医療関係の記事を読んで思うこと。
医療など専門性の高い分野については、専門家の意見をそのまま横流しにして伝えがちであるが、高度で先進的なものであればあるほど、まだ不確定な部分も多く、伝えるものは批判的な視点をもって、情報を精査する必要がある。その情報を吟味する時に必要になるのは、その専門分野の知識ももちろんだが、それまでの人生で学んだ様々な知恵や教訓であったりもする。
例えば、「ゆく河の流れは絶えずしてもとの水にあらず」の方丈記の一節から「動的平衡」なんてことを考えるわけだし、空爆すればするほど、他の場所で復活するテロリストに、抗がん剤に抵抗力を得て転移して行くがん細胞を思ったりもする。もちろんこの間の関係性は実証されているわけではなく、想像でしかないが、こうした想像をきっかけにして、ものごとへの疑問とかそれにつづく検証への道は開けて行くのだと思う。こういう他分野からの想像力が働かない限り、学問というのは自家中毒の袋小路に入ってしまうような気がする。
最近では、大学の「文系廃止騒動」が起こり、産学連携が叫ばれ、理系偏重の傾向がある。かつてよく聞かれた「学際的」という言葉もとんと耳にしない。上記のような考えはもう古くさいのか…。いや、古いものが新しいという今の時代を表しているだけだと思う。