ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

お早よう

2024年04月22日 | 映画みたで

監督 小津安二郎
出演 設楽幸嗣、島津雅彦、沢村貞子、杉村春子、三宅邦子、笠智衆、東野英治郎、佐田啓二、久我美子

男の子たちが川の土手の上の道を歩いている。中学生と小学生のようだ。おでこを指で押す。押された子がプと屁をこく。
おばさんが二人。どうも婦人会の会費のことでもめてるみたい。なんでも、組長に払ったはずの会費が会長に届いてない。だれかがババしてるのか?
子供たちは相撲をテレビで見たい。近所で1軒だけテレビを持っている家にテレビを観に行っている。その家の夫婦は派手でハイカラ。家でパジャマを着ているので近所から白い目で見られる。
 子供がテレビを買ってくれとダダをこめる。「うるさい。だまってろ」とオヤジが怒る。子供、すねて無言の行。家でも学校でも口をきかない。しゃべらない。
と、いうことがたんたんと、小津ならではのローアングルのカメラで描写される。昭和の30年代の日本の風景と人情が興味深い。画面は計算された構図で、目を楽しませてくれる。沢村貞子、杉村春子、三宅邦子といった芸達者なおばさんたちが、大人の女の近所付き合いとはいかなるモノかを教えてくれる。
「お早よう」
「お早よう」
「いいお天気ですね」
「そうですね」
「このぶんでは明日も明後日もいいお天気でしょう」
「そうですね」
 なんの中身のない会話を、異性として意識している男女が交わす。でも、そういうことが大切なんだ。
「お早よう」