つーわけで、2014年のワールドカップブラジル大会、日本代表の戦いは予選リーグで幕を下ろしました。
三試合すべてにおいて十分に勝てる(予選突破する)チャンスはあったと思いますし、そういう意味では悔いの残る大会だったと思います。
が、頭のどこかで「まあコレが妥当な結果だろうなあ」と納得している自分もいて、色んな意味で煮え切らない一週間でした。
まあ、とりあえず、本田を必要以上に叩くのはやめたれよって感じですね……(´ω`)
や、当然彼もプロなので、結果が出なかったときに自分が批判されることは覚悟の上でしょうし、それについてはべつにどうこう言うつもりはないんですよ。
ただ、今回の日本代表がどういうチームなのかというのを理解しないで「本田は大きな口を叩いたのに何もできない。情けない」みたいに言うのは少しフェアじゃねえよなと。
ぶっちゃけ、前線で身体を張って、フィジカルでボールを収められる選手ってのが23人中本田しかいねーんですわ、あのチーム。
特に前線の選手の貧弱さは目を覆いたくなるほどで、香川は言うまでもなく岡崎、柿谷なんかはもう論外ですよね。彼らの得意なプレイは「フィジカルでボールを収める」じゃないので、しょうがないんですけども。
辛うじて大迫がそこそこイイ線いってるんですが、彼もやはり経験不足なので、あのレベルになると味方との距離感が悪いときはアッサリとボールを失ってしまいます。大久保もテクニックでワリとボールをキープできますが、スペースがないと完全に死んでしまう選手です。南ア大会を思い出して頂くとわかると思いますが、本田はそういう場面でも無茶ができちゃう選手だったんです。
だからまあ、いくら本田の調子が悪くても、本田を外すわけにはいかなかったんですよね。
こんなことを言うと、「本田が無駄にボールを持つせいで攻撃のスピードが落ちていた」なんて反論もありそうですけど、実際のところそういう側面は確かにあるんですよ。キレを失った本田を経由することで、日本はショートカウンターからシュートにいく場面をほとんど作れなかったですし。
っつっても、サッカーは90分間、常に相手に点を取られるというリスクを考えないといけないスポーツなので、たとえ本田不在でショートカウンターが一、二度決まったところで、ボールを落ち着かせることができないチームは絶対にスタミナが切れてボロボロになります。
今回の代表はコンディション調整もうまくいかなかったようで、明らかに運動量が足りていなかったですけど、あれでもし本田が抜けたら更に惨い結果になっていたでしょうね。
このへんは、もう大会に入る前の準備段階にミスがあったとしか思えず、本田の代役を捜すなり(捜したけど見つからなかったのかな?)、本田不在でも90分間通して格上の相手と戦うための方法を考えるなりといったアプローチが必要だった部分で、それができなかった時点で、僕らは「ブラジル大会は本田と心中するしかない」という状況だったわけです。
これだけは、本田を批判するときに頭に入れておいてもらいたいな、と。
ただまあ、個人的な感想を言わせてもらうと、それでもどうにかなったと思うんですけどね。
日本にとっての大誤算は、またしてもワールドカップで10番――今回は香川でしたが――が足を引っ張ってしまったということです。もうね、今大会はこれに尽きますよ。
上記したように、「1.本田抜きのチームは戦力的にも戦術的にも考えられない状態」、「2.本田は今大会非常にコンディションが悪い」という要因を鑑みると、他の(GKを除いた)9人で本田の負担をできるだけ減らし、三試合270分間の間、なんとかして仕事をしてもらわないといけなかったんです。
そんな中、香川まで守備をロクにしないで本田の負担を増すようなプレイばかりを連発したら、そりゃチーム自体が本田と一緒に決壊しちゃいますって……。
コートジボアール戦やコロンビア戦の失点を見ると、ボールロストした選手に非難が集まりそうですけど、一番大事な局面で香川が守備をサボるんですよ。シュートを打たれたときには、マークがかなりズレてしまっているんですけど、その最初のズレが生じているのが左サイドの香川がきっちりとボールホルダーに寄せていないときなんですよね。
……このまま書いても、本田擁護の香川叩きにしかならないと思うので止めておきますけど、結論としては、日本代表は常に11人全員がハードワークするチームであって欲しいなというのが僕の考えです。
身も蓋もない話、今回は大会に入る前、メンバーが発表されたとき、ひょっとしたらそのずっと前から、僕は代表(ザックジャパン)に対する熱を失っていました。その理由がまさにこれで、あるときは本田、またあるときは香川などが、明らかに個人の守備タスクを果たしていない場面が目につくようになっていたんです。
もしアルビで同じようなプレイをしたら、怠慢ということで柳下監督は外すでしょうが(ジンスが何度かやられてた)、そこまでの規律をもたらすことは、人の良いザッケローニ監督にはできなかったんでしょう。次の代表監督はどこの人でも構いませんから、しっかりとチームに規律をもたらせる人がいいですね。
つーわけで、ザックジャパンを総括すると。
・一人の選手に依存するやりかたは、戦術的にもマズイし、メンタルにも良い影響を及ぼさないので、監督にはフラットなメンバーの選出、チーム作りが求められる。ザックにはそれができなかった。
・大前提として、一人一人の選手が守らなければならない絶対的な規律というものは存在する。技術的なミスは取り返しがつくが、戦術的なミスは取り返しがつかない。監督は強権を発揮しなければならないし、選手は驕ることなく走らなければならない。
なんか何年か前にも同じこと書いた気がするけど、やっぱ難しいですね!
でも、この四年が無駄だったかっていうとそんなことは全然なくて、日本がワールドカップに出場するようになってからもっとも密度の濃い四年だったと思います。
唯一の汚点は、大久保の選出かなー。あれでチームの方向性がブレたので、なーんか敗退するにしてもスッキリしないことになっちゃいましたね。
大久保自身はキレキレだっただけに、彼個人の問題ではないんですけど。
皆があれくらいコンディションよかったらねえ。もうちょい良い結果が出てたんだろうけどねえ。
残念。