かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 275,276

2024-02-05 16:54:03 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 馬場あき子の旅の歌36(2011年2月実施)
  【シベリア上空にて】『飛種』118頁~
   参加者: N・I、Y・I、崎尾廣子、佐々木実之、曽我亮子、
       T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
   

275 魂は雲に紛れてありと言ひて青森の巫の泣きしシベリア

     (レポート)
 いたこは一生懸命祈ったが、依頼人の願う魂は、彼女の口に出てこない。それで彼女は「雲に紛れて彼の地をさまようているのですよ」と言ってその情景を偲んで泣いていた。(T・H)


276 収容所(ラーゲリ)の針葉樹林に死にしもの若ければいまだ苦しむといふ

    (レポート)
 いたこの言うには「シベリアの森で、樹木の伐採に働いて命を落とした若者は、若いのでまだその魂は存分に納得せず、成仏できずに、この世の何処かで苦しんでいるのですよ」と。(T・H)


    (まとめ)
 酷寒の地で亡くなった人の魂は、余りに若かったので未だ苦しんでいるといたこが言ったのだろう。「収容所(ラーゲリ)の針葉樹林に死にし」は伐採作業に従事した人達のみをいうのではなく、彼の地で亡くなった兵達全てを指しているのだろう。
  (鹿取)



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