漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0081

2020-01-19 19:18:21 | 古今和歌集

えだよりも あだにちりにし はななれば おちてもみづの あわとこそなれ

枝よりも あだに散りにし 花なれば 落ちても水の 泡とこそなれ


菅野高世




 枝からもはかなく散ってしまった花だから、落ちてもやはりはかない水の泡となるのだ。

 散って遣水に落ちた花びらが、浮かんでは消える泡と見られ、桜が散ることによるはかない気持ちが増幅する。泡ははかないものの象徴。方丈記の冒頭の一節、「よどみに浮かぶうたかた(泡)は、かつ消えかつ結びて、ひさしくとどまりたるためしなし」は有名ですね。
 作者の菅野高世(すがののたかよ)は平安時代初期の貴族。古今集へ入集はこの一首のみです。