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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 12

2025-04-02 10:48:06 | 短歌の鑑賞

2025年度版 渡辺松男研究2の2(2017年7月実施)
 『泡宇宙の蛙』(1999年)【蟹蝙蝠】P14~
  参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:泉 真帆       司会と記録:鹿取未放          


12  体毛はかつて鱗でありしとう  ひと愛しあうときの黒髪

            (レポート)
 人間の祖先は魚だったという説がある。体毛はかつて鱗だったのだという。その説を提示したあと、一字スペースをおき、下句の愛の様相へ展開するさまが見事だ。人の性愛のさまを、魚が鱗を光らせながらまぐわう様子とかさね、読者になんの摩擦もおこさずイメージさせる。結句の「黒髪」へ、ごく自然に連想を導く修辞の技もすごければ、描かれた絵画的な美しさにもうっとりしてしまう。(真帆)


           (当日意見)                       
★鱗は魚の体を守っていたんだから、正しい説。胎児は、お腹の中で鰓呼吸する時期があるっていうじゃないですか。人間は服を着るようになってだんだん体毛がなくなったんです。(T・S)
★髪の毛の断層写真を見ると鱗みたいですよ。(真帆)
★なるほど、あの固い鱗が柔らかな黒髪になったのかと思うと違和感がありますが。命は最初海で誕生したから、進化の過程で大切な頭を守る髪になったというのは、びっくりするけどなるほどと思います。美しくてエロチックな歌ですね。(鹿取)
★やっぱり男の人の歌ですね。黒髪が大好きで。(T・S)

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