以前製作した、オールメタル管仕様のアンプの球転がしをしてみましたが、ちょっとしたミスがあり、危うく貴重な球を壊して”失敗”してしまいそうになりましたので、その顛末を・・・
球転がしというのは、以前にも書いた(駄文で恐縮です^^;)ので説明しませんが、球の差し替えをして音色の違いを楽しむ遊びです。
今日の球は、下記のような球を選びました。
まず初段の赤玉5693の代わりに717A、初段の帰還管に6C5から6J5へ、出力段は6L6から7027Aという球に変更して見ました。
まずは真空管の写真を。
初段は、GT管の5極管でトップグリッドではない球の適当な手持ちがなく、またgmもそこそこありそうなのが欲しかったため、717Aを採用しました。形がキノコのマッシュルームやドアノブのような形なので、通称、マッシュルーム管やドアノブ管のように言われている球です。
手持ちのものは、Western Electricブランドですが、SubContractorとしてBy Tung-Solとありますので、発注者:アメリカ陸軍、元請け:Western Electric、下請け:Tung-Solのような発注形態だったと思われます。製造もTung-Solなんでしょうね、おそらく。
717Aはgmが4000mSほどですので、5693の倍近くあり、入力電圧も5693の時よりも低めで良さそうです。
次に6J5ですが、これは、変わったものを選びました。
これはいわゆる”キャトキン管”というものなのでしょうか。いや、キャトキン管のなれの果てというものなのでしょうか。球全体がアルミの外套に覆われていて、アルミの外套を外すと中にガラスの球が入っています。もちろんこの外套は1番ピンにつながれていて、シールドの役目を果たしています。大きさも出力管サイズで貫禄があります。
そして、次は6L6の高信頼管7027Aです。
実は、この7027Aが冒頭に記載したトラブルを引き起こしたのでした。
7027Aは、6L6GCとプレートロス以外はほぼ同じで、映画館などの業務用アンプに使用された球のようです。6L6GCと差し替えも可能なので、今回の6L6と差し替えも可能だと思っていました。
そして、よく確認もせずに6L6をそのまま7027Aに差し替えていざ、電源ON!
なんと!電圧が上がるにつれて抵抗から煙が・・・
煙が出ている個所は、出力管のスクリーングリッドに入れた4.3kΩの抵抗からでした。
なんで?と思いつつも、スクリーンに電流が流れすぎたかな?ぐらいしか思っていなくて、電流が沢山流れるのであれば、抵抗をバイパスしようと思い、4.3kの抵抗を銅線でショートさせ、再度挑戦!
なんと今度は、整流管の後ろにつないだ33Ωの抵抗から煙が出るではありませんか!
のんきな私もさすがにヤバイと思い、電源を落としつつ、原因の調査開始。あっけなく、原因が判明しました。
ピン配が6L6と7027Aではコンパチではなかったのでした。
7027Aは、1番ピンがスクリーングリッドになっていて、メタル管のように1番ピンをアースに落とすような接続をしていた場合、4番ピンに接続した4.3kΩを介してショートしてしまう作りになっていたのでした。
本機の場合は、6CA7と差し替えできるように1番ピンはカソード(8番ピン)に接続していますので、カソード抵抗の310Ωを介してショートしてしまうのですが、作り方にいくつかフェイルセーフに考えが入っていますので、運よく破壊は免れました。もし何もなく、そのままショートしていたら、電源回路のどこかか、7027A自体で内部の断線などが発生していたと思います。
1つ目のフェイルセーフは、スクリーングリッドに入れた4.3kΩの抵抗でしょう。こいつの煙で異変に気が付けばよかったですが、そこで気が付かなかったのは何とも恥ずかしい話です。
2つ目は、整流管直後の33Ωです。この抵抗から煙が出るというのはさすがにおかしい、というのはいくらボンクラでも気が付くものです。
今回は、改めてフェイルセーフの考え方の重要性を思い知ったのでした。整流管直後の33Ωは、昔、宝塚市にあった、オーディオアンプ工房Valves’WorldのTossieさんがよく使っていた回路ですが、今になってこの回路のお世話になるとは。改めて昔のマニアに脱帽です。
ところで、最近フェイルセーフで似たような話が巷でもあったような・・・
「それは一般的に失敗といいます」と、どこかの思い上がった記者が、偉そうにほざいてましたね。さぞや日本のためになる素晴らしい記事をお書きになることとお見受けしました。
今回はいろいろ勉強になった球転がしでした。
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