まてといはば ねてもゆかなむ しひてゆく こまのあしをれ まへのたなはし
待てと言はば 寝ても行かなむ しひて行く 駒の足折れ 前の棚橋
よみ人知らず
帰るのは待ってほしいと私が頼んだら、共寝をしてから帰って欲しいのに、それでも帰ってしまうあの人の馬の脚を折ってしまいなさい、うちの前の棚橋よ。
古今集には珍しい、非常に激しい歌ですね。「寝て」は共寝のこと。「駒」は馬、「棚橋」は板を渡しただけの簡素な橋のことです。棚橋が馬の脚を折るというのはよくわかりませんが、簡素で弱い橋板を馬が踏み抜いてしまうようなことを言っているのかもしれません。