ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「兵諫」

2021-12-21 22:29:02 | 

 

「兵諫」 浅田次郎 講談社 2021.7.12

 

兵諫……読みは「へいかん」

「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」「中原の虹」「マンチュリアン・リポート」「天子蒙塵」のシリーズ。

 

兵諫(ビンジェン)ーー遠い昔、楚の忠臣が主君を懼(おそ)れ敬するがゆえに、剣を執ってその行いを諌めた。王は悔い改めたが、臣は罪深さにおののいて、ついにみずからの足を断ち切ったという。兵を挙げてでも主の過ちを諫める。すなわち兵諫である。

 

P172

 中国の肇国(ちょうこく)神話を知っているか。

 遥か遥かな昔、いまだ天地も分かれずただ混沌としていた世界に、盤古という神が顕れた。すべてはこの一神から始まった。

 盤古は(略)天地の隔たりを作った。(略)(盤古の)骸は万物に化生した。(略)

 盤古の心臓は拳より大きなダイアモンドとなった。人の世を統べる皇帝の証だ。

 神ではなく、すぐれた人間である中華皇帝がこの龍玉を抱いてこそ、天下は定まる。

 四千年の間にあまたの王朝が興亡をくり返しても、龍玉は常に皇帝とともにあった。(略)

 しかしあろうことか、この龍玉が消えた。(略)

 

P43~

日本の国家神道にはそもそも教義がないから

、その実は宗教ではなく、伝統祭祀もしくは慣習である。よって他の宗教との共存が可であり、時と場合に応じてどのようにもへんようする。

 しかしあろうことか、天皇の統帥大権を明記した憲法により、合理的でなければならぬ軍隊は非合理的な神性に呪縛された。

 そして、その矛盾を抱えたままいくつもの戦いに勝利し、時を経るうちに、武士道だの、大和魂だのという正体のない精神性が、軍隊を被ってしまった。

 すなわち、神がかりの言辞を弄すれば軍人は格好がつくのである。

 

「蒼穹の昴」から読み返したくなった。

 

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