縁起笑店

縁起の道も招き猫から
陶芸家猫社長のつれづれコラム
横浜の縁起村から伊豆の満腹村に移住

お遍路婆

2009-09-06 | Weblog
縁起村は起伏の多い住宅街だ。どこへ出かけるにもいくつもの坂を行ったり来たりしなければならない。
そんな猫社長の家も門扉から二七段の階段を登ったところに玄関がある。荷物の重いときは腕が千切れそうに
なり、よろよろと玄関に辿り着くときもある。
猫社長の家よりももっと外階段数の多い家もある。先週五十段の家を見つけた。鎮守の森の中にある
神社の階段みたいだ。見上げると母屋に霞が掛かってぼんやりしている。これの上り下りだけで
いい運動になりそうだ。
今日ピノコとこの五十階段の家の前を通りかかった。見上げるとおばあさんが三十一段目に腰を降ろして
いた。おばあさんの横にはレジ袋が3つあった。つと、おばあさんと目があった。
おばあさんは少し微笑んで猫社長に挨拶をした。猫社長もちょこっと頭を下げた。
「大変ですね。階段が多くて」
「ここに住み始めたときはまだ若くってこのくらいどうってことなかったんですけどねえ、今じゃ
途中で休憩を入れないとたどり着けないんですよ」
そういうとおばあさんはペットボトルのお茶を飲み始めた。
家は年を取ったときのことを考えて住むべきなんだなあ。そう思っていたらおばあさんはどっこいしょと
腰をあげて再び玄関への登山を開始した。おばあさんの後ろ姿は金比羅さんへ向かうお遍路に見えた。