ミュウのCLASSIC ROCK LOVE

70年代、80年代のロックとその周辺の音楽について気の向くままつぶやきます♪最近のロックも取り上げます。

カンタベリー・ロック特集18 甘いメロディの虜になる!キャラヴァンの「CUNNING STUNTS」は最高傑作だ!

2022-08-03 05:47:34 | カンタベリー・ロック
1975年発表のキャラヴァン7作目。メンバーはリチャード・コフラン(D)、パイ・ヘイティングス(G、V)、ジェフ・リチャードソン(ヴィオラ、フルート、G)、デイブ・シンクレア(Key)、マイク・ウエッジウッド(ベース、V)。マイクが新加入です。

この作品について、まずは「ロッキン・コンチェルト」という日本でつけられたタイトルに疑問がおこります。
当時、よくある話で、全く原題とは関係ないタイトルです。まあ、プログレ的なタイトルをつけて、興味をひこうということなのでしょう。原題の「CUNNING STUNTS」の「カンニング」はテストをカンニングするのカンニングの意味みたい。直訳は「ずる賢い離れ業」?
このタイトルにした理由はネットでエピソードを説明している人がいるので、そちらを見てください。

アルバム・ジャケットもいいですね。ヒプノシスの不思議な感じのデザインです。まさにプログレ感を漂わせます。

このアルバムについては、ここ日本では「最高傑作!」と推す方が多い感じがします。
プログレ原理主義者から見たら、「ええっ?プログレじゃないよお。ポップスじゃん!」と反対を主張されそうですが、とにかく、メロディがいいんです!もはやプログレではなく、一般ポップスレベルでの素晴らしいメロディなんです!!
極め付きは当時レコードのB面に割り当てられた組曲「The Dabsong Conshirto」(これも、邦題は「ロッキン・コンチェルト」?!)の導入部分の極甘なメロディ!ビージーズか?と思ってしまうようなとろける甘いメロディに参ってしまう人続出(私がそう思ってるだけですが(笑))!
この曲で、大きく勘違いしてしまい、キャラヴァンはポップなバンドで、カンタベリー・ロックもポップなロック・ジャンルと勘違いしてしまう一般洋楽ファンがいるので、困ってしまいます。確かにキャラヴァンはポップ傾向はありますが、このアルバムは特別ですからね。勘違いしそうな方には、「ソフトマシーン3」を聴いてくださいとおすすめしたいです。

で、「The Dabsong Conshirto」の冒頭のメロディですが、何度聴いても素晴らしい!このメロディと声を聴くためにこのアルバムを購入してもいいという名曲です。組曲全体では、ブラス・ロック風になったり、ジャズ風になったり、混沌とした演奏になったり、プログレ感あります。
それにしても、現在、このアルバムは現在廃盤のようです。これは残念!
コロナ感染流行以降、クラシック・ロックのCDがあまりプレスされなくなったような気がします。時代かな。

The Dabsong Conshirtoe





さて、もう1曲、アルバムのトップを飾る「THE SHOW OF OUR LIVES(わが人生のショー)」も聞きましょう。
アルバムの始まりとしては最高の曲です。メロディはいいし、ワクワクしてしまう展開を示す曲。
ゆったりしているし、うっとりした気分になります。はっきり言って、めちゃめちゃポップ。シンクレアがつくってますね。
The Show Of Our Lives

以上、最もポップな2曲をご紹介しました。
まあ、この2曲を聴いただけでも、満足できるアルバムです。

まあ、プログレ度は低い作品ですが、とにかく高品質で、満足度が高い。
難解な作品が好きな人、玄人好みの人はさようならという作品ですが、メロディに酔いたいなら、最高のアルバムです。
人生に疲れた方がいたなら、このアルバムを勧めたい。
なんか、ほっとするし、癒されます。
そんな作品なんです。


カンタベリー・ロック特集、まだまだ続きます。
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カンタベリー・ロック特集17 名作「The Rotters Club」を聴こう! Hatfield and the North

2022-07-24 16:57:41 | カンタベリー・ロック
こんにちは。カンタベリー・ロック特集です。
前回に引き続き、ハットフィールド&ザ・ノースですね。
今回は名作とされる1975年の作品でセカンド・アルバム「ロッターズ・クラブ」です。
メンバーはフィル・ミラー(g)、リチャード・シンクレア(b、v)、ピップ・パイル(d)、デイヴ・スチュアート(k)と前作と同じラインナップ。
このアルバム発表後、彼らは解散し、ミラーとスチュアートはナショナル・ヘルスを結成。パイルも後に合流することになります。

本作について、私は、ジャズ的なものをロックに導入するという方法論が盛んだったカンタベリー・ロックの中で、一つの理想郷にたどり着いた作品だと思っています。ソフト・マシーンがリスナーの好みよりも自分たちがやりたいことをやるという感じで突き進んでいき、キャラヴァンが大衆の好みを意識し続けたのと違い、絶妙なバランス感覚でジャズ的な味わいとロックらしいエネルギーをミックスしたバンドととらえています。そのミックスの仕方が実にスマートなんですよね。全然強引ではない。キャラヴァンのようにポップではないんですが、耳になじみやすい点も素晴らしいと思います。

まず、ご紹介するのは2曲目の「Lounging there trying」。これはフュージョンっぽいんですが、いい曲です。1975年という時代を考えると、実におしゃれだし、テクニカルです。あまり、イギリスっぽくないですね。

Hatfield and the North - Lounging there trying



次は、ずばりプログレといった感じの曲 「The Yes No Interlude」。ジャズ風味がありながら、あくまでロックです。クリムゾン、ELPのようなところもありますけど、全体のイメージは異なります。とにかく、ものすごいエネルギーで、展開力があります。演奏技術は高度ですが、すごく聴きやすい。ソフトマシーンのように聴き手を置いていってしまうことはない。聴きやすいアヴァンギャルドですね。混沌としながら、スマートです。

Hatfield And The North: The Yes No Interlude


次は「Fitter Stoke Has A Bath」。シンクレアののんびりしたヴォーカルが流れるとキャラヴァンっぽくなりますが、曲が進行すると、全く違う音楽になります。ポップなトーンから、ジャズ風味あるプログレに移行していくので、あれっ?という感じになります。最後の方は効果音みたいになってしまうのがちょっと残念。
Hatfield & The North - Fitter Stoke Has A Bath - 1975



もう1曲「Underdub」。おしゃれなフュージョンです。シンクレアのベースがうまい!完全にジャズの人ですね。他のメンバーもロック・サイドの人間って感じがしません。演奏が上手。イギリスのロック・バンドというより、アメリカのスタジオ・ミュージシャンの演奏に聞こえてしまいそうな曲。

Hatfield & The North - Underdub


このアルバムには大作「Mumps」が入っているのですが、それはあえて省略します。私の紹介文を見て、気になった人はぜひ動画サイトをチェックしてみてください。素晴らしい曲だと思います。


ハットフィールド&ザ・ノースはソフト・マシーン、キャラヴァンほど有名ではありませんが、高度な演奏力と抜群のセンスによって、一つの高みに上りつめたバンドだと思います。音の宝石箱のようなサウンドは一聴の価値あり。フュージョン、そしてクリムゾンの緊張感のあるサウンドが好きなら、けっこう好きになるかも。


次回のカンタベリー・ロック特集はキャラヴァンを予定しています。
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カンタベリー・ロック特集16 ハットフィールド&ザ・ノースはすごいぞ!

2022-07-02 16:35:27 | カンタベリー・ロック
今回はカンタベリーの勉強のコーナーです。よろしくお願いします。

カンタベリー・ロックといえば、ソフト・マシーン、キャラヴァンなのだが、第3のバンドとして有名なのが、hatfield and the north。このバンド、日本でどれだけ売れたかわからないけど、メジャーな存在ではなかったのは間違いないと思う。
私自身、リアルタイムで存在を知っているのだが、当時レコードを聴いていないし、ラジオで全然流れていないし、友人でもレコードを買ったという話を聴いたことがない。まあ、マスメディアでとりあげない存在(ヴァージン・レコードは当時例のエクソシストの音楽に採用されたマイク・オールドフィールドで大儲けしてたから、広告はよく出していて、そこにはハットフィールド&ザ・ノースは記載されていたけど。)だから無理もない。当時お金のなかった少年たちは大人になってからCDを買ったりしたと思う。私も後追いでこのバンドの詳細を知った。

バンド名が変わっているのだが、このバンド名はロンドンから北に向かう主要幹線道路の道路標識が由来のようだ。

ファースト・アルバムは1974年。
結成当初からメンバーの入れ替えがあったんだけど、アルバム作成時のメンバーは、元ゴングのビップ・パイル(D)、元マッチング・モウルのフィル・ミラー(G)、元キャラヴァンのリチャード・シンクレア(B、V)、元エッグのデイヴ・スチュアート(K)。そしてゲストにHENRY COWのジェフ・リー(サックス、フルート)、ロバート・ワイアット(V)、ジミー・ヘイスティングス(フルート、サックス)、バーバラ・ガスキン(コーラス)など。

音楽性は、難解で普通のポップス・ファンを戸惑わせるソフト・マシーンとけっこうポップでプログレ・ファンからポップすぎると批判を受けるキャラヴァンの中間に位置する。
難しくてテクニカルな音楽をやってるけど、結構ききやすいのである。
とにかく、演奏がうまくて、センスが抜群。
惜しむらくは名曲と呼べるような曲がない。派手な曲が1曲でもあれば彼らも有名になったろうに。

さて、1974年のデビュー作は2作目が名作とされているために、けっこう知られていないかも。
でも、すごい作品だと思う。
まるでおもちゃ箱をひっくり返したような、きらめくようないろんな音がでてくる。ソフト・マシーンやキャラヴァンのような音もあるが、その辺については単なる一部になってるくらい目まぐるしく展開がある。
面白いバンドなので、プログレッシブ・ロック・ファンでプログレ5大バンド以外に何か聴きたくなったという人におすすめのバンドといいたい。

では、私がお気に入りの3曲を紹介したい。


Son Of 'There's No Place Like Homerton'

Son Of 'There's No Place Like Homerton'。この曲はプログレっぽい音作りと細かいアレンジが魅力。ジャズっぽいところもあるが、あくまでロックで聴きやすい。知的な面を感じさせつつエンタメ性が高い。万華鏡のような彼らのサウンドを象徴する曲。


Rifferama

Rifferama。この曲は80年代に活躍する日本のカシオペアの初期を思わせる曲だ。当時としては、かなりモダンなフュージョン・サウンドで、驚かされる。エンタメ性があり、ソフト・マシーンよりオシャレだと思う。圧倒的なテクニックをサラッと出しているのがすごい。


Lobster In Cleavage Probe

Lobster In Cleavage Probe。イージーリスニング系の曲かなあって思っていると、途中からミニマル・ミュージックっぽくなっていく。 そしてキャラヴァン風の華やかなシンセ・サウンドへ。さらにフュージョン・サウンドっぽく変化。4分弱の曲の中に展開がてんこ盛りである。彼らのあふれ出る才能が発揮された素晴らしい曲。



このアルバムはボーナス・トラックを除き15曲あり、バラエティに富んでいる。前述したように、決定的な名曲がないために、印象が弱いアルバムとなってしまっているけど、テクニカルだし、表情が豊かだし、実に楽しめる。
聴き手を拒否しないプログレ作品である。
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カンタベリー・ロック特集15 Soft Machine 7は過渡期のサウンド

2022-06-19 15:16:22 | カンタベリー・ロック

Soft Machine • Nettle Bed •

カンタベリー・ロック特集を続けています。

この作品は1974年の発表。CBSからの最後の作品です。マイク・ラトリッジがキーボード、ロイ・バビントンがベース、カール・ジェンキンスがオーボエ、サックス、キーボード、ジョン・マーシャルがドラムですね。元ニュークリアスが3人もいるということで、初期のソフトマシーンとはかなり変質しています。なかでもカール・ジェンキンスが志向するミニマリズムが主張してきて、独特の音世界を展開しています。

まずご紹介する 「Nettle Bed」は1曲目のナンバー。繰り返しを使うミニマル・ミュージックの手法が使われているようですね。この曲はジャズ・ロックというより、明らかにロックという感じはします。ロック系のインストって感じですね。もしくはフュージョンかなあ?聴きやすくなったというイメージが湧く1曲目ですね。

 

Soft Machine - Carol Ann

この曲「 Carol Ann」はしっとりとしたフュージョン風の曲。静かで、ある意味キャメルやフォーカスを想起させます。微妙にクールで、甘くはなりません。なぜかドラムははいっていない・・・。最後のシンセが印象的です。プログレ度が高くなります。

 

Soft Machine - Seven - 03 Day's Eye ~ 04 Bone Fire~ 05 Tarabos

すっかりフュージョン的になりましたね。聴きやすい。ちょっとおしゃれな雰囲気にかじを切ったソフト・マシーンかな?まあ、次のアルバムが例の「収束」ですから・・・。フュージョン・バンドになろうとしているところかな?

 

こうしてアルバムの一部だけ抜粋して聴くと、聴きやすい作品かもしれません。でも、アルバム全体ではイマイチしんどいです。単調な部分が長かったり、静かすぎる部分が長かったりして、エンタメ性に乏しい面があるからです。メリハリが弱いアルバムです。それでも、毎回音を変えてくるこのバンドをワクワクして聴くマニアもいるでしょうね。ソフト・マシーンは次作「収束」で、あの、アラン・ホールズワースを迎え入れ、ついにギターレスバンドを脱却します。そのことを考えると、この「7」は節目の作品ですね。

 

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カンタベリー・ロック特集14 ライブ盤とスタジオ盤で違う顔をみせる彼ら。SOFT MACHINE6 

2022-04-03 16:11:23 | カンタベリー・ロック

SOFT MACHINE - 37 1-2

1973年発表です。この時のロック・バンドって、毎年のように新作を出してましたね。

レコード会社との契約なんでしょうか?

メンバーはマイク・ラトリッジ(k)、ヒュー・ホッパー(B)、ジョン・マーシャル(d)(元ニュークリアス)、カール・ジェンキンス(オーボエ、サックス、キーボード)(元ニュークリアス)。このアルバムを最後にホッパーは脱退します。

この作品、個人的には疲れます。ライブ盤もスタジオ盤も聴きやすい部分とアヴァンギャルドな部分があり、アヴァンギャルドの部分は好みが分かれます。混沌した作品です。

ライブ盤からは聴きやすい「37 1/2」を選びました。この曲はフュージョンっぽくて、洗練されてますね。管楽器のソロはエキセントリックなジャズ風ですけど。

 

SOFT MACHINE - Stanley Stamps Gibbon Album

スタジオ盤からは、この曲を選びました。カール・ジェンキンスが好きなミニマル・ミュージック的なところがありますが、躍動感がありますね。アフリカ音楽っぽい。ノリノリの曲です。

 

敢えて、聴きやすい曲を2曲選んだんですが、アルバム全体では、難解なイメージかも。フリー・ジャズ的なところから洗練されたフュージョン・サウンドへの移行期と言われてますけど、決して、聴きやすい曲だけではありません。ポップではないので、メロディ指向の人は要注意。

コメント (4)
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