ちょっとサッカーネタというか、よく使われる「スペース」って何なのよ、という話。
昨日のレビューでも書きましたが、鈴木アルビは昨年までと比べ、格段に「スペースの捉え方」、「スペースへの意識」というものが向上していました。
たぶんこのブログでも、レオが加入した年あたりから頻繁に「スペース」という言葉を使うようになっていると思います。
この「スペース」はとても重要なもので、現代ではサッカー戦術におけるベースの一つになっております。
で、鈴木監督のおかげで、ようやくアルビもスペースが見えるようになってきたということで、良い機会なのでめちゃくちゃ雑に説明してみようかなと。
まずはコレ。
アルビ(オレンジ)がCKの守備をしている、というシチュエーションだと思ってください。
こんな状態にはならねーよと思われるでしょうが、わかりやすくするために簡略化しております。
このオレンジがアルビの選手、青が相手の選手、そして薄いオレンジで示したのが、アルビの選手が受け持っている「スペース」です。
画像の状況ですと、それぞれのスペースにはキチンと対応したアルビの選手が存在し、対面の相手選手に対してもマークにつけています。
こういう状態を作っておけば、同じカテゴリの相手であれば、そうやすやすとは失点しません。
もちろんキッカーがボールを蹴った瞬間に対面の選手に振り切られたり、空中戦で競り負けてしまえば話は別です。
が、ひとつのセオリーとして、人とスペースをキッチリと見られているならば、戦術的には対応できていることになります。
で、次の画像。
状況が動きました。
キッカーが中にボールを入れた後、何だかんだで選手が動き、アルビの選手が一人自分の対応スペースを離れてしまいました。
この画像は、その空いたスペース付近にいた相手が、ちょうどボールを持った、という状況を示しています。
これはまあ、スペースを空けたアルビの選手が悪いかというと、一概にそういうふうには言えません。
時間にすれば2秒、3秒という僅かな間のことですし、サッカーでは選手の位置もボールの位置も刻一刻と変化しています。
時には自分の受け持ったスペースを放棄してでも、ボールホルダーにプレッシャーをかけることが重要な場合もあります。
問題は、この次です。
プロになると、ペナルティエリア付近からフリーでシュートを打たせてしまうと、かなり失点する危険が高くなります。
よって、相手のボールホルダーがフリーでボールを持ったのを見たアルビの選手は、いち早くプレッシャーをかけにいきます。
画像は、元々ボールホルダーをマークしていた選手と、最終ラインにいた上から二番目の選手が、自分のスペースを放棄してブロックに行った、という状況です。
で、最後の画像。
ボールを持っていた選手は、自分でシュートは打たずに、落ち着いて空いたスペースへとボールを送り込みました。
ゴール前の危険なスペースがポッカリと空いたままだったアルビ守備陣は対応できず、GKと1vs1になってしまいます。
あとはもう、GKがビッグセーブを見せてくれるのを願うだけです。
――とまあ、こういうのが従来のアルビの守り方でした。
繰り返しになりますけど、一概にコレが悪いとは言えません。
例えばボールを持った選手がミドルシュートが得意で何点も取っているようなら、シュートを打たれるのが一番マズイわけですから、目前にいるアルビの選手はブロックに行くべきでしょう。
画像では元々のマーカーが間に合いますが、実際のシチュエーションでは間に合わないようなポジションにいるかもしれません。
そういう場合も、やはり最終ラインの選手は、自分のスペースを放棄してでもブロックに行くべきです。それもまたセオリーではあります。
ただ基本的には、画像のようなシチュエーションであるならば、二人揃ってボールホルダーに向かうのはNGです。
ブロックには最寄りの選手だけが向かい、最終ラインの選手は自分の担当スペースを離れなければ、少なくとも4枚目の画像のような決定機は作られていないわけですからね。
以前のアルビは、「闘う気持ち」とか「泥臭さ」という言葉によって、こういうふうにガムシャラにボールに向かっていくだけの行為が肯定されていました。
ここ数年の守備崩壊は、もうそれではやっていけない、通用しないということの証明になったと思います。
今はこうしたスペースへの意識を、個人戦術レベルで一人一人の選手が持ち得ないとならないわけです。
昨日の讃岐戦、左右は逆ですが、後半押し込まれていた時間帯に全く同じような状況が見られました。
そのときは、最終的にジュフンが大きくクリアして事なきを得たわけですが、仮にジュフンが自分の担当スペースを放棄してボールに寄っていたら、クリアできずに相手にボールが渡って失点していた可能性が高いです。
それを見たとき僕は、「ああ、今年はちゃんとした守備を叩き込まれているんだな」と感心しました。
讃岐戦では他にも、ボールや対面の選手に釣られることなく、ちゃんと背後のスペースまで意識を巡らせたままプレイしている選手、状況が、わりと数多く見られたのですよ。
まだ一試合終わっただけですし、J2で勝ち点を積み重ねることの難しさは、昨日の試合だけで痛いほど思い知らされましたので、決して楽観はできません。
とはいえ、今回こういう形で説明させて頂いたように、たしかな成長を感じさせてくれる一戦だったというのも、間違いないと思います。
そんなこんなで、サッカーを楽しみつつ、熱く応援していきたいですねということで一つ。
vs讃岐。アウェイで対戦。
1-0で勝利。→試合データ
非常に難しい開幕戦で勝利!
アレム:6.5 落ち着いてプレイ。持ち前の身体能力の高さで無失点に貢献。
川口*:5.5 前半は気持ちの籠もったプレイを見せるも徐々に沈黙。攻撃時に効果的な絡みが見られないのは痛い。
広瀬*:6.0 ポジショニングのセンスが抜群。カバーリングの巧さという強味を見せる。あとは対人守備をどう勝っていくか。
宋株熏:6.5 このレベルだと貫禄すら感じさせるプレイぶり。地上戦、空中戦ともに完勝。スペースのケアも意識していた。
安田*:6.5 前評判に偽りなし。さすがに代表まで上り詰めた選手は違う。メンタル面で味方を鼓舞できるのも大きい。
磯村*:6.0 開幕戦、しかもアウェイということもあってか、かなり守備を重視したプレイだった。もっと攻撃にも絡める。
坂井*:6.0 ボールを扱う技術の高さ、判断の良さが突出している。磯村の負担を減らし、相乗効果をもたらせるハズ。
加藤*:5.5 守備の貢献こそ大きいもののパスが相手の足に引っかかる欠点が見られた。気持ちが入りすぎて硬かったかな。
端山*:5.5 味方同士の距離感が良いのでプレイしやすそうにしていた。ただここから+αを見せられないと殻は破れない。
小川*:6.0 チャンスを作れた時間帯は小川のフリーランが効いていた。チームでボールを運べなくなったときもう一工夫欲しい。
河田*:7.5 相手を背負ってのプレイが無敵すぎてワロタ。さすがのシュートの巧さを見せワンチャンスを決める。MOM。
矢野*:6.0 FWの貴章が帰ってきた! 投入直後に得点に絡む。やはり「アルビでは持ってる」男だ!
高木*:6.5 攻撃面で良さを見せられたとは言い難いが、チームが押し込まれた中きっちりを守備をこなした。抜群のブロック。
タレス:-.- 出場時間短く採点なし。でもアシスト未遂。突出したフィジカルの片鱗を見せた。
監督*:6.5 ボロクソで基本のなってないチームを短い時間でよくぞここまで! よろしくお願いします!
主審*:5.0 木村氏。「なんとなくファウルっぽい」、「なんとなくファウルじゃないっぽい」みたいな雰囲気で笛を吹く、典型的な下手。
開幕━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!!
そして勝利━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!!
いやーーーーー、ついに開幕しました、Jリーグ!
今年はJ2を戦うアルビは、めでたく初戦を勝利で飾りました!
監督、選手、その他スタッフの皆さん、キャンプからの長きにわたる緊張の日々、本当にお疲れさまでした。
すぐに次の試合ですが、とにかく新潟に! ホームに戻ってきて! リラックスして準備に臨んでください!
つーわけで、ざっくりと試合の感想なんぞを。
一言で言うと、生まれ変わりましたね。
球際の激しさとか、運動量の豊富さとか、そういったアグレッシブさはそのままに、経験と知識に裏打ちされた〝頭脳〟がプラスされたチームに変わりつつあるな、と思いました。
もちろんまだ付け焼き刃なので、体も頭も疲れてきた時間帯は、相手に押し込まれたまま慌ててしまったり、技術的なミス、判断のミスはまだまだ非常に多いです。
ですが、守備のときに対人とスペースをバランスよく見る動き方などが整備されつつあるのを見るに、これからの伸びしろを十二分に感じられる内容だったと思います。
個々の選手に関しては上の採点で触れてるのでちょっと補足するに留めておきますが、安田、坂井などの新戦力がとにかく躍動していました。
安田はJ2だと二つくらいランクが抜けてますし、坂井はこれまでアルビで見なかったタイプのボランチです。海外のセンターハーフを見ているようでした。
得点を決めた河田も、得点以外の仕事もすごくやってくれてましたし、あのポストプレイはチームを助けていたと思います。
対して川口やマサルは苦しそうでしたね。でも、あれは生みの苦しみってやつだと思います。
だからワリと次の松本戦が重要で、この讃岐戦の反省を、きっちりと次にいかせるかどうかというところを含めての評価だと思うのですよ。
磯村や小川あたりも、うまくいかなかったところをどういうふうに改善していけばいいのか考えていると思うので、みんなで強くなっていって欲しいです。
そんなわけで、今シーズンもよろしくお願い致しますということで。