ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

東西落語名人選に行ってきました

2019年09月21日 | 上方落語楽しんだで

 第45回東西落語名人選に行きました。会場は神戸文化ホール。このホールは私のような神戸在住のSFファンにとって思い入れにあるホールです。今から44年前、この神戸文化ホールで第14回日本SF大会が開催されたのです。桂米朝師匠の「地獄八景亡者戯」を初めて生で聞いたのは、そのSF大会でした。
 さて開口一番は笑福亭仁智師匠。上方落語協会会長が開口一番を務めるのですね。なんともぜいたくなことです。野球ネタの創作落語をやらはった。高校野球です。LP学園の野球部監督と、応援する地元商店街のおじさんの会話。とても弱い野球部です。監督がいうには、今年は期待してくださいとのこと。選手を一人づつ紹介していくのですが、まともな選手はいません。大笑いです。
 2番手は柳家三三師匠。某民放で日曜夕方にやっている某落語家バラエティ番組をイジらはった。落語家は個人で芸をします。あまり集団で芸はしません。ところがS点の人たちは集団で芸をしている。あの人たちは個人で芸ができないんですね。で、このとき三三師匠がやったのが、「釜盗っ人」泥棒ネタです。これから泥棒三喬こと笑福亭松喬師匠がでてくるのに泥棒ネタをやる!?ケンカ売ってんのかと思いました。
 で、笑福亭松喬師匠が出てきはった。売られたケンカは買うか?なにをやらはる。「花色木綿」か「仏師屋盗っ人」か。「一文笛」やってほしいなと思いましたが、「まんじゅうこわい」をやらはった。こんな前座噺でも松喬師匠がやるとひと味違います。
 さて仲入りまえは、桂福団治師匠。60年やってまんねん。しんどおまっせ。商売道具はこの扇子1本だけや。今は身体の支えですけどな。といういつもの福団治師匠のまくらです。福団治師匠がでてくるとこのまくらでないと納得できなくなってるみたいです。演目は福団治師匠ならではの人情話「藪入り」です。ひねくれもんで嫌われもんのオヤジでも3年ぶりに帰って来る息子がかわいい。親子の情愛をじっくりと聞かせてもらいました。
 仲入りも終わりました。立川志の輔師匠です。志の輔師匠は早口で最初は何をいっているのか判りませんでした。よくニュースで「バールのようなもの」これは、ほんまはなんだ。バールか。というまくらです。そのままずっと「~のようなもの」というくすぐりです。「肉のような味」は肉じゃない。「ハワイのようなところ」はハワイじゃない。「夢のような」は夢じゃない。じゃ「バールのような」はバールじゃない。で、スナックのねえちゃんに逢いに行ったオヤジ。奥方に問い詰められる。「メカケでしょう」「いいやメカケのような」
 さて大トリは現存するただ一人の人間国宝落語家の柳家小三治師匠。まくらなし。いきなり「植木屋さん」で始まりました。そう「青菜」です。この「青菜」がやたら長かった。おんなじくすぐりをなんべんも繰り返すし、じつにだれた間延びした「青菜」でした。
 いやあ。いいんですけどね。落語会はやっぱりバランスが大切ですね。開口一番は若い落語家が出て前座噺を演じる。そのあと中堅、ベテラン、大御所とでてくるからええのです。いつぞやの某金満球団みたい4番バッターばっかり並べても良い結果はでません。それに私はやっぱり落語は上方が口にあいますね。