グーグル:米司法省が書籍デジタル化で見解 大幅修正要求
【ニューヨーク小倉孝保】米グーグルによる書籍デジタル化問題について、米司法省は18日、同社と米作家団体らが合意した和解案について「現在の形では承認すべきでない」として、大幅修正を促すよう求める見解をニューヨーク南部地区連邦地裁に提出した。集団訴訟の和解のため、日本人著作権者らも当事者だが、司法省は「外国人著作権者への配慮が欠ける」との強い懸念を表明した。
和解案は、著作権者側が書籍のデジタル化を認める見返りとして、グーグルは著作権者側に、1冊60ドルを支払い、デジタル化で得た収入の63%を分配する内容だ。
司法省は和解当事者ではないが、和解が成立すればグーグルに世界最大のデジタル書籍の商業利用を独占的に認めることになるため、反トラスト法(独占禁止法)、著作権法などの観点から検討。来月7日の公聴会を前に法的見解を提出した。
司法省はこの中で、(1)反トラスト法について調査中だが、現状では違反の疑いが濃厚(2)原告を除く多数の著作権者を代表していない--などの問題点を列挙した。
外国の著作権者については、「外国人著作権者の利益保護が明確でない」と指摘、和解離脱を申告しない限り合意とみなす「オプトアウト方式」ではなく、合意表明による「オプトイン方式」などの改善策も提案した。
他方、書籍デジタル化構想そのものは、入手が困難な絶版本に新しい道を開くなどの点を評価。「裁判所は、当事者同士がさらに協議を続け、著作権法、反トラスト法などに合致する修正を行うよう促すべきだ」との考えを示した。
◇米司法省見解に基づいた抜本的な見直しを
山田健太・日本ペンクラブ言論表現委員会委員長の話 外国人に対する通知が不十分だったり、オプトイン方式にすべきだとの米司法省の指摘は、ペンクラブが連邦地裁に提出した異議申立書と同じ内容であり、我々の主張が正しかったことを裏付けるもので支持できる。米グーグルは国・地域別に譲歩案を出すという動きを示しているようだが、米司法省の見解に基づいた抜本的な見直しを行うべきだ。
毎日新聞 2009年9月19日 20時53分
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