ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

SFマガジン2020年10月号

2020年10月15日 | 本を読んだで

SFマガジン2020年10月号 №741        早川書房

ごろりんひとり人気カウンター

1位 クランツマンの秘仏         柴田勝家
2位 海底図書館 博物館惑星 余話    菅浩江
3位 2018年4月1日、晴れ        劉慈欣 泊功訳
4位 火星のレディ・アストロノート アリ・ロビネット・コワル 酒井昭伸訳
   ピグマリオン(後編)は未読

連載

小角の城(第61回)       夢枕獏
アグレッサーズ 第2話 ファイターウエポン 戦闘妖精 雪風 第4部 
神林長平
マルドゥック・アノニマス(第32回)   冲方丁
マン・カインド(第13回)        藤井大洋
幻視百景(第27回)          酉島伝法

ハヤカワ文庫SF創刊50周年記念特集。
 そうか。あれから50年も経ったのか。ワシも年をとるはずだ。ゲホゲホ。うう。く、苦しい。痛い。1970年だったな。ハミルトン「さすらいのスターウルフ」、ハワード「征服王コナン」、ヴォクト「宇宙嵐のかなた」、バロウズ「月の地底王国」、ファーマー「緑の星のオデッセイ」。この5冊が本屋に並んだのを覚えている。これはけっこうな文庫が出たと、ワクワクして喜んだのを覚えている。その場で5冊を衝動買いしたが、読んだのは確かハミルトンとヴォクトだったかな。
 特集企画の内容は、「ハヤカワ文庫50年の歩み」と作家、翻訳家諸氏のハヤカワ文庫にまつわるエッセイなど。
 早川も商売でこの文庫を出してるわけだろう。だからこの文庫が売れてほしいわけ。そういうわけで他社の文庫に言及はしたくないことは理解できる。しかし、SFマガジンは本邦で唯一のSF専門誌だろう。だからこの雑誌には日本のSF界に対する、ある種責任と公的な立場も求められるのではないだろうか。
 このハヤカワ文庫が日本のSFの発展と普及に果たした功績は認める。しかしハヤカワ文庫だけで、日本のSFのこんにちを築きあげたのではないだろう。
 東京創元社の創元文庫の存在を忘れてはならない。創元文庫の実績と功績もハヤカワ文庫に勝るとも劣らないと思う。ハヤカワ文庫にとって創元文庫は商売がたきではなく、並走して走る戦友といった方が正鵠を得るのではないか。この特集企画において創元文庫についても大きく言及すべきだったのではないか。