縁起笑店

縁起の道も招き猫から
陶芸家猫社長のつれづれコラム
横浜の縁起村から伊豆の満腹村に移住

3センチ

2009-07-25 | Weblog
地球と月は年に3センチずつ離れているらしい。つまり10年で30センチ、100年で3メートル、
それでいくと将来月が小さすぎて皆既日食はなくなり、金環日食になるらしい。
新米サラリーマンの玉子山君は何だかおかしいことに気が付いた。自宅から駅の改札までの距離が少しずつ
伸びていることだ。玉子山君はいつもズボンのベルトに歩数計を付けていた。最初彼は駅までの歩数が
微妙に増えていることを、自分の歩幅のせいだと思っていた。きっと疲れているんだろうと。
数年後、歩数計のカウントは30カウントオーバーし、駅に到着する時間も1分余計に掛かるように
なっていた。
定年まじかの年、玉子山君は夜明けと共に自宅を出た。駅までの遠い道のりを歩くためだ。
駅に向かう道すがら、力尽きて倒れている人が何人もいた。玉子山君はふと考える。僕が会社勤めを
始めた当初は駅までこんなにはかからなかった気がするんだけどなあ。
皆既日蝕が金管日蝕になるのは数億年後。