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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 20

2025-04-18 10:53:03 | 短歌の鑑賞

2025年度版 渡辺松男研究2の3(2017年8月実施)
    『泡宇宙の蛙』(1999年)【四葉鵯】P19~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
          レポーター:渡部慧子       司会と記録:鹿取未放    

20 おろかなるゆたけさは知るあたわねど仰ぎていたり秩父のみどり


            (まとめ)
 秩父の緑が豊かで思わず仰いでいた、というのだったら誰にも分かるが、「おろかなるゆたけさ」と言われるととたんに難しくなる。19番歌(静止せる蒼き山々見わたせば死にてゆたかになれる山々)では「死にてゆたかになれる」って言っていてよく分からなかった。「おろかなるゆたけさ」はまだ分かる気がする。「おろかなる」は矛盾する概念だが、これがセットになっていることがポイントだろう。愚かであることがゆたけさであるという考え方は老荘思想の「大愚」に通じるような気がする。なにか生命力の大肯定なのだろう。そういうおろかさの内実を〈われ〉は十分に生きられていないから完全に把握することはできない。だが、やみくもに生を実現しようとして緑を生い茂らせている山、それをすごいなあと思って仰いでいるのだ。(鹿取)


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