かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 298 トルコ⑤

2024-03-24 20:50:26 | 短歌の鑑賞
 2024年度版  馬場あき子旅の歌40(11年6月)
    【夕日】『飛種』(1996年刊)P132~
     参加者:N・I、鈴木良明、曽我亮子、藤本満須子、H・T、
        渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:藤本満須子 司会とまとめ:鹿取未放

                     
298 “人生は短く金はすくない”と言つたのはだれだエーゲ海の夕日

      (レポート)
 279「晩年の浪費のごとくエーゲ海の夕日しづかに沈むまで見る」の歌と同様にエーゲ海の美しい夕日、爛熟し沈んでゆく夕日に作者はおのれの人生を重ねて沈思しているのであろうか。
      (藤本)

 
    (当日意見)
★“人生は短く金はすくない”という引用部分は通俗に落としつつ、エーゲ海の美しさを
 讃えている。(鹿取)


   (まとめ)
 引用部分については既に発言したが、諺のようなもので誰が言い出したとも特定できないし、する必要も無いだろう。誰だい、そんな馬鹿なことを言ったのは、という気分だろうか。エーゲ海の夕日は金銭には換えられない美しさで、〈短い人生を浪費しつつ〉感嘆して眺めていたのだろう。この歌から297番歌「晩年の浪費のごとくエーゲ海の夕日しづかに沈むまで見る」をふり返ると「晩年の浪費のごとく」には諧謔の気分があるようだ。(鹿取)


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