Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

日本の「イルカ食」を巡る世界市民と言論④ 反日・アジア蔑視と反アジア共同体思想

2007-04-03 02:51:04 | 応用生命医科学:栄養・食糧農業・環境生理
[過去の経緯より]先日、日本人はイルカを食べる残虐な国民であるとして、世界中からの本邦・日本国に対する非難、侮辱と誹謗及び中傷の数々に非常に憤りを感じた私ですが、事実から言えば私達はイルカを食しているとの事でした。しかしイルカ問題と併せてクジラ問題が、また関係の無い問題が取り上げられさらには英語で最大級の侮辱を本邦国民に対して浴びせられた事に鑑みて、何とか拙い英語で反論を試みたのです。これは自ら敵陣に突撃してしまった浅はかな暴挙である事は重々承知であります。

<反日感情の炸裂>
「JAP」とは日本人に対する蔑称である。先述した「イルカ食問題」を取り上げたウェブサイト(YouTube)では何度も書き込まれていた言葉だ。そしてそればかりではない。「ヤツラにもう一度核兵器をぶち込め!」であるとか、別の蔑視的表現と共にありとあらゆる反日的発言が繰り広げられていた。食文化に対する批判であるならば、なぜここまで行過ぎた表現をしなければならないのであろうか。これは明らかに食文化批判を超えた反日的言辞である。イルカ食の問題がクジラ、捕鯨問題にすり替えられ、そして対日蔑視表現の数々である。

核兵器発言に到っては嘆かわしいと言うしかない。現在でもイラクにおいて劣化ウラン弾と言う列記とした核兵器が使用され、そのほとんどが非武装のイラク市民が殺戮されている事を鑑みると、核兵器使用を促す発言は正気の沙汰ではない。ましてや広島・長崎の原爆投下を正当化するのみならず、核兵器の再使用を促すとは人類の一員としてあれから何を学んだのかと言いたくなる。

<反アジア感情の炸裂>
「JAP」と同様に並べられていたのが「CHINKS」と「GOOK」である。日本・中国・ベトナム系(東洋人一般に対する蔑称との説あり)に対する蔑称までもが掲載されていた。日本人の食文化に対する批判的コメントから出発して、いよいよ来るところまで来てしまった感がある。反日感情だけでは済まされず、反アジア感情とアジア系蔑視の感覚が露呈されている。

中国系については、日本と中国とを混同する発言が多かった。「この2600年もの間、我が国は独立国として存在していますよ。」と暗にアメリカ系市民を挑発するでもない説明を加えておいたのだが、知らない人はまだ知らないらしい。日本の首都がホンコンやらペキンで、ニンジャがまだ存在していて、ゲイシャと遊ぶのがファッション(流行)で、国民は皆カラテかジュードーか何か身につけていると本気で思う人々がいる世の中である。

<反アジア共同体?>
日本・中国・ベトナムをはじめとしたアジア圏への隠れた差別・蔑視は今後も引き続き伝えられるのかも知れない。第一次世界大戦の前後で民族自決が謳われた時に、アジア・アフリカは「枠の外」であった事を想い出そう。日本の代表がアジアの事を語った時に、欧米列強から冷笑された。現在の国際機関ではアフリカ軽視政策が続いているが、下手をすると私達が信じている「国際社会」はアジア圏一帯を未だに軽視又は蔑視している可能性もある。同じ文脈から、石原莞爾が五族協和を叫ぶ中で、そのゴールとして満州国を日本と「同等の地位」にしようと尽力した事は余り語られない。満州国の地位向上のプロセスの最中に解雇され、植民地支配の悪の権化としてのみ歴史に名を残した。最近でもジョージ・ソロスがアジア金融危機を惹き起こし、マレーシアのマハティール首相を激怒させた事も記憶に新しい。別の反グローバリスト、タクシン首相も外遊中に権力の座から下ろされた。

東ティモールに大金が投じられて独立が承認された時には、アフリカ各国から羨望の声が上がった事は事実である。これを鑑みると、アジアはアフリカほどには軽視されていないとは考えられるものの、まだ楽観は出来ない。日本製品と中国製品、最近では台湾製品などのクオリティーや人件費の面で欧米諸国から見て「単に経済的に垂涎の価値のあるグループ」と見られても仕方が無いからである。現代の帝国主義たるグローバリズムでは宗主国の姿が見えない。日本の大企業の株式保有も多くは外資系企業である。

* いずれにせよ、無知は仕方ないとして蔑視・蔑称はいかん。なるべくこちらも穏やかに事を済ませて、本邦の他の市民の迷惑にならぬ様にと考えているのだが、丁寧に説明をしても最初から聞く気の無い人間もいるようで、この手の輩が意外にも声が大きいので辟易する。

[蔑視表現について]
副島隆彦の学問道場のトップページ上部にある「主力コンテンツ(データ・図表系)」と言うところから「副島発案の図解一覧表」を参照。*決して使ってはなりません。皆様の良識を期待致します。森 拝

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