日。ほんの一晩離れていただけだ。それなのに、落ち着かない様子を姉さんに指摘されてからかわれた。
不意に、どこかで見かけた一日千秋という言葉が思い浮かぶ。
そう。考えてみれば、今のこの季節こそが秋なのである。
「あー、小牧―。委員長として、彼女に色々と教えてやってもらえるかー」
「は、はいっ」
おどおどと返事をしたのは、ブルーの髪留めが目を引く大人しそうな女の子。一つ一つの仕草に特徴があって、なんだかテレビで見たハムスターみたいだな、なんて失礼なことを考えてしまう。
委員長、というのは確かクラスの代表だったはずだ。ということは、このクラスの責任者がこの「小牧さん」で、彼女がわたしという新参者の世話を任されたということだろうか。
「席は小牧の隣を空けてやってくれー。それじゃあホームルームを始めるぞー」
担任教師の言葉に従い、あらかじめ用意されていた机と椅子が、小牧さんの隣に挿入される。運んでくれた男子生徒に軽くお辞儀をしたら、どうしてか妙に戸惑っていた。
真ん中の列の中央より少し前。ここが学び舎における、わたしのパーソナルスペースに決まったらしい。
貴明の席は窓側の後ろの方にあるので、残念ながら少し離れてしまった。同じ教室にいられるだけでも嬉しいはずなのに、わたしの欲望には際限がない。
こんな自分は、いけないメイドロボだと思う。
「えと、よろしくお願いしますね」
既に担任が話を始めていたので、小牧さんが声をひそめて話しかけてくれる。
「こちらこそ。あの、お世話になります」
挨拶を返しつつ、静かに椅子を引いて腰かけた。見た目は安っぽいのに、不思議と座り心地のいい椅子だ。横目で窺った小牧さんに習い、カバンを机の脇にかけたところで、深い安堵の息が漏れる。たったこれだけで達成感を感じてしまう自分が少し情けない。
後頭部や背中のあたりがむずむずする。自己紹介のときほど露骨ではないが、周りの意識がこちらに集まっているのが伝わってくる。編入してきた人は注目を集めると聞いていたが、まさかここまでとは思っていなかった。
環とこのみから受けたアドバイスを思い出す。
一つ、第一印象さえよければ後はどうとでもなる。
二つ、お弁当を分けてくれる人に悪い人はいない。
三つ、スカートの丈が短いので十分に気をつける。
どれも頷ける内容だ。隣でこれを聞いていた貴明が、げんなりしたり呆れたり慌てたりしていたのはどうしてなのか、いくら考えても分からない。
何はともあれ。
こうして、わたしの学園生活は幕を開けた。
*****
学校は勉強をする場であって、それは生徒が新たに増えたからといって変わることのない決定事項である。朝のホームルームはとっくに終わり、担任が教室を出て行ってから、次の授業の担当教師がやってくるまでの空白の時間ができた。
「姫百合さんは、前の学校でも同じ教科書を使ってたんですか?」
「う、うん。たぶん」
そんな短いロスタイムに、小牧さんがこうして話しかけてくれるのは、居辛そうにしているわたしを思いやっての行動なのだろう。
「たぶん?」
「ううん、そう、そうだよ……です。授業の進み具合も一緒くらいだって、親戚の子から教えてもらった……もらいましたから」
「ふうん。それならだいじょうぶかなぁ」
教科書を挟んで、小牧さんが色々と説明してくれる。
わたしはまだ、どんな言葉遣いをすべきか決めかねているので、普段の口調と敬語がごちゃごちゃになっていた。話し方が定まらないのに引っ張られて、笑顔までぎこちなくなっているのは、我ながら苦笑するしかない。
相変わらずわたしたちの様子を伺うような気配が漂っているのも、ぎこちなさに拍車をかけていた。
教室内は妙に静まり返っている。そこら中で聞き耳を立てているようだ。次の授業が始まるまで余裕がないせいか、恒例の「新入りに対する質問攻め」は、ひとまずお預けになっているらしい。
小牧さんと相対するだけでこんな状態なのに、十人、二十人に詰め寄られたらどうなってしまうのか想像するのも恐ろしかった。
「いちおうね、現国は147ページまで進んでて、今日はここから始まるんですよ」
「委員ちょ、そこ違う。その次」
「え? え? そ、そうだっけ? ごめんなさいっ。あたし嘘教えちゃった……」
後ろの男子生徒に指摘され、小牧さんがしょんぼりと肩を落とす。
うん。この人はきっといい人だ。間違いない。
「教えてくれてありがと……ございます。小牧さんって親切ですね」
「……あの、姫百合さん?」
「はい?」
首を傾げるわたしに向かって、小牧さんはぽやんとした微笑みを浮かべる。
「その、差し出がましいとは思うんですけど、話しにくいようなら無理に敬語を使わなくても……あ、そんな言い方は失礼ですよね。でも、姫百合さんが話しやすいようにして欲しいというか、あの。……どうでしょう?」
「う……やっぱり変かな……ですか?」
自分でもおかしいと感じるのだから、他の人にとっては言わずもがなだ。
ところが小牧さんは、ぶんぶんと首を横に振って、
「そ、そんなことないですよぉ。あたしもたまに変なこと口走っちゃったりしますから……って、どうしてみんな頷いてるのぉ!?」
その言葉が示す通り、周りの生徒たちが腕組みをして頷いていた。
「と、とにかく、気楽にいきませんか? これからあたしたち、クラスメイトになるわけですし、ね?」
「……うん、分かった。そ、それじゃあこれから、よろしくね」
「はぁい。分からないことがあったら、何でも聞いてくださいね」
ほんのりと胸の辺りが暖かくなったような、そんな気がした。まだ最初の授業すら始まっていないのに、わたしはこのクラスに編入できてよかったと感じている。
周りは「おお、友情成立か?」「ロザリオを渡したりしないのかしら」「先制攻撃は委員ちょか。意外な結果だな」といったような、よく分からない盛り上がり方をしていたが、楽しそうな人ばかりでよかった。ここなら上手くやっていけそうな気がする。
――貴明も一緒だし、楽しみだな。
自然と頬が緩むのを感じながら、姉さんはどうしたかな、なんてことを考えていたら、
「えっ、貴明さん、教科書忘れてきちゃったんですか? 珍しいですね」
聞き捨てならない台詞が耳に飛び込んできた。
貴明、という名前を、わたしの聴覚は鋭敏に聞き分ける。左斜め後ろ。先ほど確認した貴明の席周辺から聞こえてきた。
「……カバンの中身を見たら、明日の時間割りだったよ。はあ……」
「けっけっけ。おまえは別のことに気ぃ取られすぎなんだよ」
貴明の声と共に、雄二の声も耳に届く。そこにはからかいの色が含まれていて、なんだか少し面白くない。確かに貴明には抜けたところもあるが、わたしの知る限り忘れ物をしたことなんてなかったはずだ。昨夜、わたしのいないときに何かあったのだろうか。
しかし、続けて聞こえてきたのは、そんなことがどうでもよくなるような、とんでもない発言だった。
「それなら、私の教科書を一緒に使うしかないですね。貴明さん、こっちにぺたっと机をくっつけてください。遠慮しなくてもいいですから。ぺたぺたっと」
――――な。
後ろに振り返りたい衝動を全身全霊を持って抑える。
深呼吸。
平常心。
セルフコントロール。
妙に馴れ馴れしい女子生徒がいるようだが、そんなことをいちいち気にしていたらクラスに溶け込めない。笑顔、笑顔。
「む、机をくっつけただけじゃダメですよ。ちゃんと椅子もこっちに……はい、よくできました。読めますか? 読みにくいなら、もっと身体もくっつけて――」
ばきっ。
「ひうっ!? ひ、姫百合さんのシャーペンが真っ二つに!?」
「……老朽化してたみたい」
「すごく新品に見えましたけど……って、だいじょうぶですか? 怪我とかしてません?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
心配してくれる小牧さんに平坦な口調で返して、ギチギチと口の端を吊り上げる。
大丈夫、大丈夫だ。
わたしはまだ学校というシステムに疎い。冷静に考えてみよう。隣の人が教科書を忘れた。だから見せてあげる。なんだ、それくらい当たり前のことじゃないか。
「貴明さん、どうしました? ちょっと顔が赤いですよ?」
「い、いや、うん、あのさ、草壁さん、俺、ちゃんと読めてるから、そんなにくっつかなくてもいいよ」
「あ……、ご、ごめんなさい。嬉しくてはしゃいじゃいました」
めりっ。
「ひゃあ!? ひ、姫百合さん! 机の脚が1cmくらい床にめりこんでますよ!?」
「脆くなってたのかな……ふふ」
きっと相手の女子生徒は、他人のために何かするのが大好きな人なのだ。嬉しくてはしゃぐというのはつまりそういうことで、別に貴明にくっついたのが嬉しいとか、そんな不届きなことを考えているはずがない。そうに決まっている。
「いや、まあ、こっちこそごめん。俺のドジのせいで迷惑かけちゃって」
「水くさいこと言わないでください。貴明さんのためなら、私いくらでも……」
…………………………。
「な、なんだか、姫百合さんの周りの空間が歪んでるような……」
小牧さんの呟きを、もはやわたしは聞いていなかった。
間もなく授業が始まったが、わたしの意識はずっと後ろに向いていた。
それから昼休みになるまで、生返事ばかりしていた気がする。
――なんなのよ。
貴明のばか。……うわきもの。
*****
昼休みに入ってすぐ、雄二に声をかけられた。
「よお、ミルファちゃん。姉貴が用事あるっつってたから、ちっと屋上までついてきてくれねーか?」
「……環が?」
ほとんど八つ当たりで睨み付けるわたしの視線を軽く受け流して、雄二は飄々とした仕草で肩をすくめてみせる。
「そ。……ってわけで、ミルファちゃんは借りてくぜ。わりぃな委員ちょ」
そう言った雄二の先には、小牧さんが立っていた。
「はあ……、向坂くんって姫百合さんとお知り合いだったんですか?」
「まあな。とりあえず昼メシの誘いは、明日以降にしてくれ」
お弁当の包みを抱えた小牧さんは、わたしを誘いにきてくれたということか。メイドロボである以上、わたしに食事を摂る必要はなく、昼食は抜いているとか適当な理由をつけて切り抜ける手筈になっていたが、クラスメイトと一緒に過ごせる時間が増えるのは大歓迎である。
とりあえず、今日は環が呼んでいるようなので、屋上に行かなければならない。
「それじゃあまたあとで」
ひらひらと手を振る小牧さんに会釈で返して、雄二の背中を追った。
廊下を歩いていると、大勢の学生たちとすれ違う。思い思いの方法で昼休みを満喫しようとしている様子は、リラックスしているようでどこか忙しない。研究所でもこの時間に見られた風景だけに懐かしさを感じる。
人波は、ほとんどが階下に向かっているようだった。流れに逆らって進む様子に首を傾げていたら、雄二が足は止めずに、
「あっちには学食と購買があるからな。どこで食うにせよ、最初は下に向かうのがセオリーなのさ。ま、弁当があるときは別だ。貴明はミルファちゃんお手製弁当をいつも屋上で食ってるよ」
俺もたまにおこぼれに預かってるんだぜ、と言葉を結ぶ。
だが、階段を一段ずつ上るわたしが返したのは、可愛げの欠片もない言葉だ。
「……お昼ご飯って、あの人と一緒に食べてるの?」
雄二は肩越しに振り返って、
「あの人っつーと、優季ちゃんのことか。ミルファちゃん、やっぱりヤキモチ妬いてたんだな」
「……ヤキモチなんて妬いてないもん」
ヤキモチを妬くはずがない。理由がない。わたしはそんなに独占欲が強くない。
「あいつは果報者だねえ」
ため息混じりに漏らすと、雄二はそれっきり無言で階段を上り続けた。ゴム底の上履きでリノリウムの床を踏みしめる感触は独特で、二つの足音が生み出すリズムがやけに耳に残る。屋上には、すぐに辿り着いた。
「――んじゃ、親善大使の役目はここまでだな。ま、大目に見てやってくれよ」
「雄二?」
ぽん、とわたしの肩を叩き、雄二は上ってきた階段を引き返していく。
どういうことだろう。環はわたしにだけ用事があるということだろうか。だとすれば、それだけのためにここまで先導してくれた雄二は、よくよく付き合いがいいと思う。貴明の周りには、そういう人が集まるようだ。
――はあ。
貴明のことに考えが及び、思わずため息が出た。
わたしは貴明の学園生活を知らない。何か面白いことがあれば、話して聞かせてくれたりもするが、それがすべてではないのは分かる。
ただ、今日みたいな教室でのやり取りがいつものことなのか、イレギュラーなことなのかは分からない。分からないが、いくら自分に言い訳をしてみたところで、わたしがヤキモチを妬いて不機嫌になっているのは明らかだった。
ともあれ、いつまでもこんなところでうじうじしていてもしょうがない。環がどういうつもりでわたしを呼んだのか検討がつかなくとも、できるだけ早く用事を済ませてしまうのが正解だ。
屋上に続く扉のノブに手をかけて捻る。金属の扉は、ちょうつがいが少し錆びていて、思ったよりも重かった。悲鳴のような音をあげて、扉が開いた。
目の前に青い空が広がる。
金網のフェンスを背にした人影が、ゆっくりと片手をあげる。
秋の風を受けてそこにいたのは、環ではなく、
「編入おめでとう……ってのもおかしいかな、やっぱり」
制服姿の貴明は、困ったような笑顔を浮かべて、そんなことを口にした。
*****
どうして、という疑問はそれほど長続きしなかった。
雄二に連れられてやってきた屋上に、いるはずの環がいなくて、いないはずの貴明がいる。どんなに察しが悪かったとしても、状況を見れば一目瞭然だ。
無言のままのわたしの態度をどう捉えたのか、貴明はますます焦った様子で、
「騙まし討ちみたいになっちゃってごめん。ミルファと話したくて雄二に頼んだんだけど、その、俺が呼んでもきてくれないと思って」
頭を掻きながら目を泳がせている。
――貴明はずるい。
仕草の端々から真剣さが伝わってきて、これじゃあ責めることなんてできっこない。抱えていたのが理不尽な憤りだというのも手伝って、さっきまで感じていたもやもやしたものはほとんど消えかかっていた。嘘をついて呼び出したというのも、そうまでしてわたしと話そうとしてくれたのが嬉しい、なんて思ってしまうのだから重症だ。
「本当にごめん」
「べ、べつにいいよ。気にしてないから」
ぶっきらぼうになってしまったが、とりあえず本心に沿った言葉が出てくれた。貴明の表情が緩んで、安堵の色が広がっていく。だが、
「……あの子とは仲いいの?」
これだけは聞いておきたい。是が非でも。
「あ、あの子?」
ぴしり、と音がしそうなくらい貴明の顔が引きつった。
「……どうして声が裏返ってるの?」
「い、いや、裏返ってないって! 草壁さんは、クラスメイトで隣の席の子だよ」
物凄く怪しい。
「ホントに?」
じと目で詰め寄る。貴明の顎のあたりから覗き込む格好になる。
貴明は冷や汗を浮かべて、
「……く、草壁さんも二年生になってから転校してきたんだけど、小さい頃に面識があった……かも」
「かも?」
「あ、あった、ありました。で、でも、それだけだって。そのときのよしみで、よく話しかけてきてくれるみたいだけど、本当にただのクラスメイトだよ!」
「ふーん……」
貴明は嘘をつくのが下手だ。そういうところもすごく好きなのだが、それとこれとは話が別。この慌てぶりを見るに、嘘は言っていなくてもすべてを話していないという感じだと思う。日常茶飯事とまではいかないまでも、先ほどの教室でのやり取り程度は普段からしていると考えて間違いない。
なんだか、無性に腹が立った。
「……話はそれだけ? わたし、もう行くね」
「ちょ、ちょっと待った! 何か誤解してないか!?」
わたしは貴明に背を向け、扉のノブを握り締める。
誤解なんてしていない。してるもんか。
「早くお昼ご飯食べないと、休み時間終わっちゃうよ? わたしも次の授業の準備があるから――」
言いつつ、扉を開けた。
「ミルファ! 待ってくれって――」
貴明が駆け寄ってきたのも同時だった。そして、
「………………」
「………………」
二人で一緒に固まった。
わたしはノブに手をかけた格好で。貴明はわたしに手を伸ばした格好で。
鉄の扉が悲鳴をあげた先には、
「……こ、こんにちは~……」
小牧さんを始めとしたクラスメイトたちが勢揃いしていた。
一体何の冗談だろう、これは。
「な、何してんだよ! お前ら! こ、小牧さんまで!」
「ち、ちちち違いますっ! あたしは止めたんですよぉ!」
呆然として動けないわたしの横を追い越し、貴明が猛然と抗議を始める。
後ろの方から「委員ちょもノリノリだったじゃん」とか「河野くんって顔に似合わず手が早いのね」とか聞こえてきたが、もはやそんなことはどうでもよかった。
「雄二! なんでお前まで一緒になって聞き耳立ててるんだよ!?」
「俺、ミルファちゃんを連れてこいって言われただけで、そっから先は何も頼まれてねーもん」
しれっと言い放つ雄二に向かってパクパクと口を動かしてから、貴明はがくりと膝をついて動かなくなった。
「あの……」
控えめな声と共に、半ば放心状態のわたしの肩が優しく叩かれる。顔を向けた先にいたのは、黒髪の綺麗な女の子だ。
「はじめまして。私、貴明さんのクラスメイトでお隣の席で昔のよしみがある草壁優季っていいます。とりあえず、」
件の草壁さんは、そこでポンと両手を合わせ、
「姫百合さんと貴明さんの関係その他、もろもろを聞き出しちゃいますから、よろしくお願いしますね」
完璧な笑顔で、クラスメイトたちの喝采を浴びていた。
学校って、
怖いところかもしれない。
肩を震わせる貴明を見て、わたしはそんなことを考えていた。
to be continued