10月6日、品川区では、旧東海道と天王洲をつなぐグリーンスローモビリティ(低速電動バス)の実証運行を開始した。2015年のパリ協定に基づき、21世紀後半には温室効果ガス排出の実質ゼロが国際的枠組みが目指されているが、日本では、低炭素社会の実現に向けて、グリーンスローモビリティという時速20㎞未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスを活用しようというものである。国土交通省が主導し、各自治体が実証運行の後、導入しているもので、区による今回の実証運行もその一つである。
ネットで「東品川一丁目」のバス停から第1便が10時始発という情報を得て、8時半過ぎにその界隈に行ったが、係員はおろか誰もいなかったので、すぐ近くにある交番で訊いたところ、全く電動バスの実証運行についての情報を持っていなかった。区のイベントであると思うが、始発バス停にある交番には何の連絡も情報も入っていないことにビックリした。日曜で問い合わせ先もないので、仕方なく、交番から南へ20m位のところにある「東品川一丁目」のバス停で待っていたが、9時半過ぎになっても誰も来ないので、何かおかしいと思っていたところ、交番の警官が来て、電動バスが交番から北へ20m位のところにすでに来ていると教えてくれ、あわててバス停を移動した。要するに、電動バス用に新しいバス停が交番の北側に新設されていて、バス停の名前は全く同じ「東品川一丁目」であった。そのことはすぐ近くにある交番にはまったく情報が提供されておらず、交番では既存のバス停を案内されたのだから、とんでもない話である。
定員は、たった8名なので、乗れないこともありうるとネットで案内されていたので、早めに現場に行ったにもかかわらず、この様である。この実証運行開始のPR不足のおかげか、第1便の乗客は我々を含め5名で、無事乗車することができたが、もし、多くの人が並んでいたら、乗れないこともありえたわけで、区のイベント企画のお粗末さを痛感した。一周すると約40分で、回りの景色を楽しみたいところであるが、何と降りるまでにアンケートに答えてくれたら、JAL提供のノベルティ(ボールペンであった)がもらえるとのことで、車内でアンケートに答える羽目となった。紙のアンケートではなく、スマホによる回答ではかなりの時間を要するもので、企画に疑問を感じた。車中ではゆっくり景色を楽しんだり、車内での観光案内アナウンスを聴いたりできるようにすべきであり、まずは全員に記念のボールペンを渡し、事後にアンケートを提出してほしいとすればいいだけである。短い区間しか乗車しない人はアンケートに答えようもない。
また、座席は木製のベンチのようなもので、極めて座り心地が悪く、お尻が痛くなるほどで、仕切りもないので座っていると動いてしまう。また、電動バスの運行は週4日で、火木土は、旧東海道を走行するが、日曜は、許可が下りないので走行できないと説明していた。曜日によって運行ルートが異なるのでは利用しにくいと感じた。1日の運行は、6便だけなので、頻度が少なく、これまた利用しにくい要素となりそうである。実証運行は、運賃無料だが、実際は、運賃を取る(アンケートに運賃の質問あり)ようなので、1日乗り放題券でもないと利用しにくいと思われる。また、定員がたった8名ということもネックである。混雑時は、バスを待っていても乗れないことも十分あるということであり、ますます利用しにくい。また、対象者が観光客だとすると、旧東海道と天王洲の観光資源をどう結び付け、価値あるものにしていくかがポイントである。旧東海道は歩いて巡らないと意味がなく、火木土は乗り継げるが、日曜は利用しにくいと感じた。実証運行は11月24日まで続き、それを踏まえ、いろいろな問題が改善される可能性もあるが、前途多難という印象を受けた。