団塊太郎の徒然草

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若手男性社員がゴルフをしたがらない本当の理由、“ゴルフ女子”は激増しているのになぜ?

2012-10-27 17:49:16 | 日記
社会人になって職場でゴルフに誘われると、大人になった気がしたもの。ゴルフは身だしなみや相手に対する気配りが重要で、さらにプレイの結果は自己申告。学生時代までに経験したスポーツとは別世界の競技です。まさに“紳士のスポーツ”をしているという実感を得ることができます。そんな大人の世界へ誘導してくれるのは、会社の先輩や上司たちでした。ところが、最近はそうした“伝統”が大きく崩れてしまっているようです。先輩や上司が誘っても、ゴルフを始めることを拒む若手社員が少なくないからです。

 今回は、イマドキの若手社員におけるゴルフに対する価値観の変遷について、紹介してきたいと思います。
高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長]

高額の用品代にプレイ代、交通費…
ゴルフを始めるための高いハードル「お金」
 ゴルフは、英国が発祥で、芝生のコース上に静止しているボールをクラブで打ち継ぎ、グリーン上にあるホールへ入れ、それまでに要したストローク(打数)によって優劣を競う競技。各ホールには基準打数(=パー)が決められており、すべてのホールをパーでまわると72打のスコアとなります。逆にパーより少なくまわると、アンダーパーとカウント。それが1打少ないとバーディー。ただ、素人にはなかなかできない芸当です。

 ちなみに筆者もゴルフをしますが、腕はなかなか上がりません。18ホールまわって、パーは1つか2つくらいがいいところです。

 では、最近の若手社員はどうでしょうか?広告代理店に勤務しているIさん(29歳)は、ゴルフを始めて1年目。学生時代は野球部に所属していたので、ボールにうまくクラブが当たれば飛ぶのですが、

「すぐにグリーンを飛び出してOBになってしまいます。なので、なかなか100が切れません」

 と、話してくれました。誰でもスコアを良くする(少ないストロークでまわる)ためには、壁にぶち当たるもの。だからこそ、ゴルフは楽しいのかもしれませんね。

 ちなみにゴルフは一生を通して楽しめるスポーツと言われています。大抵の人は社会人でデビューし、それから腕を磨いて70歳過ぎまで普通に楽しむことができます。

 ただし、ゴルフはお金がかかります。バブル華やかなりし頃に比べれば、ゴルフ場もかなり安くなりましたが、それでも他の一般的なスポーツに比べれば、1回で「それなりのコスト」を要します。ゴルフ場のプレイ費以外にも、交通費や昼食費が案外ばかになりません。景気が低迷して収入アップが見込めない時代においては特に、心理的な抵抗感が生まれて、ゴルフを始める人が減少しているようです。

マイナビが22歳~33歳までの社会人に対して行ったゴルフに関する意識調査によると、「ゴルフには興味がない」と75%が回答。その理由として、「お金がかかるから」という回答が目立ちます。やはりお金は、始めるまでの大きな障害と言えるかもしれません。

 ただ、最近はかなり低価格な料金設定も増えてきました。「昼食付で6000円」という、10年前なら想像もできない価格帯でプレイできるゴルフ場がネットの予約サイト上に登場。こうしたゴルフ場の経営努力もあってゴルフ人口は急激な減少にまでは至らず、1000万人を割ったところをキープしている状態だといいます。

 ちなみに公益財団法人・日本生産性本部の「レジャー白書」を見てみると、全国ゴルフ人口(年1回以上プレー)は微増と微減を繰り返しているようです。

先輩・上司からのゴルフデビュー応援を
拒む若手社員たちが増え始めている?
 ただ、ゴルフをプレイする人々に大きな変化が出てきているのも事実です。その象徴的な現象ともいえるのが、若いビジネスパーソンのゴルフデビューが減少していること。

 昔から営業職として職場で一定の役割を担うようになれば、「仕事で必要なものだから、ゴルフはできて当たり前」と考えられていました。しかし、最近ではそう考える人も少なくなってきています。接待でゴルフをする機会も減少してきたため、仕事を口実に始めることができないからでしょう。

 以前なら、先輩社員が後輩に、「クラブは俺のお下がりをあげるから、練習して半年以内にゴルフ場デビューを目指そう」と働きかけ、若手社員がゴルフを始めることを応援する風潮がありました。

 ところが、先輩社員も仕事でゴルフをしなくなり、不況などの影響からビジネスパーソンのお小遣いも減少。ゆえに、後輩のゴルフ用品まで面倒をみる余裕がなくなってきました。こうしてゴルフに関する会話が職場で聞かれる機会がめっきり減ってきてしまったのです。

 では、今も上司や先輩社員が、部下や後輩がゴルフを始めるための支援を続ければ、イマドキの若者もゴルフに関心を持ってくれるのでしょうか。いえ、どうやらそうとも言い切れないようです。仮に先輩社員が、

「古いクラブをあげる」
「ゴルフ場まで車で同乗すればいい」
「昼食はおごるから」

 と、ゴルフデビューをサポートすると言っても多くの若手社員が拒むというのです。一体、なぜでしょうか?

増え続ける50代以上のシニアプレーヤー
「ゴルフは老人のスポーツ」と感じる若者も
 広告代理店勤務のSさん(33歳)は、新入社員当時、仕事に忙殺される状態が毎日続いているにもかかわらず、上司から面倒な要求をされました。

「いいか、仕事の一環としてゴルフを覚えること。1年以内にハーフで50台を目指せ」

 学生時代には一度もプレイしたことのなかったSさん。それにもかかわらず、上司からゴルフの上達を業務命令かのように求められたのです。この要求には少々戸惑いましたが、自分だけでなく、営業部門に配属された同期は、誰もが当たり前にゴルフを上達しなければならない状態に陥っていました。

 さらに、よくルールもわからない状態でコースに連れて行かれ、「これも人材育成の一環だから、早く腕を磨いて100を切れ」とはじめから高い目標まで設定されて、頑張らなければならない状態になっていた同期も数多くいる状況でした。

 そんな自分の状況がよくわからない状態でゴルフ場デビューすることが多いため、ゴルフは先輩から叱咤激励されながら覚えるスポーツと認識するビジネスパーソンが大半ではないでしょうか?

 ちなみに、今回取材した総合商社に勤務しているPさん(35歳)は、ゴルフ好きの上司の影響で入社2年目まで、週末は仕事にプライベートにゴルフのお供をして過ごしたとのこと。元々が体育会系の人なので、基本が叩き込まれるとスコアは劇的にアップ。1年半で上司と対等に戦える状態にまでなってしまいました。

 とはいえ、こうした部下に対するゴルフ指導は、代々上司が行うのが常とされてきたので、部下の成長(ゴルフの腕前)は上司にとってうれしい限りのようです。

 ただ、先ほどお話したように最近の若手社員たちは、ゴルフに関心を示さないようになり、

「すみません。ゴルフはやらないことに決めています」

 と、上司が指導したくても拒絶されることが少なくありません。

 先ほど登場したPさんの会社でゴルフは、

・接待で活用できる経験
・人脈を広げるツール
・健康を維持する趣味

 として、その考え方が脈々と伝承されてきました。ところが、その長年の伝統が部下のネガティブな発言で途切れてしまいそうな状況に陥ってしまいました。

 若手社員がゴルフにネガティブなのは、どうしてでしょうか?

先程、ゴルフ人口は1000万人弱と書きましたが、注目しなければいけないのは、プレイ人口が圧倒的に増加しているのは50代以上だということです。つまり、ここ最近はシニアのスポーツとして定着してきているのです。確かにゴルフ場でも若者に遭遇する機会は少ない状況。年配のプレイヤーばかりのゴルフ場も少なくありません。

 先ほども書きましたが、接待でお客様とゴルフをする会社が激減したことが、若者がゴルフをしなくなった原因として大きいのは間違いありません。そこで、目立つようになった50代以降のプレイヤーを見て、「ゴルフ場は老人にとっての憩いの場」と誤解している20代、30代も多いようです。ゆえに若手社員にしてみれば、「20年後に始めるスポーツ」との認識が強いのです。

 ここで少しだけ脱線させていただきます。増え続けるシニアのゴルフ人口の中でも、最もアクティブにプレイしているのが60代と言われています。ところが、この60代が仕事から完全にリタイアしていくことでゴルフ人口も急激に減少するのでは?という懸念が広まっています。それが『2015年問題』です。

 ただ、ゴルフ関係者(アマチュアのゴルフ好きを含む)は、先細りを認識していない人が大半のようです。プロゴルファーの石川遼選手や有村智恵選手、横峯さくら選手、宮里藍選手など人気プレイヤーも数多く活躍しているので、ゴルフ熱は別の形で盛り上がりをみせているようにも思えるからでしょう。それが現在、

・女性のゴルフ好き
・親による子どもへのゴルフ熱

 としてブームとなっているのです。

若い女性に広がるゴルフ人気
一方で若手男性社員たちは…?
 話を戻して、若手社員のゴルフデビューが減少傾向にあるのは間違いない状態です。そんな将来的にプレイヤーが先細りしそうなゴルフは、職場でどのような役割を果たしていくのでしょうか?

 取材した総合商社では、社内コンペを開催するときに「来月はゴルフコンペを開催しますので是非ともご参加ください」という告知を出すとともに、会社の福利厚生でプレイ料を半額負担するなど、参加を促す工夫をしていました。

 その他に、「来週は会議室でゴルフ用品の即売会を開催します」というように、総務部が若手社員のゴルフデビューを応援している職場もありました。ただ、それでも若手社員にとって“老人の憩いの場”としての印象が強いので、果敢にゴルフデビューする人は少ないようです。

もちろんこうした状況下で、

「やるなら、3ヵ月で(スコア)100を切りたいので教えてください」

 と、手を挙げる若手社員もいました。しかし、それは女性ばかり。最近はゴルフウェアもおしゃれになり、女性の興味が高まってきたのでしょう。

 取材した食品メーカーでも、職場のゴルフコンペに参加するのが、

「40代以上の男性社員と20代の女性社員だけです」

 とのこと。ちなみにゴルフを始めた女性を「ゴルフ女子」と呼ぶようですが、会社で上司や先輩とまわるだけでなく、女友達とプレイする人が多いようです。

 実際、彼女たちに「誰と行くの?」という質問をしてみると、「仕事関係もあるし、友だちとも」という答えが数多く帰ってきました。あれ?仕事でゴルフする機会が減っているはずなのに、どうしてでしょうか?

「接待ではなく、取引先と自腹でゴルフに行きます。ただ、こうした機会から仕事につながることも少なくありません」

 こう話すののは、若手女性社員のDさん(26歳)。自己投資してゴルフの腕も磨いている様子。こうした状況が続くと、若手男性社員は大丈夫でしょうか?

「大丈夫ではありません。自己投資してゴルフの腕を上達させる意欲的な男子社員を渇望しています」

 そう答えてくれたのは、広告代理店に勤務している営業部長のDさん(40歳)。Dさんだけでなく、職場の上司たちはゴルフのような団体競技に対して意欲的な人材を求めているようです。ちなみに最近の若手男子がお好みの週末の過ごし方は、1人でパソコン・読書。この価値観を少しでも打破して、人との交流に関心を持つビジネスパーソンになるべきでしょう。ゴルフだけでなく、大人の社交場がシニアな男子と若手女子で占領されてしまう前の行動に期待したいものです。


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