「再会ーーあくじゃれ瓢六」 諸田玲子 文藝春秋 2013.7.10
お袖の家に住みながら八丁堀や牢を行ったり来たりしていたはずの瓢六が、なぜか旗本屋敷内の借家に住んでいる。
弥左衛門と一緒に探索をしている様子もない。
読んでいくうちに、『べっぴん』の舞台だった天保五年から、すでに七年が経っており、なんとお袖とちえ婆さんが大火事の犠牲になったことが知らされる。
お袖を失った瓢六は生きる気力をなくし、生活が一変。
近しかった人たちとの交わりも絶ってしまう。
大火から五年、心を閉ざしていた瓢六が、弥左衛門たちと再会し、もう一度生き直す。
ーー死にかけたと言っていた。弥左衛門もこの数年、ただ安穏に暮らしていたわけではなかったのだ。
苦難のない人生など、ありはしない。
ーー男には、意地や面目があった。ついつい格好をつけて、他人様の好意に背を向ける。けれどそのおかげで、かえって事態を悪くする。大切な人を悲しませることもある。
時は天保の改革の真っ最中。
蘭学を学ぶ者や戯作者たちへの締め付けが厳しくなってくる。
瓢六たちは時の権勢に密かに立ち向かう。
「破落戸」 諸田玲子 文藝春秋 2015.6.10
シリーズ第5作目。
水野越前守を後ろ楯に悪行を働く南町奉行の妖怪こと鳥居甲斐守との闘いは熾烈を極める。
同じ本所に住む若き勝麟太郎との交友、共に働く謎の女性、お奈緒への秘めた思い……。
ついには、水野越前守との直接対決へ。