おしゃべりの秋

ピノコと散歩に近くの公園に行った。公園のグランドを３周してちょっとベンチで一休みした。
縁起村でもそろそろ木の葉が色付き始めている。空気も乾燥して運動しても汗をかかない良い季節になった。
そんな秋日より、隣のベンチではオコチャマ連れのママ二人がおしゃべりをしていた。
「ノリピーの旦那の高相被告が奄美大島で覚醒剤を拾ったっていってたけど、ほんとかしら」
ここでも酒井法子の話題だ。もうあきあきだ。そう今は秋のど真ん中。
「覚醒剤がそんな簡単に落ちているわけないわ、奄美大島にはイラン人がいないから、拾ったとしか
いいようがなかったのよ」
「そうか。東京ではイラン人から買ったと供述してたもんね」
「そうそう、奄美大島でイラン人が一人しかいなかったら、そのイラン人が疑われちゃうものね」
「拾ったら警察に届けなきゃいけないのに、結局は猫ばばしたことになるわね」
「やっぱり、東京から持っていったのよ」
いやはやママ達、すばらしい推理力です。ほらほら話に夢中になっていると子供がうんこ踏んじゃうよ。
さあピノコもう何周かして帰ろうか。もし覚醒剤を見つけても食べちゃだめだよ。

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投票所はどこじゃ

猫社長の住む縁起村は神奈川県のはしっこにある村だ。数週間前参議院神奈川県選出議員補欠選挙の
投票用紙が送られてきた。８月に選挙にいったばかりなのにもう選挙だ。
選挙の度に莫大な税金がかかるのだから補欠なんて改選までほっておけばいいのにと思いつつ
ピノコを連れて投票所へ行くことにした。いつもの小学校の投票所へいくとなぜか門が閉まっていた。
あれれ、日にちを間違えたかな、もしかして来週だった？と用紙をみると左下に小さく
投票所が変わりましたと書いてある。えーっうそだろ、聞いてないよ。
よく見ると用紙の右に新しい投票所の地図が書いてある。さて困った。書いてあるけど読めない。
老眼で地図がぼやけている。眼鏡なんて当然ない。投票所はどこじゃあ。
縁起村をピノコと共に投票所を探しながらあてど無く彷徨うこと３時間、ピノコは久しぶりの長い散歩に
喜んでしっぽ振り振り２回もうんこをした。その反対に猫社長は疲れ果て行き倒れ寸前。
それでも何とか清き一票を投じることができた。
ところでさあ、たった一人選ぶだけでどのくらいお金かかってるの？
巡回投票車を作ったらどうかといつも考えている猫社長であった。

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肉食の貴婦人

奇跡のりんごは無農薬、無肥料でりんごを作っている青森のおじさんのど根性話。テレビでその苦労、
苦心涙の話を観た。りんごは農薬を撒かないと虫に食われてほとんど収穫ができないらしい。
昔信州の林檎畑の横の道路を通りかかったとき、まっしろい農薬のシャワーをまだ青いりんごに振りかけ
ているところに出くわした。りんごも幹も葉っぱもおしろいをぬったみたいになっていた。
猫社長は農薬を吸わないように林檎畑を通り過ぎるまで息を止めていた。
有機栽培のりんごにとって一番必要なことは林檎自身が強くなることだそうだ。そんな話の中で
ある共通点を見つけた。何の共通点か、おじさんは畑に生える雑草をそのままにして刈ったりしない
らしい。実は猫社長の庭も草ぼうぼうの雑草天国だ。本当は草むしりをしたいのは山々海海なのだけど
蚊がいっぱいいるし、暑いし、めんどくさいし、どうせ秋になったら枯れるだろうとかで手つかずしている。
ところがそれが効果をもたらすのだ。草が生い茂る、消毒もしない、虫にとってはまことに住み心地が
いい。害虫もやってくるけどその害虫を食べる虫もやってくる。
梅の木の側に大きな蜘蛛の巣を発見した。トックリのような形に色とりどりの模様がみえる
気持ち悪いけど鳥肌がたつほど美しい。彼女？は巣のまん中に貴婦人のごとく陣取り、仕留めた獲物を
勲章のように飾り立て見せつけていた。
秋が深まりぼうぼうだった庭の雑草も枯れ、走り回るピノコはいつも草の種まみれになっている。
雑草の種はピノコにしっかりしがみつきそれを取るのは大変な労力がいった。
蚊もチャドクガもいなくなった今ようやく草むしりができるようになった。
秋の雑草は根が張っているから五十肩には堪える。

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触らぬ火事に・・・

サイレンが聞こえる。ウーウーウー、救急車はピポピポだからパトカーか、いや消防車だ。
近い、サイレンがものすごく大きく聞こえる。表に出たら炎が見えるかもしれない。
玄関の扉を開けて思わずびっくり。門扉の先で赤くて巨大な車が通せんぼしている。
てことは火元が超近いって事だ。隣？裏？どこどこ、炎はどこだ、煙はまだか。
恐る恐る消防車の近くに寄ってみると、消防士が道路のマンホールを開けてホースとつなぎ合わせている。
どうやら道路の下に消火栓があるらしい。ホースの行く先を探すとずーっとずーっと向こうまで
伸びている。そこは１００メートルくらい離れたビルの解体現場だ。解体現場の近くには別の
消防車が何台が集まっていた。ここからでも野次馬がたくさんいるのが分かった。
空にはヘリコプターが飛んでいる。ビルの解体現場で燃える物ってなんだろう、もしかしてガス・・・・
ガスガス爆発、ガスガス爆発、ヘリコプターが落下することだって考えられる。
巻き込まれるのはご免なので野次馬に加わるのはやめておいた。
くわばらくわばらくわばらおはら、後で知ったけどぼや程度ですんだらしい。
触らぬ火事にたたりなし。
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青山お一人様が行く

越前クラゲが２年ぶりに大発生、これを解決するには中国で毎年オリンピックを開催してもらうしかないか。
知り合いの個展を見るため久しぶりに外苑前に出かけた。見終わった後国道２４６を渋谷に向けて
ぽっちら歩き、途中ベルコモンズに入った。ベルコモはできた当初はなーんとなく敷居の高いビルだったけど
今は元気が無くて寂れた感じがする。
ベルコモンズの中にコバラヘッタという名前のレストランがあるのを見つけた。猫社長もちょうど小腹が減って
いたのでちょっと覗いてみる気になった。コバラヘッタって名前なのでエスニック系かと想像していたら
韓国家庭料理の店だった。だったらコバラヘッタスミダとしてくれたらいいのに。といいながら店に入る。
時間は２時をすでに過ぎていたので客はパラパラだった。席に通されて塩味の温麺とビールを頼んだ。
昼間のビールはやはり最高とグビッとやっていたらお一人様の女性客が次々とやってきた。
「猫社長がいると空いているお店がだんだん混んでくるよね」よくそう言われたことを思い出した。
実は猫社長は昔から幸運の客引き招き猫なのだ。自画自賛。
猫社長の隣の席に若い女の子が座って猫社長と同じ温麺とビールを頼んだ。よっ、お前さんもかい。
昼間にビールを頼むのは猫社長みたいなおばさんだけかと思っていたので、何だか頼もしくなった。
コバラヘッタと言う割りには大腹がいっぱいになった。
プチカレー、ミニパスタセット、極小ハンバーグ、半分うな重等々おいしくて本格小腹レストランがあったら
きっとしょっちゅう寄ってしまうだろうなあ。きっと太るぞ。
食後の運動に渋谷まで歩いた。爽やかだ、この季節は何キロでも歩ける気がする。

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