ナイツ&マジック 1 (ヒーロー文庫) 価格:¥ 609(税込) 発売日:2013-01-30 |
読了。
最近web小説がガンガン書籍化していますが、これもその流れに乗った一冊。
実はかつてweb版を読んだことあり、そのときにもわりと楽しめたという経緯があったりします。
あらすじなどはAmazon他を参照して頂くとして以下雑感。
・web版を読んだときに引っかかっていた「主人公が関西弁」という要素を排除したことで、かなり読みやすく(というより、取っつきやすく)なっていると思う。関西弁disというわけではないけど、主人公にはできるだけ〝プレーン〟な状態であって欲しい。余談だが、今作と同じように書籍化が決まったweb小説である『フェアリーテイル・クロニクル』も同じ欠点を抱えているせいで、面白いのにイマイチ人に薦めづらかったり。主人公は標準語でいいよ。どうしても関西弁キャラを出したいならヒロインのうちのひとりの属性にしちゃえばいい。
・で、主人公が標準語になったことでプラス要素ばかりかというと、そうでもなかった。どういうことかというと、web版では主人公の関西弁のほうに意識が向いてあまり気にならなかったところが目につくようになってしまった。ぶっちゃけ全体的に描写がクドい。
・第一に、設定がごちゃごちゃしすぎ。魔法理論や幻晶騎士の仕組みなど、よく考えられているんだけど、いちいち設定を羅列するのは冗長にすぎるので、それらをもっと感覚的に読者に伝える術を模索すべきだったと思う。同様の問題を『魔法科高校の劣等生』を読んだときにも感じたので、やっぱこのへんがプロとアマの差なんだろうなと。そういう意味じゃすでに天酒之瓢さんもプロなわけで、プロとアマの垣根ってのはなくなりつつあるのかもしれない。
・第二に、注力すべきポイントの見極めが甘い。1巻は「前世で死亡→転生→能力開発→友人との出会い→入学→幻晶騎士に関わるようになる→トラブル時に幻晶騎士に乗り込んでモンスターを撃退」という展開なわけだけど、これは正直詰め込みすぎだと思う。たしかにweb版をそのまま書籍化するのであれば、最初の山場がモンスター撃退になるので、そこで区切るのは間違っていないんだけど、書籍化するのであれば展開の長さに応じてもっと話にメリハリをつけないと厳しい。物語の密度が薄いせいで、分量は多いワリに満足感が少ない。このへんは『オーバーロード』が絶妙なんだよなあ。
・ただまあ、密度の薄さにさえ目をつぶれば、展開そのものは王道で非常に面白いと思う。これはweb版のときから折り紙付き。メカオタクが極まりすぎてる主人公のズレっぷりとか、俺TUEE感などは読んでいて楽しいし、少なくとも1巻の範囲では文句のつけようがないと思う。
・絵は普通かなー。今作に限っては可もなく不可もなくって感じだけど、いわゆる〝ハズレ〟を掴まされた場合はイメージが固定化されちゃってキツイかも。web小説の書籍化は色んな意味で運試しやなぁ。
つーわけで、あらすじを読んで気になった方は買っても大丈夫だと思いますということで一つ。
続きは買おうかどうしようか悩むレベルですが!