カラスといちごとクロッカスと

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ブラックベリーの収穫作業は、地獄の苦しみ

2022年08月22日 15時25分55秒 | 果物、実、タネ
2022.08.21撮影

ついに地獄のブラックベリーの日が来ました。ブラックベリー収穫の日です。これ以上遅らせるとトンデモなくなる、と、まずは、恐ろしいものを見に行きました。今年は、ブラックベリーを全く剪定せずに伸ばし放題にしたのです。やっぱりどえらいことになっていた、知ってはいたけど。庭のその部分が通行不能になって、もうだいぶん経ちます。

本日は、「ブラックベリー収穫作業・地獄の苦行編」を一部始終お見せします。どうか、最後までおつきあいくださり、わたしの苦しみを分かち合ってやわらげてくださいませ。

まずは、重装備から。長袖のブラウス、くるぶしまであるパンツ、しっかりしたスニーカー、頭をスカーフで整え、そして、メガネ類とマスクが重要です。荒い表面の葉っぱなどが顔の肌に触ると、痛く、真っ赤に腫れます。目に入ると大変です。

準備ができたら、ブラックベリー地獄の入り口へ。上の画像で真ん中に太めの茎がニョキニョキと出ていますが、これが、画像右側に6メートルほど伸びてアーケードを作ったようになっています。その太い茎の垂れたうちのひとつが、次の画像。トゲをお見逃しなく。

2022.08.21撮影

地獄門を通るには、まず、この伸び切った茎を切ります。ハサミじゃダメですよ。長い取手のついたのでバサッとやります。その切り取ったうちの根に近い方が、次のもっと恐ろしい画像。これらのトゲが、このブラックベリーが野生種であることの証でもあります。

2022.08.21撮影

伸び切った枝を取り払って、「たたき」が見えるようになると、うわ〜〜、ブラックベリーが〜〜いっぱい落ちてる〜〜。この数だけ食べなかった、ってことよね〜〜(画像に写っているのは、ほんの一部)。もっと早く収穫するべきであった。

2022.08.21撮影

収穫は、地獄門の上の方から始めます。冒頭の画像をもう一度ご覧ください。薄茶色のものがモジャモジャっとしただけで、実のついていないものがありますね。それが、ベリーが、わたしに断りなく勝手に落ちた、揺るがない証拠です。門の上は、楽勝だった。

次に、今度は、勇気を奮って、上から押さえ込むようなアーケードの中に入り込んでいきます。画像からはそんなにベリーがあるようには見えませんが、実際には、見えないところににもベリーがなっているのです。身をかがめて、手を伸ばして取るのですが、つまみとると、その振動が伝わって、他の熟れた、最高に美味しそうな実がぼたぼた落ちるのです。これで、1〜2割はなくしました。

2022.08.21撮影

アーケードの裏側にたどり着いた時には、汗、トゲ、ベリーのお汁、と・・・なんでここまでして食べなきゃあかん?

2022.08.21撮影

結局、裏側全部は摘みきれず、明日にすることにしました。ブラックベリーを摘むと、裸の枝は次のようになります。

2022.08.21撮影

さあ、片付けようと思ったら、やっと痛みに気づきました。トゲが指先に刺さっているわ〜〜〜ん。これ、ちっちゃいトゲ。ベリー摘みって、手袋をつけてはできないんです。手で熟れ具合を探り、熟れ過ぎは捨て、ちょうどいいのだけ収穫します。トゲを取り去ると、血がぷくっと出てきました。

2022.08.21撮影

ブラウスがこんなになっちゃった。家に入ってすぐに水洗いし、石けんをつけて、もみ、それでは色が落ちきらなかったので、さらに洗濯機にかけたら、きれいになりました。

2022.08.21撮影

今日の収穫は、300粒。つぶれやすいので、さっとだけ水洗いし、ザルに上げたところが、これ。直径25センチぐらいの平底のザルです。今冷蔵庫に入っています。

2022.08.21撮影

「木熟」なのでよく熟しています。すぐ食べなくては。食べきれないのでジャムになるでしょう。明日も収穫しなくてはならないし。

「木熟」考 —言葉の省略をめぐって

ブラックベリーのトゲについては、以下の記事も、よろしければどうぞ。


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イチジクと、イタリア人のおじいちゃまとの思い出

2022年08月21日 12時53分17秒 | 果物、実、タネ
2022.08.19撮影

わたしの庭(カナダ西海岸、バンクーバー)で、今年初のイチジク(イチジク属 Ficus)が実りました。例年より遅いです。おととい気づいて、昨日、取り入れる直前に、脚立に登って撮影しました。

ひとつではなあ、もうひとつあればおやつになるなあ、と思って見渡すと、もうひとつありました。これは、先のほど熟れていないけど、お腹の事情で、これも摘み取ることにしました。

2022.08.19撮影

摘み取ったのはいいけれど、考えましたね。お腹に素直に従うべきか、あるいは、今から冷蔵庫に入れて冷やし、後でもっと美味しくしていただくか・・・今回は理性が働き、このイチジクふたつは、朝食の一部ではなく、午後のおやつになりました。わたしの独り占めで。

バンクーバーにはイタリア系移民とその子孫がかなりいて、イチジクの植わっている家は、と言えば、イタリア系が多いです。あるいは、中国系。イタリア人は、祖国でイチジクを食べているのだと思います。中国系の人々は、野菜づくり、果物づくり、など、とにかく食糧生産に励む人が多いです。

イチジクは、この辺りでは、主に2種類育てられていて、果実の色で区別して、一方は「緑の」、もう一方は「茶色の」とか「茶紫色の」とか「紫色の」とか、呼ばれます。イチジクの原産地(地中海沿岸、アジア西部、など)から比べて寒いバンクーバーの気候に合っているのが、結果的にこの2種類だったのかもしれません。バンクーバーの人々は、イチジクを食べる人なら、たいていは、「茶紫の」方が美味しいと言います。


明言はできないのですが、「緑の」方は、紀元前1世紀にはすでにローマに存在した園芸種の Ficus carica 'Kadota' のようです。「茶紫の」方は、Ficus carica 'Brown Turkey' 。果実の外皮の黒いと言っていいぐらいの Ficus carica 'Mission' ではないようです。ちなみに、世界でイチジクの生産量の一番高いのは、トルコ(英名 Turkey)です。


わたしのうちのすぐご近所に、イチジクを大量に育てていたイタリア人のおじいちゃまがいたんですが、その人が亡くなる前には、そのおじいちゃまからよくイチジクをいただいたんです。取手付きのでっかいアイスクリームの空き容器に入れて、「緑の」と「茶紫の」とを取り混ぜて持ってきてくれたものです。たまには、そのあまり美味しくない、と言われる「緑の」しかなくて、おじいちゃまの方が恐縮しながらイチジクをくださいました。大きな粒のブドウも、時期になるとくれました。

そのおじいちゃまが亡くなる数年前、「まだ歩けるんだ、ゆっくりだけど。」と言って、イチジクの枝(1メートル近い)を数本切って、うちに持ってきてくれて、挿木にしてあげる、って。わたしは、内心、えと・・・「茶紫の」方をくれているんですか、と思いましたが、おじいちゃまがわたしに良かれと思ってしてくれていることなので、「茶紫の」であると信じる理由はあっても、疑う理由はない、と思いました。

その挿木(というか、「挿枝」という感じ)は、斜めに土に押し込むのです。挿したのは、全て根付きました。今では、3メートルの、収穫に脚立の必要な木になりました。

うちのイチジクは、木自体が成長したから実がよくつくようになっただけ、とも言えますが、食べられるまで熟す実の数は、確実に増えているんです。これは、地球温暖化のためもあると思います。気温の高めの日が続くと、実がどんどん熟れます。

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ブルーベリーはクマさんもお好き

2022年08月20日 15時41分56秒 | 果物、実、タネ
2021.06.22撮影

カナダの西海岸、ブリティッシュ・コロンビア州最大の都市、バンクーバーの周辺には、街の中心から15〜30分も車を走らせれば、山があります。冬場にはスキー場になる山々です。夏には多くの人が山歩きに訪れます。また、これらの山に入って食べられる野生の植物を探すのを楽しみにしている人々もいます。

わたしの場合は、カナダに来て間もないころは、食べられるものを探すよりも何よりも、自分が初めて見る植物を見い出すだけで喜んでいました。そして、すぐに、バンクーバー周辺には、野生のブルーベリー(Vaccinium spp.)が5種ある、と知ったのです。

「ベルベット・ブルーベリー」Velvetleaf blueberry(Vaccinium myrtilloides
「矮性ブルーベリー」Dwarf blueberry(Vaccinium caespitosum
「湿地ブルーベリー」Bog blueberry(Vaccinium uliginosum
「楕円形の葉のブルーベリー」Oval-leaf blueberry(Vaccinium ovalifolium
「アラスカ・ブルーベリー」Alaska blueberry(Vaccinium alaskaense

そして、すぐに、これらの5種が自然の中で生えているのを見つける、ということが、山歩きの時の課題になりました。そして、この5種のうち、3種までは確認したんです、実のなっているところを。「ベルベットの葉の velvetleaf」「矮性の dwarf」「楕円形の葉の oval-leaf」。それで、ほお張りました、もちろん、洗わずに。おまけに、たくさん摘んで、うちに持って帰りました。うれしかったわあ。

新鮮なうちに、と、カナダ人の友人たちにおすそ分けしようとしたら、怒られました。これらのブルーベリーは、山のクマさんたちの大切な食糧である、と。申し訳ないことをした、と思ったけど、もうしてしまったことは取り返しがつかない。ですから、野生のブルーベリー摘みをしたのは、これが最初で最後です。

栽培品種なら、今は、うちでブルーベリーを3本育てています。冒頭の画像がそのうちの1本の実がなっているところ。画像の手前側に写っている青く色づいた大きめのは、これぐらいまで熟せば食べられますが、もう数日、木で熟れさせた方が美味しいです。と言っているうちに、鳥さんたちがお召し上がりになるんですよね。さすが、うちのあたりにはクマさんは出てきませんが。

次の画像に見える、たわわの実は、まだ、硬い、硬い、実。奥の方に、別の栽培種の実が、ふたつほどですが、色づいているのが見えます。

2012.07.06撮影

次の画像のも、硬い青い実(「未熟」という意味での「青い」)。先の画像のとは種類が違うような・・・背景に見えている赤い実と赤っぽい葉は、オトギリソウ属(Hypericum)のものです。

2012.07.06撮影

もうちょっと熟してくると、次の画像のようになります。

2016.06.16撮影

指で優しくつまんでみて、果肉が押し返してくるようなら、食べごろです。次の画像の実のような感じ。画像の左後ろに見えるのは、白いのがナツシロギク(Tanacetum parthenium)。ピンクのは、多分、ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)でしょう。

2022.07.05撮影

実の熟す段階を次のように1枚の画像で示したものもあります。


元の花と言えば、下の画像のようなものでした。同じくツツジ科(Ericaceae)のエリカ(Erica)にそっくりの花ですね。

2022.05.25撮影

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