毎月10日は落語鑑賞の日です。月に一度、10日に神戸は元町の風月堂の地下で落語会が行われます。もとまち寄席恋雅亭です。私はこの落語会の会員です。10日が土日でない限り毎月ここで落語を鑑賞しております。勤務先が兵庫区なので会社帰りに立ち寄りやすいです。
さて、きのうの開口一番は桂二乗さん。桂米二さんのお弟子さんです。米朝一門らしい端整な落語をする落語家さんです。「ちはやふる」をやらはった。在原業平の和歌です。この業平をゆうのに、いろいろ「ヒラ」のつくのをいいます。「四国にあんのが」「こんぴら」「ごぼうを細こう切って煮るのが」「きんぴら」ここで、ごぼうのきんぴらについてうんちくを入れてはった。
二番手は笑福亭喬若さん。「豊竹屋」です。なんでも浄瑠璃にしてしまう豊竹屋のだんさん。地のおしゃべりと浄瑠璃しゃべりの対比がおもしろいです。後半、口三味線のおっさんが出てきて、豊竹屋の浄瑠璃と口三味線のかけあいが、軽快でテンポが良く、聞いていて実に心地よいです。
三番目は桂宗助さん。「一文笛」です。宗助さんは米朝師匠の直弟子ですから、この噺の作者米朝師匠直伝の「一文笛」です。
先日の
桂小文枝師匠もこの噺をやらはった。きのうの宗助さんも小文枝師匠も同じマクラでした。「いろんなところで落語をやらしてもろてます。お客さんにもいろんな人がおられます。先生、おまわりさん、医者。特定の職業のひとをイジると、『なんでワイをイジった』と怒る人がおます。そんなかでも絶対おこられない職業というのが泥棒。こんなかに泥棒の人はおられますか。いませんね。そういうことで今日は泥棒の噺をします。泥棒といってもいろいろあって」
わたしも上方落語ファンが長いです。ですからマクラで職業のはなしをすると、ははん、泥棒ネタだな。すると「花色木綿」か「仏師屋盗人」か、「泥棒にもいろいろ」とくると「一文笛」だなと判ります。
ところで泥棒三喬といわれた笑福亭松喬師匠。ほとんどの泥棒の噺をやったはるけど、私は松喬師匠の「一文笛」は聞いたことがありません。ぜひ一度ききたいものです。期せずして小文枝師匠と宗助さんの「一文笛」の聞き比べとなりましたが、小文枝師匠のは濃厚で宗助さんはさっぱりでした。
さて仲入り前は笑福亭枝鶴師匠。「愛宕山」をやらはった。この噺、もともとは春の噺で、春の山を野がけするんですが、この時の枝鶴師匠は秋の噺にアレンジして演じはった。紅葉の愛宕山です。阪神電車でここまで来はったそうです。途中甲子園があります。非日常なかっこした人たちがおおぜい電車に乗ってはったそうです。
仲入り後のトリ前です。林家染二さん。「貧乏神」です。この噺、もともとは小佐田定雄さんが桂枝雀師匠に書いた噺ですが、染二さんも得意としたはります。染二さんのパワフルな噺の中にも貧乏神の悲哀がでて、大笑いしつつも少ししんみりするところもありました。枝雀師匠の「貧乏神」も良かったですが、染二さんの貧乏神も絶品でした。
さてトリは上方落語協会会長の笑福亭仁智師匠。去年の6月に会長に就任したのですが「わたいが会長になってロクなことがあらへん」6月には大阪北部地震、大雨で繁昌亭が浸水被害、台風21号と24号、なんかかんやで繁昌亭大改装が必要と判明。そいえば、今年の6月繁昌亭はリニューアルしてました。
仁智会長がやったのは創作落語「トメさんトクさん」病院に入院してる82と83のばあさんの会話。長男が見舞いに来ます。関心事は遺産のこと。仁智さんのばあさん芸がたっぷり楽しめました。