ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「いのちの十字路」

2024-01-10 20:32:11 | 

 

「いのちの十字路」 南杏子 幻冬舎 2023.4.5

 

「いのちの停車場」の続編。

医師国家試験に合格し、野呂は金沢のまほろば診療所に戻ってきた。

娘の手を借りず一人で人生を全うしたい母。

母の介護と仕事の両立に苦しむ一人息子。

末期癌の技能実習生。

妻の認知症を受け入れられない夫。

体が不自由な母の世話をする中二女子。

……それぞれの家庭の事情に寄り添おうとするけれど、不甲斐ない思いをするばかりの野呂ーー。

彼もかつてヤングケアラーで、介護していた祖母を最後に″見放してしまった″という後悔があった。

 

仙川先生が言う。

「我々の目的は、患者が望む医療を提供すること。希望を支える医療をすることだよ。ほかの誰かにとって正しい医療をすることじゃない」

 

「家の中で、家族のお世話をする子って、いい子なんですよね?」

と聞く陽菜に野呂は答える。

「自分をした。裏切っちゃいけない。自分を大切にするのは、自分しかいないのだから」

「誰かにとって『いい子』でも、自分にとって『いい子』かどうか、考えなきゃ」

 

大人しく介護する「いい子」の全員に、僕は声の限りを尽くして叫びたい。

君たちがどれほど貴重な時間を失っているか、どうか気付いてください、と。

じゃあ、現実をどう解決するのかと問われれば、万能の答えなどないだろう。けれど、先ずは当人の自覚が第一歩になる。

 

『介護』は義務ではない、ということを改めて考えさせられた。

「介護を受ける権利」

「介護を行う権利」

「介護を受けるのを強制されない権利」

「介護を行うのを強制されない権利」

そして

「介護を休む権利」

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