1973年発表、彼らの5作目です。人気作!
メンバーは不動のパイ・ヘイスティングス(G,V)、リチャード・コフラン(D)以外は変化ありました。前作まで、キャラヴァンの音楽に強いカラーを与えていたリチャード・シンクレア(B)が脱退。前作で、新鮮な風を吹き込んでいたスティーブ・ミラー(K)も脱退。ベースにジョン・G・ペリーが参加、そして、キーボードにデイブ・シンクレア復帰です。で、意外なメンバーとしてヴィオラ奏者のピーター・ジェファリー・リチャードソンが加入しています。
このアルバム「For Girls Who Grow Plump in the NIght(夜ごと太る女のために)」はここ日本では、「in the Land of Grey(グレイとピンクの地)」に続く人気を持つ作品ですね。ネット上でも、多くの方が取り上げているので私が今さら細かい情報を伝えることはないでしょう。
私がこだわるのは、この変な日本語のアルバム・タイトル!発売当初からこの邦題がつけられていました。
初めてこのタイトルを知った時は、食って寝てばかりいる怠惰な女性のことを皮肉ったユーモア作品かと思ってました。
直訳のこのタイトルだとそう思いませんか?失礼な感じ?
でも、そうじゃないですね。
今ではジャケットの妊娠した女性の写真から考えて、妊娠した女性たち(複数形なんです)をいたわるような意味じゃないかなって思います。
さて、アルバム全体の印象なんですが、前作と大きく異なります。
前作のジャズ・ロック的アプローチから大きく離れて、ロックっぽい。どうもこの辺がメンバー・チェンジの理由のようです。リチャードとスティーブはジャズ的なアプローチに力を入れたかったのでしょうけど、バイ・ヘイスティングスはロックっぽさにこだわったようですね。
今回取り上げた1曲めの組曲「Memory Lain, Hugh / Headloss」はやたら元気です。パイのギターって、こんなにパワフルだっけ?って思いました。2曲目「Hoedown」なんかは、元気いっぱいのカントリー・ロックっぽくて、オールマン・ブラザーズ・バンドかマーシャル・タッカー・バンドかと思ってしまいます。この2曲の印象がかなり強いアルバムですね。
Memory Lain, Hugh / Headloss
まあ、一番の聴きどころは7曲目の「L'Auberge Du Sanglier/A Hunting We Shall Go/Pengola/Backwards/A Hunting We Shall Go(Reprise)」だと思います。
この曲の劇的な展開はかっこいいの一言!はじまって、1分過ぎからの緊張感はまさにロックです。すべての楽器が張り詰めた緊張感のなかで役割を果たしていきます。パイのギターのハードなソロ演奏にはびっくりしますねー。ピーターのヴィオラも、クリムゾンのデヴィッド・クロスを想起させるかっこよさ。この1曲を聴くためにこのアルバムを買ってもいいかな?イエスやクリムゾンのもつ緊張感のあるプログレですね。のどかなプログレのイメージをもつキャラヴァンですが、この曲については、鋭い切れ味を持つプログレだと言いたいですね。
Caravan L'auberge du Sanglier A hunting we shall go Pengola Backwards A hunting we shall go reprise
次回のカンタベリー・ロック特集はソフト・マシーンの5作目にする予定です。
どれも魅力的なアルバムが多いんですが、捨て曲なしのこのアルバムもかなり良いと思います。特に1曲目と5曲目と組曲の7曲目でヴィオラの音色が良く前半と後半と曲調が変わるが印象的です。フロイドのような実験的なサウンドですがデイヴシンクレアのキーボードが良いですね!
リチャードシンクレアが大好きだった方でも楽しめるアルバムです。タイトルはちょっと❌ですね(笑)
コメントありがとうございます。
確かに、この作品はプログレの中では聴きやすいタイプですね。
あと、カンタベリー・ロックはメンバーがあっちいったりこっちいったりして、わかりにくいですよね(笑)
そうですね。ヴィオラがけっこう大活躍してますよね。組曲が聴きごたえあります。
ドラマティックなアルバムだと思います。