ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

手羽元のトウチ蒸し

2019年09月14日 | 料理したで

 肉は骨のまわりがいちばんうまい。だから「ギャートルズ」のゴンも「ワンピース」のルフィも骨付き肉にかぶりついているのだ。ワシは原始人でも海賊でもないけど骨付き肉が好きだ。
 ちゅうこって、今夜のビールのアテは骨付き肉だ。鶏の手羽元を使うぞ。こいつを中華風に蒸してみよう。
 まずは下味つけだ。手羽元に醬油、酒、オイスターソース、メープルシロップをなすくりつける。液体の甘味調味料は以前はハチミツを使っていたが、最近はもっぱらメープルシロップを愛用しておる。ハチミツより優しい甘さだ。
それと忘れてはならないのはトウチ。トウチ、漢字では豆豉と書くが、この豉という字JESの企画にないからIMEの手書きパットで入力しなくてはならんからめんどうである。
 黒いツブツブで兎の糞みたいなもんやが、うまくつかうとおいしくしあがる。このトウチを細かく砕いて肉にまぶす。多すぎると塩辛くなるで。
 で、半日ほど下味をつけた肉を蒸すで。そうだな、20分ほど強火で蒸せばOKや。さてでけた。骨付き肉にかぶりついて、ビールをガー。たっまりませんなあ。

バー海神満席

2019年09月12日 | 作品を書いたで
「こんばんは」
「おや先生、ずいぶん早いですね」
医者の重松が入ってきた。いつもは8時すぎに、ここ海神に来るのだが、いまは7時前である。
「うん、きょうは休診日なんだ。たまには早くこようと思ってな。この店のカウンターに立つ鏑木さんの顔を早く見たくて」
「ありがとうございます。なんにします」
「ロック」
 鏑木は重松のボトルの山崎をあけてロックグラスに注いだ。
 カラン。カウベルが鳴った。佐賀が入ってきた。この商店街で文房具店をやっている。
「おや先生、先をこされたか」
「佐賀さんまで。いったいどうしたんです。こんなに早く」
「1ヶ月もマスターの顔見てないんだぞ」
 カラン。また客が入ってきた。
「そうだ。わたしも早くマスターと会いたくて」
 落語家の桂文朝だ。
「文朝師匠まで。どうしたんです」
 鏑木が聞いた。
「あす神戸の喜楽館で独演会するんで、立ち寄らせてもらいました」
 ここバー海神は1ケ月休んでいた。マスターの鏑木が入院していたのだ。大腸からの出血だった。さいわい癌ではなく大腸の憩室からの出血であった。悪質な病気ではない。出血が止まれば退院できるはずであった。しかし前立腺が大きく肥大していることが判り、大腸の出血は止まったが、前立腺の手術もした。結局、1ヶ月の入院となった。
「入院中、重松先生にお見舞いに来ていただいて、前立腺の手術をすすめられたんです」
「で、どうなんです。具合は」
 佐賀が聞いた。
「おかげさまで順調です」
「おしっこの出に感激したろ」
 重松が山崎のロックを傾けながらいった。
「はい。若いころに戻ったような勢いでした」
 カラン。カウベル。若い男が二人が入って来た。キョロキョロしている。
「文角と文丸、ここだ」
 文朝が手を上げた。2人はカウンターに座った。これで5人掛けのカウンター席はいっぱいとなった。
「弟子の文角と文丸です。明日の独演会の前座と下座を務めてもらいます」
「あの、師匠、あす『時うどん』やろうと思うんですが」
「ありゃ冬の噺や」
「じゃ『動物園』」
「うん、ええやろ。お前らワシのボウモアでええか」
「はい」
「マスター、二人にボウモアのロック」
 ドアが開いた。4人が入ってきた。
「あ、先生、どうも」
「こちらの二人はワシの患者さんです」
「元患者ですよ。先生がピロリ退治してくれたんで胃はすっかり順調です」
「あたりまえだ。今も患者ならバーなんかへは来させんよ」
「わたしは今も患者ですが、酒はいいですね。先生」
「あんたは軽い糖尿だからちょっとぐらいはいいでしょう」
「佐賀さん、お久しぶりです」
「お久しぶりです」
「マスター、このふたりは私が文房具メーカーの営業だったころの同僚なんだ」
「どうも、佐賀さんにはごひいきいただいてます」
「いい店ですね。マスター」
「お二人ともなにがいいですか」
「なんでもいいですよ」
「それじゃ鏑木さん、グレンフィデックをロックで」
 あとから来た4人はテーブル席に座った。バー海神はカウンター5席。テーブルが2つ。1つ二人掛け。これでバー海神の席九つが全部埋まった。
 9人全員のグラスにウィスキーをそそいでいた鏑木は顔を上げて、ハッとした。海神の席が全部埋まっている。満席になった。
「鏑木さん、こんなん初めてだろう」
 重松が鏑木にいった。
「はい」
「全員グラスを持ったか。鏑木さんはまだ酒はダメだからウーロン茶だよ」
「師匠、乾杯の音頭を」
 鏑木があわてていった。
「なんの乾杯ですか」
「もちろんマスターの退院とバー海神復活を祝してですよ」
「1ヶ月休んだだけですよ」
「1ヵ月は長い」
 重松、佐賀、文朝が声をそろえていった。
 宴は10時近くまで続いた。最初の3人が最後まで残った。
「それじゃ、鏑木さん、帰るわ」
 カラン。カウベルの音。出て行く3人の背中に鏑木は頭を下げた。
「ありがとうございます。この店、もうしばらく続けます」

居酒屋丙寅虎日記 9月12日

2019年09月12日 | 阪神タイガース応援したで
 JR神戸線の六甲道駅のほど近くにその店はある。居酒屋丙寅。夫婦二人でやっている小さな店である。ご亭主が料理をし、奥方が接客する。ご亭主の料理の腕は確かなもので、たいていの客の口を満足させる。このご亭主の料理と、美人で愛想の良い奥方が目当てで、そこそこ繁盛している店である。
 和洋中どんな料理でもおいしければ料理し、お客のリクエストがあればメニューに載ってないモノでも食べさせてくれる。お酒は日本酒、ビール、ウィスキーが置いてある。ワインと焼酎は置いていない。ビールはエビスだけ。日本酒とウィスキーは各種とりそろえている。頼めば取り寄せてくれる。
 ここは六甲山の麓、六甲おろしが吹き降ろす土地柄だからか阪神タイガースのファンが多い。今夜も夜な夜な虎ファンが居酒屋丙寅に集う。
「女将、ビールやビール」
「きのうワシが見んかったら快勝、で、きょうワシが見たら快負け」
「ままま、たいていの阪神ファンはそないいいよるで」
「それにしても大山や。0対1を2対1にするホームランを打てんくせに、0対8を1対8にするホームランは打てんねんな」
「ま、これで蛇足シリーズに出んでええやんか」
「そやな、それが良かったわ」

9月のもとまち寄席恋雅亭

2019年09月11日 | 上方落語楽しんだで
 毎月10日は落語鑑賞の日です。月に一度、10日に神戸は元町の風月堂の地下で落語会が行われます。もとまち寄席恋雅亭です。私はこの落語会の会員です。10日が土日でない限り毎月ここで落語を鑑賞しております。勤務先が兵庫区なので会社帰りに立ち寄りやすいです。
 さて、きのうの開口一番は桂二乗さん。桂米二さんのお弟子さんです。米朝一門らしい端整な落語をする落語家さんです。「ちはやふる」をやらはった。在原業平の和歌です。この業平をゆうのに、いろいろ「ヒラ」のつくのをいいます。「四国にあんのが」「こんぴら」「ごぼうを細こう切って煮るのが」「きんぴら」ここで、ごぼうのきんぴらについてうんちくを入れてはった。
 二番手は笑福亭喬若さん。「豊竹屋」です。なんでも浄瑠璃にしてしまう豊竹屋のだんさん。地のおしゃべりと浄瑠璃しゃべりの対比がおもしろいです。後半、口三味線のおっさんが出てきて、豊竹屋の浄瑠璃と口三味線のかけあいが、軽快でテンポが良く、聞いていて実に心地よいです。
 三番目は桂宗助さん。「一文笛」です。宗助さんは米朝師匠の直弟子ですから、この噺の作者米朝師匠直伝の「一文笛」です。
 先日の桂小文枝師匠もこの噺をやらはった。きのうの宗助さんも小文枝師匠も同じマクラでした。「いろんなところで落語をやらしてもろてます。お客さんにもいろんな人がおられます。先生、おまわりさん、医者。特定の職業のひとをイジると、『なんでワイをイジった』と怒る人がおます。そんなかでも絶対おこられない職業というのが泥棒。こんなかに泥棒の人はおられますか。いませんね。そういうことで今日は泥棒の噺をします。泥棒といってもいろいろあって」
 わたしも上方落語ファンが長いです。ですからマクラで職業のはなしをすると、ははん、泥棒ネタだな。すると「花色木綿」か「仏師屋盗人」か、「泥棒にもいろいろ」とくると「一文笛」だなと判ります。
 ところで泥棒三喬といわれた笑福亭松喬師匠。ほとんどの泥棒の噺をやったはるけど、私は松喬師匠の「一文笛」は聞いたことがありません。ぜひ一度ききたいものです。期せずして小文枝師匠と宗助さんの「一文笛」の聞き比べとなりましたが、小文枝師匠のは濃厚で宗助さんはさっぱりでした。
 さて仲入り前は笑福亭枝鶴師匠。「愛宕山」をやらはった。この噺、もともとは春の噺で、春の山を野がけするんですが、この時の枝鶴師匠は秋の噺にアレンジして演じはった。紅葉の愛宕山です。阪神電車でここまで来はったそうです。途中甲子園があります。非日常なかっこした人たちがおおぜい電車に乗ってはったそうです。
 仲入り後のトリ前です。林家染二さん。「貧乏神」です。この噺、もともとは小佐田定雄さんが桂枝雀師匠に書いた噺ですが、染二さんも得意としたはります。染二さんのパワフルな噺の中にも貧乏神の悲哀がでて、大笑いしつつも少ししんみりするところもありました。枝雀師匠の「貧乏神」も良かったですが、染二さんの貧乏神も絶品でした。
 さてトリは上方落語協会会長の笑福亭仁智師匠。去年の6月に会長に就任したのですが「わたいが会長になってロクなことがあらへん」6月には大阪北部地震、大雨で繁昌亭が浸水被害、台風21号と24号、なんかかんやで繁昌亭大改装が必要と判明。そいえば、今年の6月繁昌亭はリニューアルしてました。
 仁智会長がやったのは創作落語「トメさんトクさん」病院に入院してる82と83のばあさんの会話。長男が見舞いに来ます。関心事は遺産のこと。仁智さんのばあさん芸がたっぷり楽しめました。
 


さらば冬のかもめ

2019年09月09日 | 映画みたで

監督 ハル・アシュビー
出演 ジャック・ニコルソン、オーティス・ヤング、ランディ・クエイド

 海軍ノーフォーク基地の下士官バダスキーとマルホールはポーツマスの海軍刑務所へ出張を命じられる。仕事は8年の刑期の罪人の護送。重罪だな殺人か?いや基地の募金箱から40ドル盗んだ。40ドルぽっちりでなんで8年だ。その募金箱を設置したのが司令官夫人だ。
 と、いうわけでバダスキーとマルホールは罪人メドウズを連れて旅にでる。車や飛行機は使わず、鉄道やバスといった公共交通で移動する。このメドウズまだ18歳の童貞ぼうや。うすらでかいが、ボーとしていて世間知らず。この護送旅行の班長はパダスキー。粗野でええかげんな男だが、人情はあるようだ。マルホールは生真面目な黒人。二人ともベテランの軍人。ノーフォークからポートマスまで2日間の距離。軍は1週間分の予算をくれた。ラッキー、残った金と時間で遊ぼうぜ。となったパダスキー。生真面目なマルホールがブレーキをかけるが。
 メドウズはこんど娑婆に出てきた時は26歳。かわいそう。と、いうわけでパダスキーとマルホールは、メドウズに同情する。大人の喜びを教えてやろうじゃないか。
 未成年のメドウズに酒を飲ませ、博打場に連れていき、売春宿で筆おろしまでしてやる。そして明日はム所という日には雪の中でバーベキューをして慰める。
 ロードムービーである。ボーとしたガキに大人の世界を教えてやる大人二人。決して教養ある人には見えないが、大人のやさしさが観ていて心地よい。
 道中で3人が食べたモノはハンバーガーとソーセージサンドとわずかなバーベキュー。予算をもらっているんだから、もっとええもんを食べればいいと思うが、アメリカ人の食い物はあんなモノか。ええもん食ってへんな。


ジムビーム・デビルズカット

2019年09月08日 | 料理したで

 ウィスキーは完成品になるまで時間がかかる酒である。蒸留した原酒を何年も樽でねかせて熟成させなければならない。
山崎、白州、響、竹鶴といった国産ウィスキーの入手困難は、何年もねかせるといったウィスキーの製造方法によるものである。昨今のウィスキーの需要に原酒の供給が追いつかないのである。急激に売り上げが伸びた。増産しようと思ってもすぐには市場に出せない。12年ものなら、いま、仕込んでも出せるのは12年後である。
 こういう具合にウィスキーは樽で長期間熟成させる酒だ。木の樽だから空気が通る。蒸発して中身が少し減る。これを「天使の分け前」という。中身を取り出して空になった樽。この樽の木には原酒がしみ込んでいる。こちらは「悪魔の取り分」という。ウィスキーは木製の樽で熟成させる酒であるから、天使と悪魔に分け前をやらなければならない。
 人間はエライもので、「天使の分け前」は取りようがないが、「悪魔の取り分」は取りもどしてしまうのである。樽にしみ込んだ原酒を絞り出してブレンドしたのが、この「デビルスカット」である。
 ごらんのように、レギュラーのジムビームより、かなり色は濃い。琥珀色というよりこげ茶色だ。香りは当然ながら木の香りがする。山形の地酒で樽平・住吉という酒がある。小生の好きな日本酒であるが、この住吉も吉野杉の酒樽の香りがする酒であるが、このデビルスカットも同様で木の樽の香りが残っている。
 味は心地よい苦みがあり、あとで甘みが追いかけてくる。アルコールっ気は比較的強く感じて、酒にスムーズ、マイルドを求める人にはお勧めしない。バーボンを飲んでいるんだと思う。バーボン好きにはなかなか結構なバーボンである。
 

親子丼

2019年09月07日 | 料理したで

親子丼である。丼物、日本人の昼食にこれほど適した料理はないであろう。主食の白飯の上に具がのっかっている。メシとおかずが一つの器に入っていて、同時に食える。合理的かつ効率の良い料理といえよう。その丼物の代表がこの親子丼ではないだろうか。具が鶏肉と卵。ネギと三つ葉が脇役である。
さて調理していこうか。まず、鶏肉の処理。もも肉を使う。余分な脂肪を掃除して、皮目を焼く。あとで煮るのだが、皮に軽く焦げ目をつけてパリッとさせておく。肉がこうばしくなっておいしくなる。完全に火を通す必要はない。食べやすい大きさに切る。具は鶏肉だけでもいいが、栄養のバランスを考えて野菜も入れよう。玉ねぎを用意した。
丼つゆだが、昆布だけで出汁を取った。カツオ節は使わない。カツオ節の香りがメインの鶏肉とはあわないのではないか。調味料は醤油、酒、味醂。砂糖は使わない。
親子鍋に丼つゆを入れて玉ねぎと鶏肉を煮るわけだが、丼物の一番のキモは丼つゆの量。つゆだくといって、じゃぶじゃぶに丼つゆを使って、丼物かおじやかわからないのがあるが、丼物のつゆは適量があって、丼の底のご飯がわずかに湿っているぐらいがいい。で、いろいろ試行錯誤をした結果、つゆの量は一人分30ccがちょうどいい。
で、親子鍋につゆを30ccプラスαを入れる。加熱しているうちに蒸発するし鶏肉や玉ねぎ、あるいは卵は吸うぶんもある。できあがって、ご飯にかけるだんになって30ccになるようにするわけ。
さて、いよいよ親子丼つくりのクライマックス。卵でとじる。卵は一人2個使う。卵をかけるのだが、2度にわけてかける。最初にかけてあるていどかためて、2度めは少し半熟で。これをご飯にかけて丼にフタをするわけだから、フタを開けて食べる直前にちょうどいい具合になるように計算しよう。三つ葉を散らすのを忘れないように。
  

機械の精神分析医

2019年09月05日 | 本を読んだで

 岡本俊弥  

 著者の岡本俊弥は大変にSFが判った人である。あの伝説のSF同人誌ネオヌルの編集長にして、長年SF専門誌でSFレビューを担当してきた、筋金入りのSFものであるから、当然といえば当然なのだが、本書を読了すれば、それがよく判った。
 いうまでもなく本書はSFである。SFとはなんぞや。これは小生たちSFものが終生かけて追求していくテーマであろう。
 SF的な設定でもって小説を書けばSFになる。というほど単純なものではなかろう。なん万光年も離れた異星を舞台にした、はたまたうん千年未来の世界の話を書けばSFになるか?否である。なん万光年の星でも、うん千年未来のでも、そこで繰り広げられているのが、嫁姑の問題とか、夫の浮気に悩む貞淑な妻の話などならSFとはいえない。舞台がSF的なだけで中身は他のジャンルの小説である。
 また、現代21世紀、それも地球は日本の神戸の元町で若い男女が出会う。その男女をクローン人間とかアンドロイドにしてとて、やってることがたんなる痴話話なら、これまたSFとはいえず、中身はただのラブコメである。
 つまり、現実離れした世界や、登場人物を人間以外のキャラクターにしてとて、その小説はSFとはいえないのである。その世界、そのキャラならではの必然的なSFならではの物語が展開していないとSFとはいえないのである。
 この作品集は一貫して「機械と人間」の関わりをテーマにしたSF作品集である。ここでいう機械は知能を持つ機械、いわゆるAIとそのトラブルに対処するエンジニアの物語である。ここで出てくる機械は手塚治虫の「鉄腕アトム」的な機械ではない。アトムは感情個性知能を持った、いわば金属製人工生命というべき機械であったが、この作品集の機械は、知能を持ったAIであっても、アトムのような人工生命ではない。擬似知能である。電子パーツと機構部品の組み合わせでできた機械が、人間から見て知能を持っているように見えているわけだ。そのような機械と接する人間は、生身の人間を相手にするのではなく、はたまた歯車のかたまりの機械を相手にするわけでもない。そこのまったく新しいドラマが生まれるのである。これぞまさにSFだけが紡ぐことのできるドラマといえるのである。
 出色のSF作品集である。

 この作品集、こちらで購入できます。      

チャチャヤング・ショートショート・マガジン 第8号

2019年09月04日 | 本を読んだで

チャチャヤング・ショートショートの会

 この会が発行する作品集としては8冊目である。大昔、眉村卓さんがやっていた「チャチャヤング」のショートショートコーナーの常連投稿者が、この同人誌の同人たちだ。もう40年以上交際をつなぎ、アマチュアながらモノ書きを続けている人たちである。なんとも息の長い人たちだ。
 モノ書きとしてのキャリアは長い同人たちであるからして、いずれの作品も手だれで読みやすく、かなりのレベルの高い作品集といえる。
「ショートショートの会」と会名にはあるが、ショートショートももちろん収録されているが、中篇、短篇も。SFあり、ジュビナイルあり、ホラーも、さらに創作落語まである。お徳用の作品集である。

 オンデマンド出版です。ご購入はここから。
 Kindle版はここから。

星群の会ホームページ連載の「SFマガジン思い出帳」が更新されました。
どうぞご覧になってください。

SFマガジン2019年8月号

2019年09月03日 | 本を読んだで

 SFマガジン2019年8月号 №734    早川書房

ごろりんひとり人気カウンター

1位 だれもがチャールズを愛していた 宝樹  稲村文吾訳
2位 天図              王晋康 上原かおり訳
3位 たゆたう生           何夕 及川茜訳
4位 博物館惑星2・ルーキー 第八話 にせもの 菅浩江
5位 エアーマン            草上仁
6位 変身人間は裏切らない      上遠野浩平
7位 南海の星空           趙海虹  立原透耶訳
8位 子連れ戦車    ティモシー・J・ゴーン 酒井昭伸訳
未読 ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 小川一水

連載

小角の城(第54回)    夢枕獏
椎名誠のニュートラル・コーナー(第66回)
景気のいいチビ惑星の安売り火山 椎名誠
マルドゥック・アノニマス(第26回) 冲方丁
マン・カインド(第9回)       藤井大洋
幻視百景(第21回)         酉島伝法

特集・『三体』と中国SF

 現代、最もトレンディな海外SFといえば中国SFだろう。その中国SFの特集を企画するのは、SF専門誌としての責務であろう。そういう観点から見れば、今号は合格といっていい。
 海外SFの特集で、作者名にこれだけ漢字が並ぶのは、小生の知っている限り初めてだ。今号の掲載小説の作者名でカタカナはティモシー・J・ゴーン1人だけだ。長年、この雑誌を読んでいるが、こんな時代が来るとは思いもしなかった。
 掲載された中国産短篇SFはどれも面白かった。特に人気カウンター1位にした「だれもがチャールズを愛していた」は秀逸であった。チャールズはヒーローでアイドル。彼が感覚配信するとみんな夢中になる。彼が駆る宇宙艇「ペガスス」はレースで無敵だ。そして、冥王星までの超長距離レースが始った。チャールズ、実は・・・。という話。
 1970年代、深見弾氏がご存命のころ、ソ連SFが盛んに紹介された。ソ連と中国、ともに社会主義体制でのSFである。ソ連SFは素朴でアカ抜けないところがあったが、現代の中国SFはソ連SFより自由でアカ抜けている。アジア人で始めてヒューゴー賞を受賞したのは中国人だ。日本人でヒューゴー賞受賞者はいない。中国SF、これからどう発展するか楽しみである。

 

きん枝改メ 四代桂小文枝襲名披露公演に行ってきました

2019年09月02日 | 上方落語楽しんだで

 きのう、9月1日は「きん枝改メ四代桂小文枝襲名披露公演」に行ってきました。いつもは落語会は私1人で行くのですが、キップが二人ぶん手に入ったので友人を誘いました。
 会場は国際会館こくさいホールです。ずいぶんと大きなホールです。繁昌亭や喜楽館に行きなれている目で見れば、たいへんに大きく感じられます。この大きな会場が満席です。小文枝師匠の人気の高さが判ります。
 開口一番前座は桂三幸さんです。「みかん屋」を演じはった。みかんを行商する噺です。ですから。冬の噺です。いまは夏ですので少し違和感を感じました。夏のみかんの噺といえば「千両みかん」がありますが、この噺、三幸さんにはまだ早いですね。それに前座でやるような噺ではありません。
 2番めは桂枝女太さん。まくらのツカミは自分の名前をネタにして笑いをとらはる。枝女太をちゃんと読まれたことがない。「しによった」「しにょた」
 枝女太さん五代文枝門下で10番目のお弟子さん。ちょうど真ん中。五代文枝門下の総領弟子は桂三枝(現六代文枝)2番弟子がきょうの主役きん枝(現四代小文枝)3番弟子が文珍師匠。このうち、六代文枝と文珍の両師匠は、前に行くと背筋がしゃんとする。このお二人からはそういうオーラが出ている。ところが四代小文枝師匠からそういうオーラはまったく出ていない。極めて気楽に兄弟子として接しられるとのことです。四代小文枝師匠のお人柄がうかがえます。ずいぶん長いマクラでした。五代文枝門下の力関係が垣間見えるまくらでした。ほんすじの演目は「十徳」です。
 さて、仲入り前の中トリは桂文枝師匠。テレビの「新婚さんいらっしゃい」が来年50周年だそうで、あの番組は文枝師匠と新婚さんの当意即妙の会話が大切。新婚さんがなにをいってるかちゃんと聞くことが必要。で、文枝師匠、耳の検査に耳鼻咽喉科にいったというマクラ。補聴器をすすめられたそうです。
演目は、もちろん創作落語の「誕生日」米寿のおじいさんがたくさんの子供や孫に囲まれて米寿のお祝いをする噺です。
 さて、仲入りも終わって幕があがると五人の落語家が並んではる。四代桂小文枝襲名披露の口上です。司会は桂坊枝さん。弟弟子を代表して枝女太さん。一門の総帥文枝師匠。江戸落語を代表して春風亭小朝師匠。主役の四代小文枝師匠はひと言しゃべらせてもらっただけでした。 落語家の襲名披露の口上は1人か2人は手ばなしでほめて、あとはイジって笑いを取るのですが、この時の口上はみんな小文枝師匠をイジってはった。
 口上が終わってトリ前は春風亭小朝師匠。林家木久扇師匠をイジるマクラから、襲名にまつわる話。襲名した仲間の落語家に聞くと、襲名を打診されて受諾するまでたいていの落語家は悩む。で、どうして決断するか。仲間に襲名した落語家がいれば「あいつが襲名したんだから俺だって」と思って襲名を決断する人が多いとのこと。小文枝師匠の「あいつ」は誰でしょうね。
 この時気がついたのですが、これまで出てきた、三幸さん、枝女太さん、文枝師匠、3人とも見台ひざかくしを使わなかった。ところが江戸落語の小朝師匠が見台ひざかくしを使ったはる。江戸落語でも見台ひざかくしを使うんですね。演目は「荒大名の茶の湯」みんな細川さんのマネをするという噺です。
 さて、トリはもちろん四代桂小文枝師匠。泥棒の噺をしますということで、「一文笛」をやらはった。この噺、桂米朝師匠が作った噺です。タバコ入れを買い取るくだりから、貧乏な元侍の子のふところに笛をいれ、その子供が笛を盗んだと疑われ井戸に身を投げ危篤となる。主人公の名人スリ疾風の秀と、兄貴のやりとりで、秀のスリの名人でありながら善人、その兄貴の人物の大きさ、この演じわけが聞かせどころです。小文枝師匠は米朝師匠の噺より、いくぶんこってりしたところある、濃い目の噺となっておりました。その話術はさすがで、聞き入ってしまいました。きん枝時代よりレベルが一つも二つも上がった落語家に成長しておられました。
 さて3時間ほど落語を堪能したあと、ここ国際会館の下、さんちかの南のつきあたり「さがみ」で痛飲して、いい気分で帰宅の途についたのであります。

ブログはじめました。

2019年09月01日 | いろいろ
 ブログ始めました。この「ごろりんブログ」はいっさい決め事をしないで運営していこうと思います。
 連日更新することもあるし、なん日も更新しないかも知れません。ブログを更新するために記事を書くのではなく、記事ができれば更新します。きがるに、のんびり、怠けながら、ごろりんと寝ころびながら運営していこうと思います。なお、このブログはコメントを受けつけておりません。
どうか、この「ごろりんブログ」をよろしくお願い申し上げます。