バカとテストと召喚獣7 (ファミ通文庫 い 3-1-9) 価格:¥ 651(税込) 発売日:2009-12-26 |
アニメ開始とタイミングを同じくして新刊読了。
うーん、まさにラノベ。これぞラノベ。もちろん良い意味でな!
今回も楽しかったです。
ちゅうか『バカテス』って、最初は試召戦争がメインになるのかと思っていたんですけど、ガチでやったのって最初くらいでしたね。毎回召喚獣が絡んではくるものの、あくまでも物語における一つの要素程度の扱いになっているというか、ぶっちゃけ勝負ごとに結びつけるための便利設定という感じで。
別にそれが悪いとは言いませんし、話自体を楽しめてるので問題はないんですが、それぞれのエピソードにおけるルールの分かりづらさみたいなものはあるよなーと。今回の野球なんかも、「テストの点数=身体能力」ってのはともかく、点差が具体的にどれくらいの身体能力の差を生むのかっていうのは曖昧なままだったからなあ。
や、瑞希の殺人魔球で吹き出した人間としては、このへんは深く考えたらいけないって分かってはいるんですけど。でも、これまでも「絶望的な戦力差を策略で埋める」という展開がメインに据えられているだけに、その「絶望的な戦力差」っていうのが未だ曖昧なままってのは、そのうち不都合が出てきそうな感じではあるんですよね。なので、勢い任せで笑いが取れている今はいいんでしょうけど、それが効かなくなったときにどうやって物語を展開させていくのかなってのが少し気になりました。その前に終わるかな? 終わんねえだろうなあ。
それはさておき、話を戻して7巻の中身について少々。
個人的には、久しぶりに「バカテスト」が面白かったってだけで絶賛したい気分。
正直、最近は1巻~3巻あたりまでのキレ味が薄れていた印象だったので、再び笑える回答を見れたのは仄かに感動すら。あれって物語の合間に挟まれる僅か2ページの内容ではありますけど、間違いなく『バカとテストと召喚獣』という作品の方向性を定める一要因になっていると思います、ハイ。
また今回は、増えてきたサブキャラ(F組以外の)にほとんどスポットを当てず、F組の面子のみのやり取りに終始していたおかげか、全体的にまとまっていてよかったですね。アニメの放映時期を意識したってのはさすがにないでしょうけど、7巻は1巻にすごく雰囲気が近くて、なんだか懐かしかったです。
1巻に雰囲気が近いといえば、これまでやや"行きすぎ"の感があった瑞希と美波の「ヤキモチに端を発する暴力」もナリを潜めていて、ホントにいい感じでした。ああいう過剰な"トゲ"って毒にも薬にもなりますので、できればこれくらいのバランスがちょうどいいです。
次巻に引っ張るための引きもありませんでしたし、7巻は『バカテス』を一度リセットする話だったのかもしれないなと思ったりも。
しっかし作者の井上さん。
あとがきの開始が「小説担当の井上です」って、謙虚にしたっていきすぎやろwwww
ラノベって実際に挿絵が売り上げにすごく関わってるってのを理解したうえで、僕はやっぱり文章が「主」で、絵は「従」だと思っていたんですよね。だから、いつだったか『ハルヒ』の谷川さんが「売れたのは絵のお陰」ってコメントしていたのを見たときも、「ああ、この人は現実を冷静に分析しつつも、軽く皮肉ってんなあ」なんて思ったんですけど(『ハルヒ』の挿絵の手抜きっぷりはいくらなんでも酷すぎる)。
でもさ! 井上さんのこのコメントは、ホント挿絵の葉賀さんとの共同作業だと思っているんだなーという感じがして、益々好きになったよ! 葉賀さん、すっげキアイ入れて挿絵書いてるし、カラーも手が込んでるし、こういう作者のモチベを感じる作品はやっぱり伸びるね! ちゅうか伸びて欲しい!
というわけで『バカテス』面白いです。
ちょうどアニメもはじまったことですし、沢山出ていて買いにくいなあと思っていた方も、この機会に読んでみてはいかがでしょうか、ということで一つ。