かみなづき しぐれもいまだ ふらなくに かねてうつろふ かむなびのもり
神無月 時雨もいまだ 降らなくに かねてうつろふ 神奈備の森
よみ人知らず
十月の時雨もまだ降らないのに、それに先立って色変わりをしている神奈備の森よ。
木々を色づかせるとされる十月(冬)の時雨もまだ降らないのに、それよりさきにもう色づき始めている森の様子を詠んでいます。「かねて」は「前もって」「あらかじめ」の意味の副詞。「神奈備の森」は神が降りる森の意味で、各地に存在します。いわば普通名詞で、特定の森を指してはいないようです。