数年前に母が逝き、
今度は父が逝った……
平均寿命をずいぶん越えて、
快復の見込みがない病気ではあったけど、
それらの症状が些細に思えそうな
まさに老衰と言えよう。
まったく食べなくなったどころか、
水さえ飲まなくなって一ヶ月近く経っていた。
かなり頻繁に病院に行って、
たいていは寝てたけれど、
それでも、
「眠いの?」とか「帰るよ」という言葉に
頷く反応があった。
ところが、この数週間は、そんな反応もなく、
ごく稀に目をあけることがあっても、
ピントがあわなかった。
じわじわ従容として末期に向かっていた。
延命治療はしないと兄弟間で一致したものの
静脈栄養をしていたら、
もっと永らえた可能性があったかもしれないと
しばしば迷った。
一ヶ月近く前に聞いた最期の言葉が
「いい人生だった」
「ありがとう」
うすボンヤリした意識なのに、
ステキな言葉が何度も出てきた。
こちらこそ、ありがとう♪
苦しみも痛みもないようだった。
私もあんな末期でありたい……