「癌の陰に隠れないで」というある医師の言葉に動かされたという。そして、こう書く。「癌患者というアイデンティティーが私の心や生活を大きく支配してしまっていたことに気がつきました。元気になったら元の自分や生活に戻れるのだからそれまでは、誰にも知らせず、心配をかけず、見つからず、、、と思ってきました。」
この気持ちとてもよく分かる。
日本では自分が癌であることを公表した場合の周囲の腫れ物に触るような視線が嫌で、癌であることを隠している人も多い。
「癌です」と言った途端に、「あの人、早晩死ぬの?」と思われているような気がする。それがいかに怖いかは、体験者でないとわからない。相手がたとえ口に出してそう言わなくても、そう思われてるんじゃないかと自分が思ってしまうことが怖いのだ。
周囲の人たちの頭に浮かんだ「死」という言葉の言霊が大きな塊になって、自分を飲み込んでしまうんじゃないかと思ってしまう。それは癌そのものよりも怖いかもしれない。
だから、癌であることを黙っていたくなる。
しかし、公表して周囲の視線を感じるのもストレスだが、自分だけで抱えることもまたストレスなのである。これだけ開き直っているようにみえる自分でさえ、癌という言葉が頭に浮かばない日はないし、仕事が大変になると不安になるのである。もし黙っていたら、今頃、どうなっているかわからない。
麻央さんがブログをはじめた気持ちがわかる。
癌という病気の怖さは精神的ストレスが半分以上を占めているんじゃないかとさえ思う。
切に世の中の癌患者に対する視線が変わることを願う。癌患者が「癌患者」というアイデンティティを超えるためには、世の中の視線が変わることも必要なのだ。
そのために私も書き始めたい。
昨日の夕方、月は新月となった(アフリカでは日食でしたが)。
今は大きなリスタートのタイミングらしい。
麻央さんも、だから昨日からブログはじめたのかな?
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