かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 291 トルコ④

2024-03-10 10:37:03 | 短歌の鑑賞
 2024年度版 馬場あき子旅の歌39(11年5月)
    【遊光】『飛種』(1996年刊)P128~
     参加者:K・I、崎尾廣子、佐々木実之、曽我亮子、H・T、鹿取未放
     レポーター:崎尾 廣子 司会とまとめ:鹿取 未放
     

291 驢馬のあざみ驢馬の胡瓜みな棘ある草驢馬はかなしき棘食む馬か

      (まとめ)
 人間の食べる胡瓜にも棘はあるし、蔓には更に鋭い棘がある。あざみにだって花にも茎にも鋭い棘がある。驢馬のと形容されたこれらの植物はもっと棘が鋭いのだろうか。どのくらいの大きさなのか、ネットで調べてみるが出てこない。「驢馬」は「馬」の字を名前に持ち、馬のようにこき使われるが、馬ほどは大事にされず、棘ある草くらいしかあてがわれない。しみじみと驢馬をあわれんでいる。(鹿取)

 
        (レポート)
 驢馬があざみを食べる。あの棘の多い草を。この1首は初句から3句までが字余りである。が「驢馬」を3回、「棘」を2回用いることによってたたみこむような不思議な調べを作っている。辞書によると驢馬はウサギウマとも呼ばれ粗食に耐え、労役に耐えられるとある。結句の余韻を受け止めたい。(崎尾)


      (当日意見)
★290番歌「アヤソルクのヨハネ教会の跡に立ち驢馬の胡瓜の花咲くをみる」の次に
 置かれた歌です。空き地などいたるところに生えている雑草なのでしょうね。「烏の
 エンドウ」とか「雀のエンドウ」は大きさからくる言い回しのようですが、「驢馬
 の胡瓜」「驢馬のあざみ」と呼ばれているのは驢馬だけが食べられるということで
 しょうかね。きっと棘があって食べにくいしおいしくないのでしょう。それを、驢馬
 はあてがわれて、お腹が空いているから仕方なく食べるのです。作者はそのことに哀
 れさを感じているのでしょう。(鹿取)

コメント
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