judas priest - the ripper
今日の特集はメタルゴッド「ジューダス・プリースト」!
アイアン・メイデン、メタリカとともにヘヴィ・メタルの世界で神格化されているバンドですが、他のバンドとは違うところがあります。それはデビューが結構古いこと。
イギリスでのデビューは何と1974年です。
デビューアルバム「ロッカローラ」はB級の雰囲気がかなり漂う作品でしたが、セカンドアルバムで第注目を浴びることになりました。
日本でセカンドアルバムが発表されたのは、1976年だと思います。
当時、このアルバムはかなり評判になります。
まずは、当時若手ロック評論家でかなり発言力があった渋谷陽一氏が、自分のラジオ番組で、この曲「リッパー」をオンエアして、このバンドのちょっと他のバンドとは異質のきらめきを伝えました。まるでクイーンを思わせるようなこの曲のアレンジはかなり多くのリスナーの心をとらえたと思います。
そして、このタイトルとジャケット、そしてバンド名。
多くのロックファンが「おーっ、かっこいい!」と思ってレコードを購入してしまいました。
炎の中、悲しみにくれる翼を広げた天使の絵、まさにロックのロマンがあります。
タイトルは原題がsad wings of destnyで邦題が「運命の翼」です。今風にいえば厨二病(中二病)全開で、当時の中高生にはたまりません。
そして、バンド名は「使徒ユダ」です。聖書でキリストを裏切った有名なお弟子さんの名前ですね。まさにブラックサバスと同様のセンスで、これもオタク心をくすぐります。
そして、何より有名なのは、当時まだ駆け出しのロック評論家であった伊藤正則氏(今では日本におけるメタルゴッド)が「音楽専科」というロック雑誌で、大々的にプッシュしたことです。クイーンが日本で売れるきっかけの一つをつくったと思われる「大貫憲章」氏がクイーンが売れるように「神のご加護を!」と大絶賛して、多くのファンの共感を呼んだのですが、伊藤氏もこのバンドを大絶賛し、やはり「神のご加護を!」と紹介していたような気がします。伊藤氏の先見の明には感心せざるを得ません。
というわけで、このアルバムは当時のロックファンはかなり知ってました。
メタル系はほとんど聞かない私のクラシックロック仲間の東京在住の先輩二人も知っていました。
というわけで、このアルバムはクラシックロックにおいて、押さえておくべき作品ではないかと思います。
私は、このバンドが21世紀まで生き残るバンドだとは当時全然思いもしませんでした。
じっくり聴くと、ブリティッシュロックの湿ったリリシズムが光る作品で、聴けば聴くほど味がある作品です。
彼らは次回の作品からは、もっとストレートでパワフルなハードロックの世界に突き進んでいきます。ややプログレっぽいというか、陰影の深さを感じさせる本作品は、やはり独特です。名作です。