ミスマルカ興国物語 VI (角川スニーカー文庫) 価格:¥ 620(税込) 発売日:2010-01-01 |
読了。
後書きを読んだ感じ、どうやら次で一部完ということらしいので、キリのいいところまでは読もうと思いました。……三巻あたりまでは楽しめていたのに、なんだか惰性の極みみたいな感じになっちゃったなあ。
や、なんつか、やっぱ僕はこの作品のキモは「マヒロが知謀で相手の意表を突く」ってところにあると思っていて。でも、物語が進むにつれて、そこはちょっと楽しめなくなってますよね。なんていうか、マヒロというキャラクターの人を喰った性格とか、自分の命をベットしたりする部分はブレてないんですけど、周囲との関わりにおける立ち位置の変化がブレてるというか、立ち位置の変化がどうにもこうにもピンとこない。
そのへんに関しては、今回の六巻でも、友人たちとの繋がりに未練を持ち始めた、みたいな描写があったので、おそらく作者さんとしては想定内の変化だとは思うんですが、そうしたマヒロの変化が、ミスマルカという物語そのものを変質させてしまったというか、ぶっちゃけ「これじゃあ面白くないんだよなあ」的な印象が強いです。
具体的にいうと、一巻でルナスを相手取ったり、二巻でユリカと対峙したときの超然とした雰囲気が薄れてきてしまい、巻数を重ねるごとに結構アッサリと相手に裏をかかれることが増えてきたせいで、「武力のなさを知力で補う」というベースが揺らいできてるよなと。ジェスやシーナといった「勇者」にスポットが当たること自体が悪いとは言いませんが、物語がマヒロと相手の知力の比べ合いよりも、マヒロ側勇者と相手側の力比べにシフトすることが多くて。それって僕が最初に『ミスマルカ興国物語』に感じた魅力とは正反対にあるものだっていうのが非常にキツかったりします、ハイ。
で、そういった部分とは別に今回すごく微妙だなと思ったのが、シスター・エミットが重要なポジションに"居すぎる"ってところでして。麻雀の結果に命運を賭けるという展開はさておき(こういうノリはミスマルカっぽいと思いますし)、主人公であるマヒロですら手の届かないところから超然とした解決法を提示されるのが、個人的にはめちゃくちゃスッキリしない気分でした。
正直、エミットみたいなキャラってサブ的な位置にいないと、ウザくなりすぎるきらいがあるんだよなあ。なんかこう、秀才キャラが努力で積み上げたものを、天才キャラが軽々と飛び越えてしまうやるせなさがあるというか、そういう部分において、ちょっと『マクロスF』におけるランカに被る。僕は『マクロスF』におけるランカの身勝手さや、『ストライクウィッチーズ』の宮藤の独断専行が、制作者の都合で「最良の結果」に繋がる展開が凄く嫌いなんですね。エミットって普段の行動が行動なだけに、ホントそういう感じの気持ち悪さが付きまとっていたんですけど、それが六巻で極まりましたね。よく考えると最近の展開って全部こんな感じなので、六巻はある意味、僕がミスマルカに対して感じている微妙さを凝縮したような内容だった気がします。
まあ、そんな感じで。
微妙な内容でしたよということで一つ。