三菱自動車の名古屋製作所(愛知県岡崎市)で、電気自動車(EV)「アイミーブ」に搭載された使用済みのリチウムイオン電池を使って工場の電力ピークを抑制しようという実証実験が、2012年度からスタートする。この夏の電力不足は避けられたものの、今後も電力需給が逼迫(ひっぱく)する可能性が指摘されているだけに、将来的な実用化に向け、成果に注目が集まりそうだ。
実験に取り組むのは三菱自動車と三菱商事、三菱電機。需要の少ない深夜の電気を、アイミーブから取り出した使用済み電池に蓄え、必要に応じて昼間に放電。工場用の電力として使用し、ピーク時の電力需要引き下げにつなげる。
併せて、製作所内に太陽光パネルも設置。太陽光発電と電池からの放電を適切に制御することで、製作所内の電力需給の安定化を図っていく考えだ。
また使用済み電池とは別に、三菱自が社有したり、従業員が通勤に使用しているアイミーブの車載電池も実験に活用。電池の残量と放電量の兼ね合い、充電の頻度などのデータを集め、蓄電池としての可能性を検証する。
三菱自は09年7月に他の国内メーカーに先駆けてEV「アイミーブ」を市場投入し、国内の累計販売台数は約4500台。今後、廃車が増えると見込まれ、車載電池の再利用が課題になっている。
アイミーブが搭載する電池の容量は16キロワット時(廉価版は10・5キロワット時)で、4人家族が使う1・5日分の電気を蓄えることが可能。走行によって電池は劣化するが、三菱自では「乗り方にもよるが、電池性能は乗り始めて5年で80%、10年でも70%は維持できる見込み」と話している。
EVの車載電池は東日本大震災後、蓄電池としての活用に関心が高まっており、「リーフ」を販売する日産自動車も住友商事と共同出資会社を設立、使用済み電池再利用の事業化に向けて検討を開始している。
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